【あわせて読みたい】折り畳んで収納できる「布製浴槽」とは？海外からの問い合わせも殺到…どうやって使う？LIXILに開発背景を聞いた

今年の夏も猛暑が予想され、エアコンは私たちの生活に欠かせない存在となっている。しかし、従来のエアコンは設置工事が必要で、導入までに時間や費用がかかる。

こうした中、ドン・キホーテのオリジナルブランド「情熱価格」のスポットエアコン「どこでも置くだけスポットエアコン」（税込4万3780円）が注目を集めている。

2021年に登場して以降、リニューアルを重ね、猛暑も追い風となって、2024年の夏だけで売上7億円を突破した。2025年5月に発売されたモデルは、さらに改良を重ねているという。商品開発に携わった今井潤さんに、スポットエアコンの需要が高まっている背景や製品の特長、今後の展望について話を聞いた。

設置工事不要！シリーズ累計3.4万台突破

ドンキでは、2021年に「どこでも置くだけスポットエアコン」の販売を開始したが、当初は設置工事が不要な「スポットエアコン」という市場自体がまだ一般的ではなかった。

しかし、毎年の猛暑でエアコンの利用率が高まるにつれ「エアコンが設置されていない部屋にも導入したい」「北海道のような比較的涼しい地域で、これまでエアコンの台数が少なかった家庭でも増設したい」といった声が増加し、売上が伸びていった。2024年度には夏季だけで7億円を売り上げている。

「現代の夏において、エアコンの存在はまさに死活問題。例えばちょうど今のような暑くなる時期に、もし部屋のエアコンが故障したとします。家電量販店に駆け込んでも、『設置は3週間後』と言われることが多い。でも、この製品であれば、購入してすぐに使えるのが大きな強みです」（今井さん）

前モデルより動作音を軽減。暖房や除湿機能も搭載

「設置工事がいらない」「冷房だけでなく暖房も使える」「最大10畳までしっかり冷える」などの特徴があるが、従来モデルには「風量の強弱が少ない」といったネガティブな声も寄せられていた。

風量の段階が少ないと「強だと寒すぎるが、弱だと物足りない…」など、快適な風量に調整しにくく、長時間の使用時に不快感を覚えることがある。

そこで今回のモデルでは、モーターの回転数を見直し、「弱」モードの風速を約11.4％抑えることで、より穏やかな送風を実現した。

「また、お客様から『使っているときの動作音がうるさい』というお声もいただいていたので、防振ゴム（機器からの振動を軽減するゴム）を見直したり、空気を吸う口の位置を変えたりして改良しました。その結果、音がこれまでより6デシベル小さくなり、体感的には約30％も静かになりました」（今井さん）

「スポットエアコン」は、通常のエアコンのように「暖房」「送風」「除湿」の機能も備えている。また、1〜11時間までのタイマー設定も可能。置くだけなのでガレージなどでも使うことができる。

シリーズ累計販売台数は3.4万台を突破。特に2024年の夏は4月から9月にかけて需要が大幅に高まり、8月ごろには品薄状態になった。この反省を踏まえ、2025年モデルの生産体制は約3万台規模へと増強されている。

「どこでも置くだけスポットエアコン」は今後もリニューアルを重ねていく予定だ。

「私たちは毎年、お客様のご意見を反映しながら、暖房機能の追加や冷風出力の強化など、改良を重ねてきました。今年も様々なご意見をいただきながら、さらにパワーアップさせていきたいと考えています」（今井さん）

（取材・撮影・文／橋本岬、編集／荘司結有）