2025
06.23

トランプのイラン攻撃に右派支持層からも批判の声「自分に酔っている」

国際ニュースまとめ

ホワイトハウスで会見し、イランへの攻撃を発表したトランプ大統領(2025年6月21日)ホワイトハウスで会見し、イランへの攻撃を発表したトランプ大統領(2025年6月21日)

アメリカのトランプ大統領は現地時間6月21日夜、イランの核施設3カ所を攻撃したと発表した。

この攻撃は、イスラエルによるイラン攻撃に加わる形で行われ、アメリカがイランと続けてきた核開発をめぐる外交交渉を台無しにする結果になった。

しかしトランプ氏は約4分の短い演説の中で「劇的な成功だった」と自らを称賛した。

さらに、次のように述べて追加攻撃をほのめかし、和平を結ぶようイランに迫った。

「中東のいじめっ子であるイランは、今こそ和平を結ばなければならない。そうしなければ、今後の攻撃はもっと大規模で容易になるだろう」

「この状況を続けることはできない。イランにとって、今後は平和か、あるいは我々が目にしてきたものをはるかに超える悲劇になるかのどちらかになる」

一方で、トランプ氏はイラン攻撃という重大な決定に至った理由や、具体的な戦略、緊張緩和の実現方法などについては触れなかった。

また、「神に感謝したい。神よ、愛しています」など、宗教を持ち出す発言もあった。

【動画】約4分の短い演説で、イランの核施設を攻撃したことを発表するトランプ大統領

攻撃は事態を悪化させる可能性

トランプ氏は攻撃を「劇的な成功だった」と称賛したものの、専門家からは、イランに地上部隊を派遣する、もしくは国際調査チームの現地査察を行わなければ、イランの核能力にどれほどの打撃を与えたのかを評価するのは極めて困難だと指摘する声が上がっている。

しかし、アメリカによる攻撃で、対話を通じて調査団を派遣することはほぼ困難となった。

さらに、イランが報復すればアメリカが攻撃を拡大させ、事態が一層悪化する恐れもある。

早稲田大学国際教養学部のアブドゥラ・バーブード訪問教授は、21日の攻撃の前のハフポストUS版の取材に「たとえ限定的であっても、アメリカの攻撃はほぼ確実に報復を招くでしょう。単に象徴的なものではなく、事態をエスカレートさせる」と語った。

今回の攻撃で、トランプ政権はイスラエルを全面的にサポートするというアメリカの姿勢を改めて明確に示した。

トランプ氏は演説の中でネタニヤフ氏の名前を挙げて、「アメリカとイスラエルはチームとして動いた」「中東に神の祝福を。イスラエルに神の祝福を」とコメントした。

今回の攻撃や発言で、トランプ氏の核合意に向けた外交努力は本気ではなかったとイラン側に受け止められる可能性がある。

ロサンゼルスで行われた、イスラエルの対イラン戦争にアメリカが加わったことに抗議するデモ(2025年6月22日) ロサンゼルスで行われた、イスラエルの対イラン戦争にアメリカが加わったことに抗議するデモ(2025年6月22日) 

右派の中からも反対の声

トランプ氏が議会の承認なしにイランを攻撃したことに対し、民主党の議員からは非難や、合法性や戦略性を疑問視する声が上がっている

共和党の多くの議員はトランプ氏を支持しているものの、トランプ氏の支持基盤の中でも意見対立が起きている。

アメリカ最大の親イスラエルロビー団体「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」は21日夜の声明で、トランプ氏の攻撃決定を「イランの核プログラム対する歴史的で断固たる行動だ」と称賛した。

また、アメリカ中央軍中東地域の司令官であるエリック・クリラ氏のように、アメリカとイスラエルが連携してイランを攻撃する構想を何カ月も前から後押ししてきた、親イスラエルの強硬派も政権内にはいる。

一方で、トランプ氏の元側近であるスティーブ・バノン氏らは、イスラエルが求めるままにアメリカが中東での攻撃に深入りすれば、膨大な負担が生じる可能性があると警告している。

右派ビリオネアのチャールズ・コーク氏が設立した団体「スタンド・トゥギャザー」で外交政策を担当するリード・スミス氏は、「私は、強硬派が2次的、3次的な結果についてまったく考えていないことに嫌悪感を抱いています。自分達に酔っているだけです」と、トランプ氏がイラン攻撃を発表した後の21日にハフポストUS版に語った。

スミス氏は、イランが中東に駐留するアメリカ軍への報復を行う可能性もあると指摘し、トランプ氏が今回の攻撃を「成功」と見なして、これ以上関与しないことを望むと述べた。

その一方で、「ミッション・クリープ(終わりの見えない展開)」のリスクについて懸念を語った。

「今回の攻撃は“簡単な部分”だということは、誰もがわかっていました。(強硬派は)その部分をトランプ氏にやらせたかったのです。なぜなら、一度つま先を水に浸せば、次は足全体、最終的に全身を浸すことになるだろうとわかっていたからです」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

…クリックして全文を読む

Source: HuffPost