2025
05.31

マダニとは?感染症で70代女性が死亡。刺された時の対処法や症状など、知っておきたいこと

国際ニュースまとめ

広島市県呉市は5月30日、マダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」で70代女性が死亡したと発表した。朝日新聞などによると、女性は17日ごろに発熱。受診はせず、24日に救急搬送され同日中に死亡した。腹部に刺し口があった。マダニに刺された時期や場所は不明という。

【画像】犬・猫などペットの感染にも注意

動物やヒトの血液をエサとするマダニの活動が活発になるのは、春から秋。ハフポスト日本版では、マダニの特徴・身を守る基本知識・マダニが媒介する主な感染症を、厚生労働省や国立感染症研究所などの報告をもとにまとめた。

マダニとチリダニの大きさの比較マダニとチリダニの大きさの比較

※上の写真は、全国に分布し、ヒトへの感染に関与するフタトゲチマダニの成虫(右)とハウスダストに含まれるチリダニの大きさの比較。出典:東京都安全研究センター

マダニとは? 

生息地山林・草むら・畑・あぜ道など。植物や落ち葉に潜んでおり、近づいた動物や人の皮膚に口器を突き刺し、長時間(長いと10日以上)にわたって血を吸う。

大きさは吸血前で3〜8mm(成虫)で、吸血すると10〜20mmに膨らむ。肉眼でも確認できることが多い。硬い外皮に覆われている。

種類は少なくとも47種が国内に生息。住まいに棲むイエダニや植物の害虫であるハダニ類とは異なる。

東京都内のマダニ捕集状況(2023年度)東京都内のマダニ捕集状況(2023年度)

マダニが媒介する主な感染症 3割が死亡という報告も

細菌やウイルスなどの病原体を保有するマダニに刺されることで起きる感染症は、複数ある。2013年に国内で初めて患者が確認された、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)では、患者の約3割が死に至るという研究もある。厚生労働省によると、2023年のSFTS患者数は過去最高の133人。全患者の9割が60歳以上となっている。

◾️重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

初期症状は主に、発熱、全身倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)。

潜伏期間はマダニに刺されてから6日~2週間程度で、より短い場合もある。

犬や猫の感染症発症と、ペットから飼い主や医療従事者への感染も報告されている。

2024年には、国内で初めて、ヒトーヒト感染(患者→医療従事者)が報告された。

国立感染症研究所によると、国内のSFTS患者の致命率(診断・報告された患者のうち、一定の期間内に死亡した患者の割合)は27%にのぼる。

 ◾️日本紅斑熱

初期症状  刺された部分は赤く腫れ、中心部がかさぶたになるが、紅斑は痒くなったり、痛くなったりすることはない。紅斑は高熱とともに四肢や体幹部に拡がり、治療が遅れれば重症化・死亡する場合がある。

潜伏期間は2~8日。

国立感染症研究所によると、1999年4月〜2016年12月までに報告のあった2,147例のうち、死亡例は21例(年間0~5例) で、致命率は0.98%だった。年齢は60〜80代。

◾️ライム病

初期症状 ダニに刺された部位を中心に、遊走性紅斑(赤色の丘疹が生じ環状に紅斑が広がる)が出現。筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒など、インフルエンザのような症状を伴うこともある。

潜伏期間は3日〜約30日。

国立感染症研究所によると、2006年5月1日から2024年3月31日までに診断されたライム病症例は265例。末梢神経症状、髄膜炎、顔面神経麻痺などの報告もあり、北海道での感染が多い。

米国では感染が広がっており、歌手のジャスティン・ビーバーさんやアヴリル・ラヴィーンさんが、かつて闘病を告白していた

◾️ダニ媒介脳炎

国内では北海道で感染が報告されている。

初期症状は発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感など。

潜伏期間は2〜28日(通常7〜14日)。

日本感染症学会によると、日本では1993年から2024年9月までの間に、7人の発生が報告されている。2016年には国内で初めて、40代男性が死亡した

マダニから身を守るには

山林で活動したり、農作業をする際には、肌の露出を少なくする

 ・長袖・長ズボンを着用。シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる。

・帽子・手袋を着用。首にタオルを巻く。

・ダニの付着が分かりやすいよう、明るい色の服を着る。

また屋外での活動後は

・上着や作業着は家の中に持ち込まない。

・ガムテープを使って、衣類についたダニを取り除く。

・シャワーや入浴で、 ダニが付いていないかを確認。特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部(髪の毛の中)をチェックする。

もしマダニに刺されたら

吸血中のマダニに気が付いたときは、無理に引き抜こうとしない

マダニは皮膚に咬みつき、セメントのような物質を分泌して固着し、その後、麻酔物質の含まれた唾液を分泌して吸血する。このため、刺された直後は気付かないことが多い。数日してから異物感やかゆみなどを感じて、マダニに気が付くこともある。

無理に引き抜こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれもある。

厚生労働省では、対処法として

皮膚科などの医療機関で、マダニの除去・洗浄などの処置をしてもらうこと

またマダニに刺された後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受ける

などの行動を呼びかけている

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Source: HuffPost