2025
06.19

移民を支持するのは彼らが「勤勉」だから?その「褒め言葉」に隠れた弊害【アメリカ】

国際ニュースまとめ

トランプ政権の移民政策への抗議デモ=2025年6月9日、米ロサンゼルストランプ政権の移民政策への抗議デモ=2025年6月9日、米ロサンゼルス

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ドナルド・トランプ米大統領の指示のもと、移民税関捜査局(ICE)の捜査官たちは移民を拘束し、家族から引き離し、強制送還している。

そんな中、政治家や有名人らが「勤勉な」移民を支持する理由を語っている。

例えば、米セレブのキム・カーダシアンさんは「無実で勤勉な人たちが被人道的な方法で家族から引き離されるのを目撃したら、私たちは声を上げなければならない」とSNSに書き込み、カリフォルニア州の共和党議員デビッド・ヴァラダオ氏は「平和に暮らしてきた勤勉な人々よりも、既知の犯罪者の排除を優先すべき」と強くトランプ政権に求めていると投稿した。

勤勉で生産的であることは悪いことではない。しかし、勤勉であることばかりを称賛し、それを理由に移民を擁護することは、褒め言葉になっていない。

「勤勉」という褒め言葉の弊害

移民擁護団体「America’s Voice」のエグゼクティブ・ディレクターを務めるヴァネッサ・カルデナス氏は、彼女が育ったボリビアでは「ahínco(魂と心を込めて)」働くことは良いことだったという。しかし自身がラテン系であることで、「勤勉」という言葉が「移民は誰もやりたがらない仕事をするべきだ」と示唆するために使われることに疑問を感じている。

「議論の焦点は、この政権が無差別的に人々を標的にし、その過程で家族や地域社会を傷つけ、彼らの生活だけでなくコミュニティにも影響を及ぼしているという事実に向けられるべきだと思う」

移民が大変な重労働をこなしているのは事実で、彼らなしではアメリカ経済は崩壊するだろう。私たちの食料を収穫する農業労働者の約40%は労働許可証を持っていない、と政府は推測している。

また、移民の権利擁護団体New American Economyのリポートによると、医療、商業ベーカリー、酪農・食肉加工会社、建設労働などの重要な分野で、夕方、夜間、週末勤務に従事する可能性が最も高いのも移民だという。

しかし同時に、彼らは仕事中に怪我をしても労災補償のような救済措置のない、脆弱なグループでもある。非営利メディアPro Publicaによると、ウィスコンシン州の酪農場で働く移民の多くは、仕事中に頻繁に怪我をするにも関わらず、雇用主に追い出されたり、解雇されたり、国外追放されることを恐れ、治療を受けないことが多いという。

移民を勤勉だと誉めることは、「多くの移民にとって、『勤勉』であることは危険で搾取的な状況で働くことを意味するという現実を覆い隠し、働けない人、失業者、もしくは搾取に抵抗している人たちをさらに疎外する」とフェミニスト活動家で作家のソラヤ・チェマリー氏は話す。

「働くことはできないけれど、安全や平和を求める人は?関心や尊厳に値しますか?結局、『勤勉』という論理は、人々は固有の人間性よりもむしろ『資源』として見られ、白人至上主義的、ジェンダー的、資本主義的な深い歪みをさりげなく反映しているのです」

移民は勤勉であろうとなかろうと、尊厳と尊敬に値する

ニューメキシコ大学コミュニケーション・ジャーナリズム学部のマイケル・レチューガ学科長は、アメリカにおける移民の過酷な労働への注目は、何百万人ものメキシコ人男性が短期労働契約で合法的にアメリカで働けるようにした、1940年代から1960年代のブラセロ・プログラムに歴史的ルーツがあるという。

移民をブラセロ(スペイン語で「腕」を意味する」)と特徴づけることで、「移民の価値をブラセロに限定あるいは縮小しています。関心があるのは彼らの腕だけ、他はどうでもいいのです」とレチューガ氏は説明する。

移民の「労働力」に焦点を当てることは今日まで続いており、「職を奪った」と保守派から悪者扱いされる可能性があるとレチューガ氏は話す。しかし、左派が「いや、彼らはとても勤勉なんだ」という擁護は有効な反論にならないと指摘した。

どちらの場合も、「移民は経済的な面でのみ価値があると見なされている。しかし、国は全ての人の幸福のために社会的責任を負うべきだと主張すると、それは『求めすぎだ』とされてしまう」と彼は語ります。

移民家庭で育ったレチューガ氏は、「勤勉」と呼ばれることに複雑な感情を覚えるという。

「それは、人々の個性を消す方法だった。しかし同時に、私の個人的な経験では、社会で昇進していくために身につける必要があるものだと教えられてきた」

結局のところ、心のこもった、より包括的な移民への支援は、彼らがアメリカのために何をしてくれるのかなどの条件付けは必要ない。彼らの存在そのものが、人々や組織から配慮され、尊厳と尊敬を受けるに値すると認めることだ。

移民は単なる同僚ではなく、隣人であり、親戚であり、友人なのだ。

メジャーリーグ「ロサンゼルス・ドジャース」のキケ・ヘルナンデス選手がinstagramに投稿した、移民局に狙われているロサンゼルスの人々を擁護する投稿を見てみよう。

「ここは私の第2の故郷だ。私たちのコミュニティが侵害され、捜査され、虐待され、引き裂かれているのを見るのは耐えられない」

プエルトリコ生まれのヘルナンデス選手はさらに、「すべての人々は、敬意、尊厳、人権を持って扱われるべきだ」と続けた。

重要なのは、ヘルナンデス選手は投稿で、移民が尊敬や尊厳に値する理由として、生産性や法を遵守しているか、アメリカ経済のために何をしているかについて全く言及していないことだ。

この「すべての」という強調から、私たちは皆学ぶことがあるだろう。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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Source: HuffPost