2025
06.20
06.20
「字幕が動くとこんなに変わるんだ!」カンヌライオンズを受賞した技術がすごい。トイ・ストーリーもさらに楽しくなる
音がなくても、字幕で映画の躍動感を伝えられる。そんな技術が、「カンヌライオンズ2025」の2部門でグランプリを獲得しました。何がすごいか、まずは見てください。
受賞したのは、「キャプション・ウィズ・インテンション」という字幕のデザインを革新的に再構築するプロジェクト。
アカデミー賞の主催団体である映画芸術科学アカデミーや、シカゴで手話通訳サービスを行っているシカゴ ヒアリング ソサエティと協業した、広告代理店のFCBシカゴによる作品です。
キャプション ウィズ インテンションとは、どんな技術?
キャプション ウィズ インテンションが提供するのは、聴覚障害者コミュニティの視聴体験を向上させるための感情、文脈、明瞭さを追加する動的字幕システムです。
公式サイトは、字幕は1971年に開発されたが、導入から50年が経った今でも、このシステムは進化していないと指摘。それを、 3つの重要な方法で、解決を目指すとしています。
1.キャラクター識別のためのカラーとフォントの活用
現在の字幕では、誰が話しているのか混乱しやすいため、登場人物ごとに字幕の色を分けることで解決しました。
例えばトイ・ストーリーでは、ウッディーは黄色、バズ・ライトイヤーは紫というように、異なる字幕の色を使うことで、複数の人物が登場するシーンなどがわかりやすくなります。
Caption with Intentionで話者の色が変えられている様子(トイ・ストーリー)
Caption with Intentionで沢山の登場人物が発言する時の字幕の様子2.単語やフレーズが話されるタイミングに合わせて同期
発話に合わせて白色から登場人物の色に変化させるなど、字幕に動きをつけることで、映像中の、感情を表現するタイミングをあわせることができます。
Caption with Intentionで、話者の字幕の色が変わる様子3.フォントを可変にする
音や動きだけでなく、字幕のフォントそのものを、可変フォントに変える点も重要です。例えば、「うるさい」という文字を大きな太字にしたり、「やわらかい」という文字を小さな細字にしたりすることで、字幕に文字以上の深みや文脈を感じさせることができます。
Caption with Intentionでフォントの大きさや太さが変わる様子どんな賞で受賞したの? 審査員が絶賛するポイント
「キャプション ウィズ インテンション」がグランプリを獲得したのは、デザイン部門と、デジタルクラフト部門です。
デザイン部門は、視覚的なクラフトマンシップ(技の匠)を称える部門。アイデアや実行力が重視され、美しさだけでなく、どのようにブランドや社会に価値を与え、人々の心を動かすかが評価されます。
デジタルクラフト部門は、デジタル技術とクリエイティブの融合を重視しています。技術的な卓越性やユーザー体験の質、デザインの美しさ、そして新しい表現手法の革新性が評価されます。
今回審査員を務めた電通ラボのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、田中直樹氏は、キャプション・ウィズ・インテンションについて次のようにコメントしました。
「グランプリを受賞したアイデアは、長らく見過ごされてきた課題、つまり映画を真にアクセシブルにするという課題に対し、非常にシンプルな解決策を提示しました。
声の特徴に合わせて字幕を動的に調整することで、機能性とデザインのバランスを卓越した技術で実現しています。小さなイノベーションでありながら、人々に計り知れないインパクトを与えています」
Source: HuffPost




