2025
07.24

「『生理ぐらいで』って言わないで」。みちょぱさんが「生理のつらさを我慢しなくていい社会」を目指すプロジェクトを知って語ったこと。

国際ニュースまとめ

「生理のつらさを我慢しなくていい社会へ」を目指すツムラの「#OneMoreChoice プロジェクト」は7月24日、『違いを知ることからはじめよう展』と題した体験型の展示イベントを東京・丸の内でスタートさせた。入場無料・予約不要で27日までの4日間開催されている。

企画展『違いを知ることからはじめよう展』会場を訪れたみちょぱさん企画展『違いを知ることからはじめよう展』会場を訪れたみちょぱさん

生理・PMSに伴う症状や日常生活への影響に対して、「我慢する」以外の選択肢をとれる社会にするために、何ができるかを考えてきたのが同プロジェクト。2021年から調査や、対話のきっかけづくりなど、多様な活動を積み重ねてきたが、今回フォーカスしたのは、「違い」だ。

生理・PMSは個人差が大きく、症状やそれに伴うつらさの種類や度合いも人によって大きく違う。加えて、症状を緩和させたり、休んだりするためには、周囲へ伝えることが第一歩になる場合もあるが、生活環境などによって伝えやすさも人によってそれぞれ異なっている。そこで、今回の企画展を実施することになった。

開催に先立って行われた発表イベントには、モデル・タレントの池田美優(みちょぱ)さんが登壇。開催の趣旨を聞き、まず「言い出しやすくなったり、言える機会ができるのではないかと思うので、いいプロジェクトだと率直に思いました」とコメント。

また、トークセッションではツムラが過去に実施してきた調査結果を踏まえながら、みちょぱさん自身の生理・PMSへの向き合い方についてもさまざまな側面から語った。

トークセッションで生理・PMSに伴う自身の症状についても語ったみちょぱさんトークセッションで生理・PMSに伴う自身の症状についても語ったみちょぱさん

みんな「隠れ我慢」をしている

まず最初にみちょぱさんが見たのは『隠れ我慢』が多いという調査結果。生理を経験したことのある人の68.5%が「つらさを我慢して普段通りにふるまう」経験をしたと回答している。

生理に関する意識と実態調査生理に関する意識と実態調査

生理・PMSに伴うつらさについてみちょぱさんは、「(私も)仕事上、休めない。穴を開けられないので」と、表舞台に立つ仕事ではやはり、隠れ我慢をしていることを告白。

「でも、裏では『隠れ我慢』をしないようにするために、マネージャーさんとかスタッフさんには逆にアピールします。(生理用品の入った)ポーチを隠さずに、あえて持って『私は今生理なんだ、辛いんだ』と(いう雰囲気で)トイレに行きます」と話した。

つらさを「知ること」でより良い関係になれる

また、別のツムラの調査では、生理・PMSに伴うつらさが日常生活に影響する人の91.9%が、「つらさが人によってちがうことを知ってもらいたい」と回答している。

生理に関する意識と実態調査生理に関する意識と実態調査

人によってつらさの度合いや種類が大きく違うということも、日常生活で感じているというみちょぱさん。

実は、自身も生理痛はあるものの、そこまで重くないことから、過去には「(人のつらさを)軽く考えていた部分もあったかもしれない」と振り返る。

一方で、生理について友人たちとオープンに会話をしていくうちに、ある友人からは、「生理痛の痛みが酷すぎて家から出ることも困難だ」という話を聞いた。

そして今では、その友人に対しては、たとえ一緒に出かける予定があっても「今日は、無理しないで」と、自然と声をかけられる関係になったという。

人はそれぞれ、見えている世界が違う

ツムラの調査では、男性女性それぞれに、「生理・PMSに伴うつらさとして知っている症状」を挙げてもらったところ、知っている症状は平均で女性が7.3種類、男性が3.5種類(選択式・複数回答)だった。

「(生理が)来る来ないで、自分の感じる、実際に体験しているもの(世界)は違う。こういうの(症状の違いやつらさ)があるということを、もっと知ってもらえれば言いやすくもなるし、理解もしてもらえると思うので。例えば、会社の中で、生理をオープンにしたとしても(人によって違うという知識が相手になければ)『別の誰々さんは、生理だけど大丈夫だよ?』なんて、比べられる対象になってしまうこともあるかもしれない。だから、『生理ぐらいで』と、言わないで欲しいなって思いますね」

身体が重だるくて起き上がることが難しいベッドを体験できる。企画展『違いを知ることからはじめよう展』会場を訪れたみちょぱさん。身体が重だるくて起き上がることが難しいベッドを体験できる。企画展『違いを知ることからはじめよう展』会場を訪れたみちょぱさん。

みちょぱさん自身は、夫・大倉士門さんとの夫婦間でのコミュニケーションでも、生理の周期や症状について伝えることは大切だと感じているという。

症状がつらいことを伝えることでささやかな気遣いが生まれたり、逆に自分がイライラしているなと感じる日は「大事な話は今度にしよう」など話し合うことで、お互いの関係性がより良くなっている実感があるからだ。

「伝えないと理解はされないものかなって私の中では思っているので、ためらわずハッキリ言う、言葉にして伝えるようにしました。『ごめん、イライラしてる。生理のせいだわ』と」

知って欲しい、でも伝えるのは難しい。

生理・PMSに伴うつらさをオープンにしているみちょぱさん。一方で、ツムラの調査では生理・PMSに伴うつらさが日常生活に影響すると答えた中で「周囲に伝えにくい」と感じている人が72%いることも判明している。

この調査結果を知ったみちょぱさんは「えー」と一瞬驚いた様子。

しかし、自分も職場では確かに我慢することもあるという例を元に「難しいですよね。特に職場では『みんな我慢している』と思うと確かに伝えづらい。私は恥ずかしいことでもなく、理解して欲しいというからこそ、今日も大っぴらにお話ししている。でも、私みたいな人もいるし、そうではない人もいるということを理解できた」。

そして、生理・PMSでつらそうな人の「つらさを理解したい」と考えている周囲の人も76.4%、「サポートしたいが対応の仕方が分からない」人が同じく76.4%と、それぞれ実は多いことも調査ではわかっている。

「知って欲しい」し「知ってもらうと助けになる」、でも「伝えるのは難しい」のが生理・PMS。その両者の間にある壁を突破できるものは何なのか。

今回の企画展はそのジレンマから生まれたという。

生理に関する意識と実態調査より生理に関する意識と実態調査より

「擬似体験」装置などを通じて、違いに関する「知識」が得られる今回の企画展に、つらさを感じる当事者だけではなく、周囲の人も含めて参加してもらう。そんな取り組みが最後の壁を突破するピースになるのでは。そんな願いから生まれた企画展に、みちょぱさんも期待を寄せた。

「(生理・PMSの症状や個人差があることを)知っていれば、話を聞いたらそういうことかってすぐ頭に入ってくると思うので。体験できるのって、いい機会。性別を問わず、症状が軽い人も重い人もいるので、知ることで理解できる。いろんな人の体験談も見たり、実際に自分も(症状の一部を)体験できるエリアもあるので、気軽に足を運んでみて欲しい」

また、ツムラのコーポレート・コミュニケーション部コミュニケーションデザイン課課長の宮城英子さんは「この展示を通し、生理・PMSの症状やそれに伴うつらさを抱える方はもちろん、周囲の方々にも症状そのものだけではなく、その人が置かれた環境によって生まれたつらさに目を向けていただくきっかけになればと願っています。そしてそれぞれの立場で我慢に代わる選択肢 #OneMoreChoice を見つけることで誰もが心地よい社会に近づく一歩となれば幸いです」と語った。

発表会でのツムラコーポレート・コミュニケーション部コミュニケーションデザイン課課長の宮城英子さん(左)とみちょぱさん発表会でのツムラコーポレート・コミュニケーション部コミュニケーションデザイン課課長の宮城英子さん(左)とみちょぱさん

ビジネス街・丸の内で展示を開催

展示は、生理・PMSの症状や、それに伴うつらさという目に見えないものを可視化させるもの。

人々がどんな「隠れ我慢」をしているのかを、俳優の井桁弘恵さん、マリウス葉さんらの「心の声」で聞いたり、生理・PMSに伴うつらさや症状によって「いつも通りにいかない」状態を疑似体験できる部屋などを通じて、日常生活への影響の一部を擬似的に体験することができる。

また、株式会社リンケージの協力で、腹部に電極パッドを装着して、電気刺激で痛みを擬似的に感じる生理痛VR体験装置「ピリオノイド」も体験することができる。なお、受付は企画展内で行うが、混雑状況に応じて整理券が配布される予定。(当日分がなくなり次第、受付終了。その他、参加対象に制限あり)

生理痛体験装置「ビリオノイド」生理痛体験装置「ビリオノイド」

開催概要

開催期間: 2025年7月24日(木)~27日(日)

開催時間:  11:00~19:00

会場: マルキューブ(東京都千代田区丸の内2丁目4-1 丸の内ビルディング 1F)

展示を監修した産婦人科専門医の稲葉可奈子さんは以下のようにコメントを寄せている。

「生理・PMSに関連する症状の個人差は、正確な原因はまだ解明されていません。寝込んでしまうのも決して珍しいことではありませんが、適切な治療により症状を軽減することができます。『サポートしたいが対応の仕方がわからない』という場合は、無理に何かをしようとしてあげなくても『何かできることある?』と声をかけるだけでも支援になります。また、職場や学校では、理解と配慮が当然の文化になるよう、男性や管理職も対象とした研修などの『知る機会』と短時間勤務や休憩取得などの『制度の整備』が求められる」

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Source: HuffPost