05.25
「電動車椅子さんぽ」で世の中が変わる。ハチミツ二郎発案の「ギャラクシー賞」受賞番組に高まる待望の声
「電動車椅子さんぽが始まらない スポンサーになれる方がいましたら宜しくお願いします」。東京ダイナマイトのハチミツ二郎さんが5月、「拡散希望」とメディアプラットフォームnoteに寄せた文章のタイトルだ。
【画像】新幹線にも電動車椅子で
2020年に新型コロナに感染し重症化、その後人工透析を受け、車椅子が手放せない生活をしているというハチミツ二郎さん。病に倒れたあと電動車椅子を購入した経緯や、散歩が人生にもたらすこと、「電動車椅子さんぽ」をテレビ番組でレギュラー化して多くの人へ届けたい思いが記されている。
パイロット版は「ギャラクシー賞」受賞
言われてみれば、平日午前は「じゅん散歩」、土曜のお昼は「有吉くんの正直さんぽ」など、街ブラ番組が数多ある一方で、車椅子の番組はない。
そんな中、ハチミツさんが発案し、「電動車椅子さんぽ」のパイロット版として企画されたテレビ朝日系バラエティ「有吉クイズ」(放送は3月30日と4月6日、有吉クイズ「ハチミツ二郎と電動車椅子さんぽ」)が、4月度のギャラクシー賞月間賞を受賞した。
ギャラクシー賞は、日本の放送文化の質的な向上を願い、優秀番組や関係者に放送批評懇談会から贈られる。
東京ダイナマイト。右がハチミツ二郎さん電動車椅子とは?
電動車椅子とは、電気モーターで動く車椅子。最高速度は6km/h以下で、大きさなどの型式認定基準があり、道路交通法上、歩行者として扱われる。
歩道のある道路では歩道を、歩道がない道路では原則右側通行など、交通ルールは歩行者と同じだ。運転免許証は不要で、年齢制限なく、誰でも乗れる。
障害のある人や歩行が難しい人だけでなく、運転免許を返納した高齢者の移動手段としても活用され、経済産業省によると、2023年の年間生産台数は約1万4300台。操作にはジョイスティック、ハンドルの2種類があり、折り畳んでコンパクトになるタイプなど、様々なものが販売されている。
近年では、空港や観光地、商業施設などで、電動車椅子のレンタルサービスを目にすることも増えた。
「利用者の6割超が50代以下」というサービスも
電動車椅子の開発・販売を手がけ、全国65カ所の観光施設や公園などでレンタルサービスを展開する「WHILL」では、利用者の6割超を50代以下が占めるという。「歩けるけれど長距離はしんどい」「快適に移動したい」「ケガをしているから」など、様々な理由で電動車椅子が使われており、利用者の裾野が広がっている。
WHILLの一時レンタルサービス利用者の年齢割合一方で、電動車椅子には事故の危険もある。2013年〜2023年に製品評価技術基盤機構(NITE)に報告のあった、高齢者が被害者となった電動車椅子の事故52件のうち、死亡事故は26件、重傷事故は16件で、8割が深刻な事故だった。誤って転落・転倒したケースや踏切で起きる事故が多い。
2013年〜2023 年の被害内容深刻な事故「道の確認を」
利用者が単独で出かけた際に事故が起きるため、NITEの担当者は「1人で電動車椅子で出かける前に、通り道に側溝や踏切、大きな段差がないかを確認してほしい」と呼びかけている。
だが「事前の確認」こそ難しい。いろんな場所へ行ってみたいけれど、車椅子で通れるか分からないから…と、知らない場所への外出を躊躇してしまう車椅子ユーザーは少なくない。
また、周囲が気をつけるにあたって、ふだん車椅子に接しない人が、ユーザーにとって何が不便で危険かを知る機会もほとんどない。
初めてiPhoneを触った時みたい
そうした中、パイロット版の「電動車椅子さんぽ」は、「乗る人」も「乗らない人」も楽しめて、電動車椅子の基本知識や街の暮らしやすさも分かるバラエティ番組だった。
番組の冒頭、電動車椅子に乗るのが初めてだという有吉弘行さんは、車椅子の進行方向を決めるジョイスティックの直感的な操作性を「初めてiPhoneを触った時みたい」と流石の言い回しで表現。
ハチミツさんの先導で、有吉さん、さらにタイムマシーン3号の関太さんが加わり、武蔵小山商店街を「街ブラ」していく。
この段差、俺行けるかな
立ち食いの焼き鳥店で、電動車椅子での「座り食い」の食事を楽しんだ後は、入口に緩やかなスロープがある鮮魚店へ。「車椅子さんぽ」の道中、「外に出たくなくなるかな、と思ったけど、楽しいね」と言う有吉さんに「逆です、出たくなるんですよ」と応じるハチミツさん。いくつかのお店を回ったあと、ハチミツさんの「思い出の味」を求めて、商店街から数分の喫茶店へ向かった。
その途中、道に小さな段差があった。「この段差、俺行けるかな…これ無理だ」。ハチミツさんは、さっとスロープのある場所へと回り道をして、歩道に上がった。
ほんの数センチの段差が障害になる。
車椅子を使わない人は、そうした障害の存在にほとんど気付かず暮らしている。
まだまだ発見がある
番組の最後、有吉さんは電動車椅子での散歩を「身をもって体感できる。色々、まだまだ発見があるだろうな」と語った。
番組に対するギャラクシー賞の選評には、こうある。
「笑いのなかに学びもあり、障害者や高齢者だけでなく健常者も含め、気軽に車椅子で外出するという、よりよい未来像を自然体で提示していた」
「WHILL」の電動車椅子。写真は番組内で有吉さんが使っていたのと同じ「Model C2」歩けなくても「街ブラ」ができる社会へ。車椅子で散歩しやすい街は、ベビーカーでも散歩しやすい街だ。「電動車椅子さんぽ」のレギュラー化に、期待が膨らむ。
SNSでは「電動車椅子さんぽが当たり前になったら世の中が変わる」「ワクワクした」「ただおもろいだけやなく、社会の在り方を考えさせられた」「みんなに観てほしい」「面白くて為になって、そしてなぜかちょっと泣けた すご〜くいい回だった」などの反響が広がっている。
ギャラクシー月間賞受賞を記念して、「有吉クイズ」の「ハチミツ二郎と電動車椅子さんぽ」放送回はTverで視聴可能。
Source: HuffPost




