06.11
そのリスキリング施策、的外れかも?調査結果で見えてきた、企業と働き手の「すれ違い」
労働人口構成の変化やDX化の普及により、企業を取り巻く事業や競争環境が大きく変化している。
働き方の多様化に伴う「キャリア自律」や、キャリアアップを目指す「リスキリング」などへの注目も高まっており、企業に変化への急速な対応が求められている。
そうした中、NTTデータ経営研究所は「NTTコムリサーチ」登録モニターを対象に「令和のキャリアプラン実態調査~キャリア形成とリスキリングの現在地~」を実施。ビジネスパーソンのキャリアプランや、企業のキャリア形成支援施策の実施状況、個人によるリスキリング状況などを調べた本調査の結果を一部抜粋して紹介する。
【調査概要】
調査名:令和のキャリアプラン実態調査-キャリア形成とリスキリングの現在地-
調査期間:2024年7月23日 ~ 2024年7月26日
調査方法:非公開型インターネットアンケート(NTTコム リサーチ クローズド調査)
調査対象:就業中の20~60代以上の男女
有効回答者数:1055人(男性:531人、女性:524人)
活用率が1割強に止まる、企業のキャリア施策
正社員におけるキャリア形成支援施策の認知度/利用度/必要性の認識」(N=840)調査では、正社員(N=840)を対象に、企業が導入する主要なキャリア施策(12項目)の実施状況と認知度、利用度、満足度、必要性の認識について聞いた。
その結果、「キャリア施策を認知している」と回答した人は全体の53.4%と過半数を超えた一方で、実際に「利用している」と回答した人は11.9%にとどまり、活用の広がりには課題があることが明らかになった。また、施策利用者の評価では、すべての施策において「低評価」が「高評価」を上回る傾向が見られた。
加えてキャリア施策の必要性について「どの施策にも必要性を感じない」と回答した人は25.2%にのぼり、キャリア支援に対する低関心層が一定数存在することが分かった。活用率の向上に向けて、働き手個人と企業側のニーズのすり合わせや、施策の目的とメリットを広く明示していく必要性がうかがえる。
次に、正社員を対象にキャリア転換の意向を役職別・年収別に分析したところ、係長クラス以上ではいずれも70%以上が転職を想定していることが分かった。一方で、主任・リーダークラスは51.0%、役職なしは24.4%にとどまった。また年収別の分析においても、500万円以上の層では約50%が転換を想定していたのに対し、500万円未満の層では17.8~38.6%にとどまり、大きく差が開く結果となった。これらの結果から、一定の経験やスキル、職責、経済的余裕を蓄積した後で自律的に転職を視野に入れる人が多いことがうかがえる。
リスキリング内容、需要と実情の不一致が課題
正社員(N=840)および契約社員(N=132)のリスキリングの実施状況続いて、正社員および契約社員(N=132)を対象に、12スキル領域別のリスキリング実施状況を分析した結果、「取り組んでいる」と回答した割合は正社員で34.9%、契約社員では22.7%にとどまり、雇用形態による実施率に差があることが明らかとなった。
特筆すべきは、DX推進に不可欠な「デジタル・ITスキル」への取り組みが正社員で18.6%、契約社員では9.1%にとどまっている点だ。実際に進められているリスキリングは「自己開発」「作業・技巧」「メンタル・適応」「リーダーシップ」など非デジタル領域が多い傾向となっており、将来のスキル需要とのギャップが生じている実態が浮き彫りとなった。
これらの結果を振り返り、NTTデータ経営研究所の調査担当者は「今後Generative AIの活用に伴う人が担う仕事の変化及び、各企業が競争力を維持するためのビジネスモデルの変革スピードと頻度が高まることが想定されています」「これらの乖離を最小化して企業・国としての競争力の強化へと繋げていく上では、官民双方において適切な投資・施策整備実施をベースとしつつ、個人に対してはより明確な形での中長期的なキャリアの選択肢を示した上で需要と合ったリスキリング活用を促進していくことが重要となります」とコメント発表。
今日におけるリスキリングの捉え直しや、事業や働き手に求められる学習内容の選定を進めていく必要性を強調している。
Source: HuffPost




