2025
04.18

「汗に悩んでいるなら、勇気を出してお医者さんに相談を」。科研製薬が発表した「多汗症前線」とは?

国際ニュースまとめ

異常気象で暑い日が増えている近年、日本の夏は今年も猛暑となる見込みだ。

暑い季節の悩みの種といえば「汗」。特に日常生活に困るほど大量の汗が出る疾患である多汗症の患者は、「汗っかき」と多汗症を見極められず放置してしまったり、恥ずかしさから受診に踏み出せなかったりといった理由から、受診率が9.5%以下にとどまっており、頭を抱え続けている人が多いと言われている。

科研製薬は、ワキ汗をはじめとする多汗症の受診に踏み出せない患者に対して、受診機会の促進や疾患認知の訴求を目的に、多汗症に気を付けるべきシーズン「多汗症前線」を公開。4月9日に開催された「多汗症前線2025」発表セミナーで、多汗症の基礎知識や実態などについて聞いた。

多汗症とは?気象予報士「アマタツさん」も登壇

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚病態学教授の室田浩之さん長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚病態学教授の室田浩之さん

長崎大学大学院教授の室田浩之さんは、多汗症の定義を「頭部、顔面、手のひら、足底、腋窩(ワキ)に、温熱や精神的負荷の有無に関わらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の発汗を生じる状態」だと説明。

発症の理由については「必ずしも体内の異常があるとは限りません。遺伝をはじめ、さまざまな要因が考えられます」と話した。また、対称性に発汗がみられることや睡眠中は発汗が止まることなども、多汗症の特徴だという。

汗は、細菌増殖の抑制、肌の冷却、角層の恒常性維持(古い角質を剥がす酵素や天然保湿因子による効果)、システインプロテアーゼ(肌を構成するタンパク質を分解する酵素)の失活など、多くの優れた効果を持っている。一方で、多汗は肌のタンパク質を過剰に分離し、汗かぶれなどの悪影響を及ぼすという。また、多汗症を放置することで皮膚感染症のリスクも高まるそうだ。

室田さんは「受診率の非常に低い多汗症ですが、近年では飲み薬や注射、塗り薬など、新しい治療選択肢が増え、保険適応の治療も登場しているので、ぜひ積極的な受診を通じて暮らしの負担を軽減していただきたいです」とコメントした。

多汗症前線(提供:科研製薬)多汗症前線(提供:科研製薬)

今回、科研製薬、日本気象協会、JMDC、そして長崎大学の産学連携により発表された「多汗症前線2025」は、気象データや医療ビックデータなど大規模リアルワールドデータをもとに、気象と多汗症受診患者数の関連調査を行い、多汗症の発症・症状悪化のタイミングを科学的に予測したものだ。

打ち出しの背景として、汗は気候の影響を受ける(暑い時に発汗するなど)と考えられているが、多汗症患者の受診と気候の関係を調べた報告が過去にないこと、医療従事者側の「症状が悪化する前に治療へアクセスしてほしい」という思いと、患者側の「受診するタイミングの目安、何らかきっかけが必要」という思いに応える指標が必要だと考えたことがあるという。

調査の結果、多汗症患者の受診は、夏季を中心にピークを繰り返す周期性が存在すること、最低気温から多汗症の受診ピークを導き出せることがわかったという。

天達武史さん天達武史さん

続いて、気象予報士の天達武史さんが登壇。今年は4、5月の平均気温が「平年並みか高い」、6月が「平年より高い」と予想されている現状を踏まえ(気象庁調べ。2025年4月9日時点)、「多汗症前線は『遅くともこの日までには』という目安なので、多汗症前線を参考にしつつ、早め早めに受診していただくのが良いかと思います」とコメントした。

また、2024年に全国のアメダス地点で観測された猛暑日の地点数が、2023年の数を大きく上回ったり、夏季に40度を超える地域が増えたりしている現状について「気温が上がると外に人がいなくなってしまい路上インタビューができなくなるんです。ロケ先で飲み物を何度も購入してお金がなくなるという悩みもあります(笑)」と話し、日本全国を飛び回る気象予報士ならではのエピソードで会場を盛り上げた。

多汗症患者の「あるある」と、寂しさを感じさせる「優しい言葉」

後半のトークセッションには多汗症患者の当事者で、NPO法人多汗症サポートグループ代表理事の黒澤希さんが登壇。挨拶時に自身の汗で階段から滑り落ち、尾骨にヒビが入ったという過去の衝撃的なエピソードを入り口に、患者の視点から多汗症について語った。

トークセッションの様子。天達武史さん(左)室田浩之さん(中央)黒澤希さん(右)トークセッションの様子。天達武史さん(左)室田浩之さん(中央)黒澤希さん(右)

多汗症前線について「『自分は多汗症持ちなのかな?』と思いつつも受診のタイミングが分からなかったり、受診の勇気がでなかったりする人もいると思うので、こうした形で可視化してきっかけを作っていただけるのは本当にありがたいと思います」とコメントした。

続いて、同団体が患者を対象に実施したアンケートを用いて、多汗症患者の日常生活における工夫を紹介。食生活での工夫としては「熱いものを避ける」「辛いものを避ける」などが多く挙げられたほか、服装についての工夫では「汗染みの目立たない服を選ぶ」が突出して多い結果となったという。黒澤さんは「患者同士で『グレーやパステルカラーは憧れだよね』という会話が『あるある』になるほど、色に関する制限は多くの患者にとっての困りごとです」と話した。黒澤さん自身も、交感神経を刺激する作用のあるコーヒーを制限したり、常に着替えやハンカチを持ち歩いたりといった、さまざまな工夫をしているという。

また「周囲から『気にしなくていいよ』というメッセージを込めて『たかが汗でしょ』という言葉をもらうこともあります。その優しさをありがたく思う一方で、臭いや見た目などを含め、色々なことを気にしながら工夫して生活している身としては『わかってもらえない』という寂しさを感じることもあります」と心情を明かした。

最後に「受診に高い心理的ハードルを感じる方も多くいらっしゃると思いますが、中には『受診を通じて汗の量が少し減っただけですごく自信がついた』という方もいらっしゃいますので、ぜひ勇気を出して受診してみてください」と患者にエールを送り、イベントを締め括った。

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Source: HuffPost