06.29
「効果的な昼寝」をハーバード大医学部の睡眠研究者が解説。睡眠にまつわる“2つの誤解”も
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睡眠を研究するハーバード大学医学部のアレン・ユギノビッチ博士研究員が6月24日、東京都内のイベントで効果的な昼寝や睡眠に関する“誤解”について解説した。
ユギノビッチ氏は、スポーツドクターのカンファレンス『Sports Doctors Network Conference 2025 in TOKYO』で、睡眠に関するセッションに登壇。その中でまず、睡眠に関する“2つの誤解”について触れた。
アレン・ユギノビッチ氏寝溜めはできる?
1つめは寝溜めについてだ。
ユギノビッチ氏によると、成人は7〜9時間の睡眠が必要。睡眠時間が7時間以下の場合、「睡眠負債」がたまり、より多くの睡眠をとって解消する必要があるという。
週末の寝溜めによって、平日の不足分を解消できるのか。
ユギノビッチ氏は次のように指摘する。
「週末に解消することはできるかもしれませんが、多くの場合はすぐに体が回復することは見込めません。ですから、平日にしっかりと寝るようにしてください」
「大人で7時間以下しか寝ていない、もしくは睡眠の質が悪い人は、それが一夜であっても、(体が)回復するまでに数日かかります」
「睡眠負債」の影響は大きく、短い睡眠時間で身体的に問題ないのは稀なケースだとユギノビッチ氏は強調する。
「ごくごく一部の人は、4、5時間睡眠で翌日問題なく過ごせます。ですが、多くの人は、たとえ身体的な疲れが出なくても、ストレスによって疲労が溜まってしまいます。私たちは7〜9時間は寝る必要があるのです」
寝酒やアルコールは?
2つめは寝酒・アルコール。
就寝前にお酒を飲んで眠りを誘うという行為について、ユギノビッチ氏は警鐘を鳴らす。
「アルコールによって早く眠りにつくことはできますが、睡眠の質は悪いです。多くの場合は途中で目覚めてしまい、十分に深い眠りは得られません」
「睡眠の質で重要なのは持続性です。夜を通じて目が覚めないことで、十分な睡眠・休みが取れるのです」
睡眠のパフォーマンスを上げる方法
“睡眠のパフォーマンス”を上げるにはどうしたらいいのか。
ユギノビッチ氏は、寝る前・際に次のような行動をとるよう勧めている。
・部屋の明かりを全て消す
・寝る前にスマホやタブレット、PCは使わない
・部屋を適温にする
・アルコールをとらない
適温は入眠を促進するほか、「部屋の明かりや(スマホなどの)ライトをつけていることで、実際は夜なのに、外が日中であるとあなたの脳に伝えてしまうから」だという。
さらに、4秒かけて息を吸って、7秒間息を止めて、8秒かけて息を吐くという「ディープブリージングエクササイズ」も紹介。筋肉を交互に緊張させたり緩めたりする「プログレッシブマッスルリラクゼーション」(漸進的弛緩法)も、横になった状態でもでき、入眠に有効だという。
昼寝は?
昼寝はどうか。
ユギノビッチ氏は、午後2〜4時の間で、30分以内にすることを勧めている。
「30分以内」の理由についてこう説明する。
「たくさんのノイズ・刺激があった後の午後3時に、体が寝る時間だと捉えてほしくないからです。寝る時間ではなく、短いパワーナップの時間だからです。ソファやベッドで昼寝したい場合、30分までにしてください。昼に2時間寝ないでください。その夜の睡眠に影響が出ます」
ユギノビッチ氏はまた、昼寝で調子を上げたい人に向けて、「ナプチーノ」(コーヒーナップ)という方法を紹介する。
「昼寝をする前にコーヒーを飲んで、30分以内に起床する。その間にカフェインが体に取り込まれて、昼寝による調子の向上に加えて、カフェインが後押ししてくれる。これがナプチーノです」
ハフポストUS版によると、コーヒーナップが調子を上げる効果があるとする研究が、アメリカ国立医学図書館サイトに掲載されている。一方で、専門家はハフポストUSに、コーヒーナップに関する研究は例が少ないと指摘。コーヒーナップが効く人もいるが、全ての人に効果があるとはいえないという認識を示している。
Source: HuffPost




