05.21
AIが作成した米新聞の読書リストに実在しない本が掲載される。「ひどい」「事実確認なし?」
配達される前のシカゴ・サンタイムズ紙(2017年5月30日)アメリカ・イリノイ州を拠点とするシカゴ・サンタイムズ紙に5月18日に掲載された「2025年夏の読書リスト」が批判を招いている。
このリストには、アンドレ・アシマン氏の『君の名前で僕を呼んで』など実在する小説も含まれていた一方で、架空の本も紹介されていた。
【画像📚】シカゴ・サンタイムズ紙が掲載した、AIで作られた「夏の読書リスト」
例えば、作家イサベル・アジェンデ氏の作品として紹介されている『Tidewater(海岸地帯)』は存在しない。
この本はリストで「魔術的リアリズムと環境活動が海辺の町を舞台に交差する、世代を超えた長編小説」と紹介されていた。
NPRによると、リストに掲載されている15冊のうち、実在する書籍は5冊だけだった。
このリストは、ライターのマルコ・ブスカリア氏(サンタイムズ紙の社員ではない)が生成AIを使って作成した。
ブスカリア氏は「私は、下調べのためにAIを使うことはありますが、必ず自分で内容を確認しています」と、独立系のテクノロジーニュースサイト・404メディアに語っている。
「しかし、今回はそれを怠りました。明らかな誤りで確認しなかったことが信じられません。言い訳のしようがありません」
「今日は一日中、電話がかかってくるでしょう。すでにかかってきています」
「本当に馬鹿なことをしてしまいました。とても恥ずかしいです。(ネットで指摘を)見つけた時は、現実とは思えませんでした」
SNSで批判相次ぐ
この「2025年夏の読書リスト」に対し、ソーシャルメディアには驚きや批判の声が投稿されている。
作家レベッカ・マカーイ氏は、「めちゃくちゃひどい。シカゴ・サンタイムズはAIを使い、存在しない本の夏の読書リストを作ったようです」とBlueskyにつづっている。
リストにはマカーイ氏の名前もあったが、同氏の書籍として紹介されていた『Boiling Point(沸点)』は実在する作品ではない。
書籍サイト・ブックライオットの編集者ケリー・ジェンセン氏は「なぜ、タイトルをでっち上げるためにChatGPTなんかを使っているのでしょうか? 昔はちゃんと書籍担当のスタッフがいました。事実確認も一切なしですか?」とBlueskyに投稿。
同氏は「図書館の予算が削減され解体されていけば、書籍紹介の未来はこうなります。経験を重ねた専門家たちは排除され、代わりに、このような捏造された不正確なゴミ情報が出てくるのです」とも主張している。
シカゴ・サンタイムズは「調査する」と発表
一方、掲載したシカゴ・サンタイムズ紙は20日に、AI生成の記事が紙面に載った経緯について説明と謝罪の声明を発表。
外部の第三者企業から提供されたライセンス契約コンテンツの一つで、シカゴ・サンタイムズを含む複数の新聞社に配信されたと述べた。
また、今回の件を非常に重く受け止めており、「二度と起こらないよう全力を尽くします。この欄の制作および掲載の過程について、さらなる説明と透明性をもって対応する必要を認識しており、追加の情報を数日中に掲載します」とコメントしている。
On Sunday, May 18, the print and e-paper editions of the Chicago Sun-Times included a special section titled the Heat Index: Your Guide to the Best of Summer, featuring a summer reading list that our circulation department licensed from a national content partner. 🧵
— Chicago Sun-Times (@chicago.suntimes.com)2025-05-20T19:53:14.302Z
シカゴ・サンタイムズ紙の600人以上の従業員を代表する労働組合「シカゴ・サンタイムズ・ギルド」は、「これは私たち編集部のメンバーが知らないうちに外部で作成された配信記事です。AI生成のコンテンツが私たちの記事と並んで掲載されたことに深い懸念を抱いています」という声明をBlueskyに投稿している。
The CST Guild is aware of the third-party “summer guide” content in the May 18 edition of the Sun-Times newspaper.This was a syndicated section made externally without the knowledge of the members of our newsroom.We’re deeply disturbed that AI-generated content was printed alongside our work.
— Chicago Sun-Times Guild (@cstguild.bsky.social)2025-05-20T18:24:57.851Z
「私たちは、労働組合のメンバーが生み出し、紙面やウェブサイトに掲載されるジャーナリズムに大きな誇りを持っています。この“コンテンツ”が60ページ以上もあったという事実は、読者との信頼関係だけではなく、労働組合の権限の観点からも、非常に憂慮すべき問題です」
ブスカリア氏は、読書リストはサンタイムズ紙と一切関係がなく「完全に自分の誤りだ」とNPRにコメントしている。
「読者は自分が購入するコンテンツが正確だと信じています。私はその信頼を裏切ってしまいました。100%私の責任です」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
Source: HuffPost




