06.06
マスクとトランプがSNSで罵り合い。何をきっかけに?対立激化の全貌とは
マスク氏がDOGEの任務を終えるにあたりホワイトハウスで開かれた記者会見(2025年5月30日)これまで蜜月ぶりをアピールしてきたアメリカのトランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が激化している。
マスク氏は6月6日、「本物の大きな爆弾を落とす時が来た。エプスタインのファイルにはトランプが含まれている。それが、ファイル公開されていない本当の理由だ」とXに投稿した。「よい一日を、DJT(ドナルド・J・トランプ)!」
【画像】SNSで繰り広げられたトランプ氏とマスク氏の罵り合い。お互いを激しく批判
実業家だったジェフリー・エプスタインは、2019年に性的人身売買の容疑で起訴され、裁判を待つ間に刑務所で死亡した。
ホワイトハウスは2月、この事件に関連する膨大な文書を公開すると発表したものの、最終的に公開された文書のほとんどが、すでに知られている内容だった。
マスク氏はエプスタインファイルが公開されないのは、トランプ氏の名前が書かれているからだと主張しているが、この「大きな爆弾」が、実際どれほどの影響力があるかは未知数だ。
トランプ氏がエプスタインと近い関係だったことは知られており、同じ飛行機に乗っていたことを示す記録が存在することも報道されている。
それでもマスク氏の投稿は、トランプ氏との対立のエスカレートを示している。
なぜ、二人の対立が激化したのか
マスク氏は第2次トランプ政権で「DOGE(政府効率化省)」トップに就任し、連邦政府の予算や人員を大幅に削減してきた。
これまで両者の関係は良好に見えた。しかし、共和党が推し進める「ビッグ・ビューティフル法案(大きく美しい法案)」をマスク氏が批判したことから、2人の溝は急速に深まった。
この法案は、メディケイド(低所得者向け医療保険)などの社会保障プログラムを削減し、富裕層への減税延長を含む内容で、民主党の議員からも批判を招いている。
議会予算局(CBO)によると、法案は4兆ドル超の減税と新たな歳出を組み合わせる内容だが、社会保障プログラムの削減額は2兆ドル未満にとどまり、結果として2.4兆ドルの財政赤字を生み出すと考えられている。
また、利子を含めると赤字はさらに拡大し、一時的な減税措置の一部が将来的に恒久化される可能性も高いため、実際の財政負担はさらに増すと考えられている。
マスク氏は、法案に強く反対しており、「赤字を大幅に増やし、債務上限を5兆ドルも引き上げるような法案ではなく、新しい歳出法案を出すべきだ」とXに投稿。「ビッグ・アグリー法案(大きく醜い法案)は2.5兆ドルの財政赤字を生み出す」と批判していた。
マスク氏の言動に剛を煮やしたトランプ氏は6月6日、「予算を節約する一番簡単な方法、何十億ドルも節約できる方法は、イーロンへの政府の補助金と契約を打ち切ることだ。バイデンがそうしないのが、いつも不思議だったよ!」とTruth Socialに投稿し、マスク氏がCEOを務めるスペースXなどに対する政府契約を打ち切ると脅した。
これに対し、マスク氏は「どうぞやってくださいよ。楽しませてくださいよ…」とXで応戦。トランプ氏がエプスタインのファイルを隠蔽していると非難した。マスク氏はエプスタインファイルについての発言で「将来のためにこの投稿をブックマークした方がいい。真実はいずれ明らかになる」とも述べている。
さらに、政府の契約を解除するというトランプ氏の発言を受けて「スペースXはドラゴン宇宙船の使用を終了する作業を直ちに開始する」と書き込んだほか、「トランプは弾劾され、代わりにJD・ヴァンスが就任すべきだ」という投稿に「そう思う」とコメントした。
一方、トランプ氏は「イーロンが私に反旗を翻すのは構わないが、数カ月前にやるべきだった」と再びマスク氏を非難し、法案を擁護した。
マスクとトランプの対立激化で、マスク氏がCEOを務めるテスラの株は一時急落した。
ホワイトハウスがコメント
マスク氏の言動についてホワイトハウスは、「残念だ」とハフポストUS版への声明で述べた。
声明で、キャロライン・レビット報道官は「イーロンに関する残念な出来事です。彼は『ワン・ビッグ・ビューティフル法案』に自分が望んでいた政策が含まれていないことに不満を抱いています。大統領はこの歴史的な法案を成立させ、我が国を再び偉大にすることに全力を注いでいます」とコメントしている。
トランプ氏は2024年にエプスタインとの関係を否定しており、「私はエプスタインの飛行機にも乗ったことはないし、彼の“くだらない”島にも行ったことはない」とTruth Socialに投稿した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。
Source: HuffPost




