06.15
米の天敵・イネカメムシ、各地で被害報告が増加。収穫量や品質への影響は?

このところ政府備蓄米や米の価格の高騰が大きなニュースとなっていますが、今秋収穫の米の成育も気になるところです。
今、多くの米の産地で収穫量や米の品質に深刻な影響を与えかねない事態が起きているといいます。米につく害虫の一種である、イネカメムシです。
「近年、各府県で被害の報告が増加している」と、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構中日本農業研究センター上級研究員の石島力さんは指摘します。イネカメムシと温暖化の関係、米の減収につながる可能性など教えていただきます。
イネカメムシ増加で米に被害!?
カメムシというと洗濯物や手などに臭いがついて、不快な思いをしたことがあるかもしれません。カメムシの仲間は日本には約1,300種以上生息しているといわれていますが、色や形、サイズ、エサなども様々です。そのなかで、果樹カメムシ類が果実類、斑点米カメムシ類が農業に被害をもたらす原因となっています。
「イネカメムシは、イネに被害をもたらす斑点米カメムシ類の1種で、茶褐色の体長12〜13mmと比較的大型です。
イネカメムシは雑木林などで、成虫で越冬し、イネの穂が実り始める頃に飛来して、籾(もみ)の汁を吸います。汁を吸われた籾は、不稔(ふねん)といってイネが実らなくなったり(収量減少)、籾に黒点ができる斑点米など、深刻な被害をもたらす原因になっているのです」(石島さん)
近年、イネカメムシが増加してきているといいます。

農水省による都道府県への聞き取り結果によると、2024年は37都府県で確認されています。
「イネカメムシはかつて斑点米カメムシ類の主要種でしたが、1960年以降は国内での発生量は減少していました。ところが2010年以降、茨城県、三重県などで次々と発生、その後各地に広がり、わずか数年で一気に増え、大きな被害を出している地域もあります。
埼玉県では1996年にレッドデータブックで絶滅危惧1A類とされ、2020年までは『捕獲なし』だったのが、2023〜24年に一部地域で急激に増えました」(石島さん)
農業の変化、温暖化で好条件に
なぜ、イネカメムシが増えているのでしょうか。
「1つには、イネカメムシの増殖に適した環境が増えたことがあります。
近年の担い手不足などによって経営体が大規模化したことや、飼料用米などのようにコメに対する需要が多様化したことによって、作期が分散しました。
そのことにより、イネカメムシの生息時期に、イネカメムシが好む、出たての穂がどこかの水田に常に存在する状態になったのです」(石島さん)
さらに見逃せないのが、温暖化により高温傾向となっていることです。
「害虫は生育適温が25℃ぐらいのものが多いのですが、イネカメムシの生育適温は28℃程度と高く、その温度あたりで発育速度が早くなり、羽化率も高くなることがわかっています。そのことから、温暖化により生育に有利な温度環境になっていることが考えられます」(石島さん)

近年冬が寒くなくなってきていることも、イネカメムシにとって好都合です。
「イネカメムシに限ったことではないですが、暖冬によって越冬死亡率も低下していると推測されます。このことも、イネカメムシが増えている要因となっていると思います」(石島さん)
将来、日本の米は大丈夫?
このまま温暖化が進むと、イネカメムシは今後も増え続けていくのでしょうか。
「イネカメムシを含む斑点米カメムシ類の個体数が増えたり、分布が広まったりする可能性はあります。
一方で、農林水産省や各都道府県などの関係者の尽力によって、現在ではイネカメムシを含む斑点米カメムシ類の存在が広く知れ渡っています。
被害を防ぐには、イネカメムシの成虫がつきやすい『出穂期』、斑点米の被害となりやすい『出穂期から1~2週間後』のタイミングにおいて殺虫剤を散布します。対策を行っている地域では、被害が食い止められているという報告が多くなってきています。
今後、局地的な被害が出ることはあるかと思いますが、地域全体で大きな被害が出るという可能性は低いのではないかと思います」(石島さん)
日本の主要作物であり、食文化の中心にある米ですが、様々なことからバランスが崩れる可能性があるのだと改めて感じます。
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Source: HuffPost

