04.25
イギリスの学校で増加する女性蔑視。「知られなければレイプにはならない」発言も。背景にあるのは
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13歳の少年がクラスメートの女子生徒を殺害した理由を探るNetflixのドラマ『アドレセンス』が反響を呼んでいる。
このドラマで描かれている、学校やSNS上でのミソジニー(女性蔑視)は、イギリスで実際に起きているのだろうか。
ハフポストUK版の取材で、複数の教師が「学校ではミソジニーな発言が日常的に起きている」と答えた。
女性に対する差別的な言動やハラスメントは、低年齢の小学生の間でも見られるという。
教師たちは学校でのミソジニーを懸念
ユニソンとUKフェミニスタが2024年に行った共同調査では、女性差別的な言動やセクハラが、学校で重大な懸念事項になっていることが明らかになった。
また、教員200人を対象に実施したヨーク大学の調査では、中学校教師の76%、小学校教師の60%が、オンライン上のミソジニーが学校に与える影響について非常に懸念していると回答した。
教師らはこの調査で、男子生徒が女性蔑視的なインフルエンサーを称賛したり、女性嫌悪の発言をしたり、女子生徒や女性教職員に対して差別的な行動をとったりするのを見たと述べている。
1人の教師は、男子生徒が「誰にも知られなければレイプにはならない」と発言したのを聞いた、と答えている。
他にも、不適切な性的表現を含むメッセージを女子生徒に送ったり、学校で女子生徒を威嚇したりしたケースも報告されている。
女子生徒だけではなく、女性教職員もターゲットになっている。
ある教師は、男子生徒が女性の教職員を尊重しないことが何度かあったと説明。女性教師の指示に従わなかったり、容姿について軽蔑的な発言をしたりする生徒もいるとしている。
また、女性教職員に向かって「お前の言うことを聞く必要ない」と発言した小学生もいたという。
背景にあるインターネットの影響
オバートン・グランジ・スクールの教頭で安全対策責任者であるシャーロット・ティーガス氏は、女性蔑視的・性差別的な発言は増加しており、その多くがインターネットの影響を受けているとハフポストUK版に語った。
「こうした考えが仲間内で“当たり前”になってしまうと、異議を唱えるのが難しくなるのです」
「女性蔑視や、女性の教職員・生徒に敬意を示さない生徒が増えています。主な原因は、有害な考えが急速に拡散されるオンラインプラットフォームの台頭にあると考えています」
ティーガス氏は「インターネットの無制限な利用」が大きな要因だとも指摘している。
子どもたちは女性蔑視的なコンテンツに触れると、アルゴリズムのなすがままに深く引き込まれていく。隣に座って「そのコンテンツを批判的な視点で見るように」とアドバイスする大人もいない。
ティーガス氏は「若者たちは学校から離れた場所でネガティブな影響にさらされています」とも説明する。
「我が校含め、多くの学校がこうした課題に積極的に取り組んでいますが、依然として解決が難しい問題です」
ティーガス氏は、『アドレセンス』は、特に10代の子どもを持つ親にとって必見の作品だと考えている。
イギリスのスターマー首相も、同作を学校や議会で見られるようにしてほしいという声を支持し、これを受けてNetflixはイギリスのすべての中学校で視聴できるようにした(一方で、作品で描かれている有害な男らしさが肯定的に捉えられててしまうのではと懸念を表明した校長もいる)。
長年中学校で教師をしてきたローラ・ガワーズ氏は、女性に対して敬意を欠く態度を取る生徒を見てきたとハフポストUK版に語った。
「決して全員ではありませんが、一部の男子生徒は女性を表現する際に不適切な言葉を使うことがあり、明らかに(インフルエンサーの)アンドリュー・テイトの影響を受けていると感じることもあります」と彼女は語った。
「テイトの名前が出ると、一部の男子生徒は笑って、彼の考えをまねすることがあります」
ガワーズ氏もティーガス氏同様、学校側はこの問題について生徒に教育を行っているものの、学校の外やソーシャルメディア上で起きていることに教師が介入するのは非常に難しいと述べた。
ガワーズ氏は2024末に教師を辞めた。辞職の主な理由は、生徒の態度の悪化や、業務量の増加、保護者からプレッシャーが高まったことだったという。
ティーガス氏も、男子生徒の一部がオンラインで接しているコンテンツが、問題行動につながっているのではないかという懸念が教師の間で広がっていると話す。
「有害な男らしさの側面、例えば女性蔑視や自分には特権があるとする考え方などが、時として校内での容認できない行動につながるという深刻な問題が全国的に増えています」
「特定の『男らしさ』の理想に従おうとする重圧と、ソーシャルメディアの無制限な使用が組み合わさることで、受け入れられない行動を取る場合があります」
何ができるのか
ヨーク大学の調査では、中学校の教師の90%、および小学校の教師の68%が、学校でオンライン上のミソジニーの影響に対処するための教材を使用することが有益な対処法だと思うと回答した。
ティーガス氏の学校では、尊重の精神を育て、有害なステレオタイプを否定し、ジェンダー平等についての授業を取り入れることに力を入れているという。
同氏は「生徒たちが安心して声を上げ、共感や同意について自由に話し合える環境を作ることが、こうした問題に効果的に対処するために重要です」とハフポストUK版に述べた。
ロンドンの学校で副校長を務めるサム・アルナー氏は、生徒を守るためにはソーシャルメディアの規制が必要だと考えている。
「ソーシャルメディアに対するより厳しい規制と、テック企業の責任の強化を求めていく必要があります」とハフポストUKに語った。
女性蔑視の発言や行動を取る生徒に対しては、注意をした上で何が問題かを説明する必要がある。
その一方で、ガワーズ氏は一部の生徒はすでにミソジニーの考えを持っていたり、家庭で女性蔑視的な言動を耳にしたりしている可能性があると指摘する。
学校でできることには限界がある。たとえ難しくても、子どもとの会話に向き合う責任の多くは保護者にあると言えるだろう。
ある母親は最近、幼い息子がオンライン上で女性蔑視的なコンテンツに影響されている兆候に気づいたため、会話を通して内容を批判的に捉えるよう促したと明かした。
保護者は、行動を起こし、子どものオンライン上の安全に関わり、大人になるまで常に必要な会話を続けていく必要がある。
家族心理療法士のフィオナ・ヤッシン氏はハフポストUK版に次のように語った。
「難しいと感じたとしても、ミソジニーや女性の扱いに関する会話は非常に重要です。お子さんがそうした行動を実際に示しているか、あるいは有害なコンテンツを見ているかどうかに関係なく。すべての子どもたちとの会話で不可欠なトピックです」
ハフポストUK版の記事を翻訳しました。
Source: HuffPost




