2025
07.05

心臓病の信くんを救え。手術のため、ミャンマーから日本に緊急搬送する支援プロジェクトがスタート

国際ニュースまとめ

心臓病を患う犬井信くん心臓病を患う犬井信くん

重い心臓病を抱えてミャンマーで生まれた犬井信(いぬい しん)くんを救おうと、7月2日にクラウドファンディングが立ち上がった。

信くんは6月25日、父親とミャンマー人の母親のもとに誕生したが、「完全大血管転位症」を患っていることが判明。

命を救うためには、医療のレベルが高い日本での手術が必要だが、酸素吸入機などが必要の新生児を民間機で運ぶことは難しいため、多額の費用がかかる「医療用チャーター便」で搬送することが求められている。

クラウドファンディングでは、その医療用チャーター便を利用するための費用を募っており、「どうか命をつなぐ力をお貸しください」と呼びかけている。

信くんを抱く、父・犬井智朗さん信くんを抱く、父・犬井智朗さん

大動脈と肺動脈が逆に繋がっている先天性心疾患。手術ができる国への緊急搬送が必須

犬井信くんは、ミャンマー東北部に位置するシャン州の州都・タウンジーで生まれた。

生まれながら、心臓の大動脈と肺動脈が逆に繋がっている「完全大血管転位症」という先天性心疾患があると診断された。

タウンジーの病院から、首都ヤンゴンまで酸素を吸いながら14時間かけて移動し、応急処置を受けたが、現在「敗血症」と「播種性血管内凝固(DIC)」が併発している。

治療を受ける信くん治療を受ける信くん

ミャンマーでも活動する国際医療NGO「ジャパンハート」の尽力もあり、応急処置として一時的に命をつなぐカテーテル手術を受けることができたが、専門医による根治手術はミャンマー国内では難しく、一刻も早い他国への輸送が必要と判断された。

そこで、両親が複数の民間航空会社に信くんの搬送に関して交渉したが、酸素吸入機と点滴を必要とする新生児を移送することは難しいという返答を受けた。

現状では医療用チャーター便以外の手段がなく、日本への搬送を最優先に、タイ・バンコクへの搬送なども視野に入れつつチャーター便の手配を調整している。

費用は2000万円以上かかると見込まれており、信くんの両親の仕事仲間や友人らが「信くんを救う会」を結成し、クラウドファンディングを開始した。

7月5日午後12時15分時点で997人が支援し、1001万円が集まっている。

信くんの父、犬井智朗(いぬい ともろう)さんは社会起業家で、シャン州で小規模農家の支援など、農業関連の事業を営んでいる。

学生時代に訪れた難民キャンプでの経験をきっかけに、ミャンマーの貧困層を支援する社会起業を志し、24歳でボーダーレス・ジャパンの一員としてミャンマーに渡った。以来、地方で小規模農家をサポートする事業を展開している。

ミャンマーで小規模農家を支援する事業を展開する犬井智朗さん(右)ミャンマーで小規模農家を支援する事業を展開する犬井智朗さん(右)

智朗さんが事業を営むシャン州は、ミャンマー国内で長く続く、国軍と少数民族武装勢力の戦闘の影響を受けている地域。近くには、日頃から戦闘機が飛んでいる状況だ。

そのため、医療レベルの高いタイにミャンマーから搬送するのは困難。さらに関係者によると「そのような状況下では日本国籍の場合、陸路で国境を越えることは難しい」という。

「信じてるよ」「きっと大丈夫」という応援の声から、名前は「信」に

治療を受ける信くん治療を受ける信くん

信くんが生まれてから、応急処置などに追われ数日は名前がつけられていなかったが、周囲からの「信じてるよ」「きっと大丈夫」という応援の声から、日本名は「信」と名付けられたという。

ミャンマー語の名前は「Thant Thura Aung(タントゥラアウン)」。

智朗さんは「どんな困難にも信念を持って、自分と人を信じて生き抜いてほしい。そんな願いを込めています。皆さまの応援の力が、息子の命を支えてくれています。心からありがとうございます」としている。

智朗さんによると、「経過観察では少しずつ状態は安定化へと向かっていて、日本への搬送の可能性もやっと見えてきた」。

寄付が集まり次第、緊急搬送を手配する見込みだ。

ソーシャルグッドに特化したクラウドファンディングページ「For Good」での支援金を募るページや詳細はこちらから。(URL https://for-good.net/project/1002296 )

プロジェクト実行者が支援金を全額受け取れるよう、支援者からのシステム利用料(220円+決済手数料5%)により運営されている。

(文=冨田すみれ子/ ハフポスト日本版)

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Source: HuffPost