2025
05.05

英語のポンドはなぜ「lb」と表示するの?単語は「pound」なのに

国際ニュースまとめ

1ポンド当たりの値段が表示されているいちご1ポンド当たりの値段が表示されているいちご

英語では、計量の単位はしばしば略字で表現される。

例えば、大さじ(tablespoon)は「tbsp」、クォート(quart)は「qt」、ヤード(yard)は「yd」といった具合に、元の単語を短くした略字で表示される。

一方、約453.6グラムを表す重さの単位「ポンド(pound)」の略語は「lb」。元の単語「pound」にはlもbも使われていないのに、なぜこの略語を使うのだろうか。

なぜポンドはlb?

その答えは古代ローマにさかのぼる。“lb” とは、ラテン語の libra(リブラ) の略語なのだ。

占星術に詳しい人なら、Libra(てんびん座) が黄道十二宮の7番目の星座で、天秤のシンボルで表されることを知っているだろう。

ローマ時代、「libra(リブラ)」という言葉は天秤や秤を意味し、重さの単位としても使われた。

その単位とは「ポンド重」または「重さで1ポンド」を意味する「libra pondo(リブラ・ポンド)」だ。その「libra」の省略形である「lb」が、重量のポンドを意味するようになったというわけだ。

英語で「libra」もしくは「lb」が「ポンド」を表す言葉として使われている最も古い記録は、14世紀にさかのぼると言われている。

一方、「libra pondo(リブラ・ポンド)」の「ポンド」の部分が、英語の「pound(ポンド)」という単語の語源になった。

英通貨「ポンド」も重さに由来あり

「pound(ポンド)」はアメリカでは重さの単位を連想させる言葉である一方で、イギリスではむしろ通貨の単位を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

これは、元々通貨の1ポンドが、重さ1ポンドの銀に相当していたことに由来する。

イギリスのポンドの通貨記号「£」も、「libra(リブラ)」という言葉と関係がある。「£」は、大文字のLを凝って書いた形なのだ。

また、イタリアの旧通貨「リラ(lira)」とその記号「₤」も、語源は同じくlibraだ。

さらに、ポンドは「#」という記号で表現されるが、これは中世の写字生たちが 、libra pondo(重さのポンド)を表す略語「lb」を急いで書いた筆跡が変化した形だと考えられている

オンスのOZは?

ポンドに加えてわかりにくい省略形を持つのが、1ポンドの16分の1である約28.35グラムに相当する 「オンス(ounce)」 の「oz」だ。この略語の歴史もローマ時代にまでさかのぼる。

「ounce(オンス)」は、重さ・長さ・容積の12分の1を指す、ラテン語の 「uncia(ウンキア)」 に由来している。

現在、常用オンスでは1オンスは16分の1ポンドだが、古代ローマでは1ポンドは16オンスではなく12オンスだった。

「ounce(オンス)」 だけではなく、1フィートの12分の1の長さである2.54cmの 「inch(インチ)」 という英単語も、「uncia(ウンキア)」から派生してる。

このラテン語の「uncia(ウンキア)」が古英語で 「ynce(インチ)」 となり、それが現在の「inch(インチ)」に変化した。

一方、「ounce(オンス)」は、「uncia(ウンキア)」がフランス語の 「unce」、さらに「once」 を経由して英語になった。また、省略形の「oz」 は中世イタリア語の 「onza(オンザ)」 に由来している。

つまり「ounce(オンス)」と「oz」は、それぞれフランスとイタリアという異なる経由で英語になったのだ。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

…クリックして全文を読む

Source: HuffPost