07.05
「イクメン」から「トモイク」へ。職場も家庭も“脱ワンオペ”、「長時間労働」改善目指す。令和の父親像とは
厚生労働省で行われた新プロジェクトの記者会見【あわせて読みたい】「妻の育休が終わればどうすれば……」私が新聞記者を辞めた理由は「子育て」だった(記者コラム)
「イクメン」から「共育」へーー。
厚生労働省は7月4日、男性の育休取得率の底上げを図る「イクメンプロジェクト」の後継事業として、「共育(トモイク)プロジェクト」を始動すると発表した。
「職場も家庭も、脱ワンオペ」を合言葉に、長時間労働を是正した上で、誰もが希望に応じて仕事と家事・育児を両立できる社会を目指す。
新プロジェクトの座長に就任した著作家の羽生祥子さんは同日、厚労省で開かれた記者会見で、「ポイントの一つは『職場も』という言葉を入れたこと。共育は企業にとっても良いことがある」と意気込みを語った。
「イクメン」一定の役割を果たす
厚労省などによると、前身のイクメンプロジェクトは2010年に始動。
立ち上げ当時、男性の育休取得率は1.23%(2008年度)で、企業向けセミナーやシンポジウム、意識調査などを通じて、男性が気兼ねなく育休を取得できる環境整備に取り組んできた。
その結果、男性の育休取得率は30.1%(23年)まで上がり、普及率が急上昇する分岐点「クリティカル・マス」に到達。
生後8週間以内に最長4週間の育休を取得できる「産後パパ育休」などの法整備も進み、イクメンという言葉が一定の役割を果たしたと判断した。
一方、社会全体で見ると、育休の取得期間や夫婦間の家事・育児は、依然として女性に偏りがある。
例えば、23年度の育休取得期間は、女性の約9割が6カ月以上に上ったが、男性は約4割が2週間未満だった。
共働き世帯の家事関連時間(2021年度)は、女性は1日あたり6時間32分、男性は1時間57分で、夫婦間で3.4倍の開きがあった。
このほか、約3割の若年男性が半年以上の育休取得を望んでいる一方、実際に長期で取得できた男性は少ないという調査結果も発表されており、“理想と現実にギャップがある”ことも浮き彫りになっている。
家事・育児参画を阻害する「長時間労働」
これらの背景には、社会に根付くジェンダー間の不平等があると指摘されているが、男性の家事・育児参画を阻害している「長時間労働」も無視できない課題の一つとなっている。
そこで、新しく始まった「共育プロジェクト」では、「共育」「職場も家庭も脱ワンオペ」が可能な働き方の実現に向け、企業へのアプローチを主軸に置き、雇用環境や職場風土の改善に取り組んでいくことにした。
すでに、若年層向けの意識調査を実施したほか、「子育てはみんなで行うもの」という思いを伝えるため、今後は「企業版両親学級」やオンラインセミナーなども実施していく。
7月4日の記者会見で、新座長の羽生さんは「共育てがなかなか実行できていない原因に職場環境があるため、『職場も家庭も、脱ワンオペ』という言葉を入れた」と、新プロジェクトの目的について説明。
企業は女性に家事・育児が偏る現状を「夫婦の問題」としてきたとし、「この問題と向き合うことで生産性が高まったり、若い人材を獲得できたりするといったメリットもある」と語った。
また、男性だけでなく、女性にも「家事・育児は女性がやるもの」という昔の価値観が存在するケースがあることから、「その意識をバージョンアップさせることも肝だ」と訴えた。
「共育プロジェクト」のロゴ「令和の父親像」を質問
会見には、羽生さんのほか、新推進委員で産婦人科医・産業医の平野翔大さん、NPO法人「ファザーリング・ジャパン」理事の林田香織さん、前身のプロジェクトに関わった認定NPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹会長、コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長も参加した。
自身も育児を理由に転職した筆者(相本)は、会見の質疑応答で、「令和の父親像」について尋ねた。
平成はイクメンという言葉から想像されるように、「育児をしている男性は珍しい・かっこいい」という価値観があったが、令和の時代は「当たり前のように育児を行う」という認識に少しずつ変遷している。
決して「珍しい・かっこいい」と持ち上げてほしいわけではない。実際、保育園の迎えや、子どもの熱などによる保育園から呼び出しに対応するため、柔軟な職場に転職することを決断する男性も増えてきた。
家事や育児が女性に偏る現状や、これまで女性が受けてきた“理不尽さ”を踏まえつつ、企業がこのような父親像を正確に把握できれば、状況はさらに好転していくのではないだろうか。
このような思いからした質問には、会見に参加した5人全員が答えた。
羽生さんは「今までの父親像は『自分がいかに育児をやっているか』にフォーカスしていたが、これからは家事・育児を共にやりながらパートナーの仕事も応援し合えるような形になれば」と回答。
小室さんは、男性の家事・育児への参画に必要不可欠なポイントが「職場の働き方を変えること」とし、「自分の庭先だけ綺麗にするのではなく、令和の父親は自分以外の同僚を含めてアップデートしていくことになる」と見解を語った。
また、労働力人口が減っている中、そのような存在は「企業や社会にとって非常にありがたい存在」だとし、「生産性を上げるなどの努力を日々しなければ全員が潰れてしまう。それを救う救世主になるのが令和の父親だと思う」と話した。
駒崎さんは「総務省の調査では、1日のうちに育児を全くしないと答えた夫は約7割に上る」とし、「周囲は『令和のパパみたいになってきた』と思っても、日本全体で見ると全然そんなことはないということも念頭に置かなければならない」と述べた。
林田さんは、「実際に話を聞くと、父親本人たちも模索している。自分たちで決められる働き方にしていくことがポイント」と語った。
平野さんは「令和の父親像ではなく、令和の親像であってほしい」と話し、医師としての立場から「今の親は非常に強いことを要求されている。仕事もして、育児もして、親2人だけではしんどい面もある」と指摘。
その上で、「周りを頼り、助けを得ながら皆でやっていく。そんなことが社会としても、個人としても当たり前になるということが、令和の親像となっていけばいいと思っている」と展望を語った。
Source: HuffPost




