アメリカの人気俳優シドニー・スウィーニーさんを起用した米アパレルブランド「アメリカン・イーグル」の広告が、一部の人たちから「白人至上主義を促進している」とSNSで批判を浴びている。

一体どんな広告なのか？

広告動画の1つでは、横たわったスウィーニーさんがジーンズのファスナーを上げながら、「遺伝子（Genes）は親から子へと受け継がれ、多くの場合、髪の色や性格、目の色などの特徴をも決定します」と語る。そして顔にカメラが寄ると「私のジーンズは青」と言い、広告のキャッチコピー「SYDNEY SWEENEY HAS GREAT JEANS（シドニー・スウィーニーのジーンズは素晴らしい」の文字が大きく現れる。

他の動画では、「SYDNEY SWEENEY HAS GREAT GENES（シドニー・スウィーニーの遺伝子は素晴らしい）」と書かれた自身の広告の前にスウィーニーさんが立っており、その後genesが線で消され、jeansに置き換えられるという内容もあった。

この広告の何が問題になっているのか──。

それはGenes（遺伝子）とJeans（ジーンズ）のダブルミーニングにある。両方とも「ジーンズ」と発音するため、言葉遊びになっている。

この広告では、白人で金髪、青い目をしたスウィーニーさんがアメリカのカウボーイのような服装で出演し、「ジーンズは素晴らしい」（遺伝子は素晴らしいのダブルミーニング）とキャッチコピーが付けられていることに対し、「ヨーロッパ中心主義を推進している」など不快感を示す声がSNSで上がっている。

ファッションを分析するInstagramアカウント「Style Analytics」は、この広告が「優生学を肯定し、拡大する保守派、右派、白人至上主義運動とブランドを連携させている」と投稿で述べている。

アメリカン・イーグルのInstagramのコメント欄には、「アメリカン・イーグルの存在を忘れてた。なんで買わなくなったかを思い出させてくれてありがとう」など、この広告への否定的なコメントが多く書き込まれている。

スウィーニーさんとジャーマン・シェパードが写る写真には、「金髪、青い目の女の子、ジーンズ、ジャーマン・シェパード。これ、1939年のコスプレなの？（1939年にドイツがポーランドに侵攻。ジャーマン・シェパードはナチスの軍用犬として知られていた）」といったコメントも見られた。

他にも白人至上主義や優生学を奨励していると批判する声が寄せられた。

ハフポストUS版はアメリカン・イーグルとスウィーニーさんの代理人にアメリカン・イーグルとスウィーニーさんの代理人にコメントを求めたが、現時点で返答はなかった。

同社のプレスリリースはこのキャンペーンについて、「本質的なデニムの着こなしへの回帰であり、着心地よく素敵に見えるジーンズを提供するという、我が社が得意なことを祝福することです」と述べている。

またスウィーニーさんとの限定コラボとして、後ろポケットに蝶があしらわれた「シドニー・ジーン」を販売すると発表。スウィーニーさんが熱意を持っている家庭内暴力への啓発を支援するため、「シドニー・ジーン」の売上げを全て「緊急メッセージ相談」に寄付するという。

SNSでは、「この広告を見ても、家庭内暴力への募金については知るよしもないだろう」と皮肉を述べる人もいた。

【動画】物議を醸している広告がこちら

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。