04.15
ナナプラザの歴史~バンコクに存在する“世界最大の大人の遊び場”
“世界最大の大人の遊び場(worlds largest adult playground)”とも称されるナナプラザ(NANA PLAZA)──。 バンコク・スクンビット通りソイ4に位置し、観光客たちの夜を彩る歓楽の中心地です。 その実態や背景について、実は公式サイトを含む複数の一次資料から驚くほど豊富な情報が得られることはあまり知られていません。 本稿では、ナナプラザの公式情報などをもとに、その歴史、運営企業、そして現在の姿について紹介します。
ナナプラザの成り立ちと変遷
ナナプラザは、1970年代後半にバンコクのスクンビット通りソイ4にてレストランとショッピングプラザとしてスタートしたそうです。建物は三階建てのU字型で、中庭を囲む構造をしています。当初は飲食店や雑貨店が中心でしたが、1980年代初頭から徐々にゴーゴーバーが出現し、商業施設としての性格を大きく変化させていきました。1980年代後半には、20軒を超えるバーが集まる“歓楽の迷宮”と化し、ナイトライフの中心地としての地位を築いていきました。
転機とPanthera Groupによる買収
2000年代に入り、バンコクの観光産業の拡大とともにナナプラザの人気も上昇しました。2002年時点では39のエンターテインメント施設が稼働していたとのことです。そんな中、2012年に転機が訪れます。土地の所有権を相続した7人の姉妹が「レッドライト地区とは関わりたくない」と売却を決断し、ナナプラザはFico社とPanthera Groupによる合弁会社Nana Partners Co., Ltd.により買収されました。
Panthera Groupの展開と成長
ここで登場するのが、現在ナナプラザを運営するPanthera Groupです。同社は元々Eclipse Groupとして知られ、Paul Hayward氏とMicky Doherty氏によって設立されました。2005年に現在の名前に改め、以後、バンコクを中心にナイトクラブ、レストラン、医療施設、さらには大麻事業まで多角的に展開するタイの民間ホスピタリティ企業へと成長しています。
Panthera Groupは、ナイトクラブ「Levels」や「Sugar Club」(バンコク・プーケット)、シガーラウンジ「Whisgars」、イタリアンレストラン「Rossano’s」、アイリッシュパブ「Scruffy Murphy’s」など、多彩な業態を展開しています。近年では「OG Canna Company」などを通じて大麻産業にも進出し、「Mary Jane」「Cloud Nine」といったブランドで店舗展開を進めています。これらの店舗は、バンコクやプーケットの主要エリアで運営されており、観光客のみならず地元客からも高い支持を集めています。
Paul Hayward氏によるナナプラザ買収の背景
Paul Hayward氏は2015年のStickboy Bangkokとのインタビューにて、ナナプラザ取得の経緯を明かしています。「Qbar」買収の過程で地元の不動産情報を探っていた際、「7人姉妹が所有するナナプラザの土地」が話題に上がり、そこから交渉に至ったといいます。当初、月額7,000バーツという非常に低価格で運営されていたテナントに対し、Pantheraは「スクンビットの水準に合わせる」として家賃を見直しました。一部からは批判も出ましたが、「10年間破格の賃料で営業できたのだから、十分に恩恵は受けたはず」と語っています。
施設の刷新と社会的責任への取り組み
Panthera Groupはナナプラザ取得後、安全基準の見直しや電気インフラの刷新、エレベーターやエスカレーターの導入、大規模屋根の設置(2018年)など、約2,800万バーツ規模の投資を実施しました。また、コロナ禍においても従業員支援に約100万ドルを拠出し、テナントへの家賃減額措置をとるなど、社会的責任を意識した経営姿勢も見せています。

コロナ禍のナナプラザ
現在のナナプラザの姿とその多様性
現在、ナナプラザでは多くのゴーゴーバーやビアバーが営業しており、世界中から集まる観光客を迎えています。館内には短時間利用可能なホテルも設置され、施設全体がナイトライフに特化した複合空間として成立しています。中にはレディボーイ専門バーも存在しており、多様性にも富んだ構成となっています。
また、黎明期のナナプラザを知る人々にとって特別な存在であるのが、現在も営業を続けるレインボーグループです。Rainbow 1やRainbow 2は、1980年代から営業していた数少ない店舗の名残であり、ナナプラザの“原色”を今に伝える象徴的なゴーゴーバーといえるでしょう。Lucky Lukesは近年カンナビスショップに転換されたとされており、現在ではレインボー系列が「黎明期からの記憶」を受け継ぐ唯一の存在となっています。
ナナプラザを取り巻く噂と継続する存在感
Paul氏は「ナナプラザは制度であり、簡単には消えない」と語っています。実際、過去には「近く閉鎖されるのでは」といった噂が繰り返されてきましたが、そうした声を跳ね除けるように、ナナプラザは今もなお、バンコクのナイトライフを象徴する存在として、揺るぎない地位を保ち続けています。最近では入口での警備体制も強化されており、それが来訪者に安心感を与える一因となっているようです。
[参考文献]
Nana Plaza Official Website
Panthera Group Official Website
Wikipedia – Nana Plaza (English)
RYT9 News Article on Nana Plaza Sale
Stickboy Bangkok – Interview with Paul Hayward (Archived)
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