04.21
赤ちゃん取り違え訴訟、生みの親の調査を東京都に命じる 東京地裁【出自を知る権利】
子ども時代の江蔵智さん東京都の産院で生まれた直後に別の赤ちゃんと取り違えられた男性が、生みの親を特定する調査を都が行わないのは人権侵害だとして、都に調査の実施や損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(平井直也裁判長)は4月21日、都に調査を命じる判決を言い渡した。
原告が求めていた損害賠償の支払い請求は棄却した。
何が争われていたのか
訴状などによると、原告の江蔵智さんは1958年4月10日ごろ、東京都立墨田産院(88年に閉院)で生まれた。
97年に母が体調を崩して病院で検査した際、自分が両親からは生まれない血液型だと分かり、親子関係に疑いを持つようになったという。
2004年に法医学の専門家に依頼してDNA鑑定をしたところ、自身が父と母のいずれとも血縁上のつながりがないと判明した。
都を相手取った民事訴訟で、東京高裁は06年、産院による取り違えの事実を認定した。その上で都に対し、江蔵さんと父母に計2000万円の損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡し、確定した。
江蔵さんはこの裁判と並行して、当時は開示されていた住民基本台帳を基に、自身の誕生日の前後10日間に生まれ、産院のあった墨田区内で暮らす人を一軒一軒訪ねて生みの親を探し続けたが、手がかりは得られなかった。
高裁の判決後、江蔵さんは都に調査の協力を求めたが拒まれたため、提訴に至ったという。
原告側は、調査に協力しない都の対応が、生まれた子を看護する内容を記した「分娩助産契約」に付随する義務に違反していると主張。
さらに、「子どもの権利条約」(日本は1994年に批准)が定める子どもの出自を知る権利を侵害しているとも指摘した。加えて、日本も批准する自由権規約が定める「人権侵害に対する効果的救済を受ける権利」も侵している上、憲法違反だと訴えていた。
江蔵さんによると、育ての父親はすでに亡くなっており、90代の母は認知症の症状が進んでいるという。
原告側は、都が生みの親を特定する調査をした上で、連絡先の交換についての意思を確認することを求めていた。
一方、被告の東京都は、江蔵さんの生みの親を特定する調査の実施に関して、根拠となる法令がないため戸籍の公用請求はできないと主張。相手方のプライバシーの保護などを理由に、請求棄却と却下を求めていた。
Source: HuffPost




