07.05
53億円の売上を記録。ハーゲンダッツ“伝説”の「ドルチェ」シリーズとは?大ヒットの裏側を聞いた
ハーゲンダッツの「ドルチェ」シリーズを覚えているだろうか?
ティラミス、クレームブリュレ、モンブラン…デザートやケーキの甘美な世界を、ハーゲンダッツならではの‟ご褒美”感あふれるスタイルで表現し、多くのスイーツ好きを魅了したアイスクリームだ。
2007年4月に第一弾が発売され、売上はなんと計画比3割増しの53億円を記録。現在は終売しているが、その後の「オペラ」やコンビニ限定商品など「層構造」アイスクリームの礎となっている。
ドルチェシリーズは、どのような発想で生まれたアイスクリームだったのか。開発を担当したマーケティング本部マネージャーの田子薫さんに聞いた。
ドルチェシリーズの開発を担当したマーケティング本部マネージャーの田子薫さんスイーツを食べている‟至福の時間”をアイスで表現
――「ドルチェ」シリーズは、どのようなきっかけで生まれたのでしょう。
既存のアイスクリームにはない「新しい価値」を持ったものを作ろうとしたのが始まりです。
当時は、コンビニのチルドスイーツが充実し始めるなど、スイーツ市場が拡大していた時期でした。そこで、アイスクリーム市場を飛び越えて、スイーツ市場にもアプローチできないか?と考えたんです。
例えば、カフェラテなどドリンクをモチーフにしたアイスクリームも候補に挙がりましたが、一番手応えを感じたのが、ケーキやスイーツを食べている‟至福の時間”をアイスクリームで表現する、というアイデアでした。
――ケーキやスイーツをアイスクリームで表現する上で、特にこだわった点はありますか。
スイーツの緻密な味わいを表現するため、ソースやパウダー、スポンジなどさまざまな素材を「層構造」にしたことですね。当時は層構造のアイスは珍しく、工場に生産ラインを作るところから始まりました。天面にパウダーをまぶしたり、渦状にペーストをかけたり…手作業で試作するのは簡単ですが、これを機械で量産するための設備を整えることに労力を費やしました。
加えて、ケーキで味わえるような食感や風味を、凍っているアイスクリームの中で表現することが難しかったんです。スポンジやトッピングは凍ると硬くなってしまい、そのまま入れてもケーキを食べているような体感にはなりませんでした。冷凍の状態でも、ケーキのおいしさや幸福感を感じられるように、原材料を選ぶところや入れ方もいろいろと工夫しました。
ドルチェシリーズの第一弾となった「クレームブリュレ」(左)と「ティラミス」――そうして、第一弾として発売したのが「クレーム ブリュレ」と「ティラミス」の2商品でした。
クレームブリュレは、カスタードアイスクリームの上に、チョコレートコーティングを施し、天面にカラメルソースを重ねました。バーナーでキャラメリゼする代わりに、薄いチョコとカラメルソースをのせることで、パリパリ感とカラメルの風味を楽しめるようにしました。
ティラミスは、マスカルポーネチーズアイスクリームに、エスプレッソのシロップとマルサラワインを混ぜたシロップがしみ込んだスポンジが層構造になっており、天面にココアパウダーをまぶしました。希望小売価格は326円。アイスクリームとしては高級路線だけれど、コンビニのスイーツよりはお手頃な価格帯を狙いました。
その後は、モンブラン、ミルフィーユ、ガトーショコラ、ブルーベリーチーズケーキなどを展開しました。
計画比3割増の53億円!現場で感じた大ヒットの予感
――ドルチェシリーズは、計画比3割増しの53億円の大ヒット商品となりました。田子さんもその反響を肌で感じていましたか。また、ヒットした要因をどのように分析しますか。
当時では珍しかったティーザー広告も打ち、ドルチェの「D」だけを見せて、「新しいすごいアイスクリームが誕生する」という空気感を醸成して、発売を迎えました。営業とも連動して、全国のスーパーでその世界観を表現するような売り場づくりもしたんです。
卸業者などへの初期出荷の個数が、ミニカップの倍以上だったので「期待されているんだな」という手応えがありました。やはり、スイーツを表現しているというワクワク感、ときめきながらおいしいものを食べたいというインサイトを捉えた商品だったかなと思います。
マロンペーストをのせた、ドルチェシリーズの「モンブラン」。――ドルチェシリーズは2012年で終売となりましたが、現在の商品にはどんな影響を与えているのでしょうか。
ドルチェで確立した「層構造」の技術は、フランス発祥の層構造のケーキから着想を得た「オペラ」やコンビニ限定商品などに生かされています。ミニカップとは価格帯の異なる商品や、高付加価値のものを展開するきっかけとなったのが、ドルチェシリーズではないでしょうか。
「ハーゲンダッツには他のアイスクリームにはないおいしさがある」と思ってもらえるのは、ブランド価値の向上につながります。こうした商品開発は、今後も継続的にやっていこうと思っています。
Source: HuffPost




