05.22
トランプ、南ア大統領を「白人迫害している」と非難。「恐ろしい殺害だ」と憤るも否定される
アメリカのトランプ大統領は5月21日、ホワイトハウスで行われた南アフリカのラマポーザ大統領との会談で、南アフリカ政府が白人農民を迫害しているという主張を繰り返した。
トランプ氏は、ラマポーザ大統領が2025年1月に署名した「土地収用法」や、イスラエルのガザ攻撃を非難する南アフリカの姿勢を批判しており、2月には同国への支援を打ち切った。
アメリカの支援打ち切りで南アフリカでは4億3000万ドルの財政赤字が生じており、HIV治療の予算が削減される可能性も出てきている。
ホワイトハウスで会談した南アフリカのラマポーザ大統領とアメリカのトランプ大統領(2025年5月21日)アメリカは南アフリカの2番目に大きな貿易相手国でもあり、トランプ氏の懸念を和らげ、関係を改善させることは、ラマポーザ大統領にとって会談の重要な目的の1つだった。
しかし、トランプ氏は会談で白人農民への襲撃を報じたとされる記事のコピーを配り、「殺害、殺害、殺害、恐ろしい殺害だ」「暴力と人種差別的な法律のせいで、白人の南アフリカ人たちが逃げ出している」と、ラマポーザ氏を激しく非難した。
【動画】会談で「南アフリカで白人が迫害されている」と主張する動画を流し、記事を配るトランプ大統領
ラマポーザ大統領は否定
一方、ラマポーザ氏は「白人農民が処刑されている」という主張を「誤りだ」と否定。南アフリカで犯罪はあるが、殺害されているのは白人だけではなく、多くは黒人だと主張した。
トランプ氏は会談で映像も流し、白人農民が殺された家族を追悼している様子だと述べた。しかし、映像の撮影場所について尋ねられると、答えられなかった。ワシントンポストは、映像は墓地ではなく、抗議活動の様子を撮影したものだと報じている。
また、トランプ氏は少数政党のメンバーが土地の占拠計画について語る映像も流したが、ラマポーザ氏は「政府の政策を反映しているものではない」と答えた。
白人は迫害されているのか?
南アフリカの犯罪率は高いものの、専門家やファクトチェック記事は、白人農民が黒人農民に比べて、過度に狙われているという証拠はほとんどないと指摘している。
一方で、「白人が大量に虐殺されている」「白人農民が暴力の対象になっている」という主張が南アフリカやアメリカなどで広まっている。
南アフリカでは、アパルトヘイトが撤廃されてから30年以上経った今も、白人と黒人の経済格差が大きい。南アフリカの人口に白人が占める割合は7%と少ない一方で、農地の約70%を所有している。
土地収用法は、この格差を是正し未利用の農地を再分配する一環として、一定の条件のもとで、政府が補償なしでも土地収容を可能にした。
ホワイトハウスでの会談で映像を流す様子(2025年5月21日)ラマポーザ大統領はこの法案に署名した一方で、2月に「土地は一切没収されていない」と投稿している。
しかしトランプ氏は、南アフリカの政策を非難し続けており、5月には人種を理由とした攻撃や差別的扱いを受けたと主張する南アフリカの白人59人を難民として受け入れた。
Source: HuffPost




