03.05
<北朝鮮内部>ロシア派兵ばれて徴兵逃れ続々 逃亡する学生 疾病証明の偽造も 慌てた当局は親を厳罰に

北朝鮮で、4月の軍の新兵登録=「召募」に向けた作業が本格化している。高級中学校(高校に該当)卒業予定の男子は、進学者を除いて入隊するのが原則だが、ロシアに派兵していることが知れ渡り、親が入隊を忌避させるために息子を他地域に逃がしたり、賄賂を使って疾病証明を偽造したりする行為が横行していることが分かった。学校と軍事動員を担当する機関では大きな騒ぎになっているという。(石丸次郎/カンジウォン)
■ばれてしまった露への派兵
北朝鮮政府は、今もって自国兵士をロシアに派遣している事実を明らかにしていないが、昨年10月に韓国とウクライナ当局が派兵情報を公開して以降、戦場の北朝鮮兵士の写真や動画、所持品が数多く報じられた。捕虜になった兵士の審問の様子やメディアによるインタビューも公開された。
「多数の戦死者が出ていることまではともかく、我われの軍隊がロシアに派遣されているというのは、もう誰もが知っている」
2月末、北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市に住む取材協力者A氏はこのように伝えてきた。本報は数度にわたって報じてきたが、拡散した派兵情報の主な発信源は、息子を軍隊に送っていて心配する親たちであった。
■賄賂使って伝染疾患のニセ診断書提出
そして今、4月の新兵登録が近づくにつれ、卒業予定の高級中学校の生徒と親の間で動揺が強まり、露骨な徴兵逃れが相次ぎ当局が慌てているとして、A氏はその状況を次のように説明する。
「学校と『軍事動員部』は非常事態です。せめて1~2年だけでも入隊を遅らせようとする父母たちがとても多いのです。お金がある家は、伝染性の肝炎、結核の診断書を、賄賂を使って大病院で発行してもらい、軍事動員部に提出しています。私の周りにも、そうやって入隊を免除された男の子がいます。お金がない家の子は無理なので、身を隠させています」
※軍事動員部 国防省の組織動員補充局傘下の兵役事務を担当する役所。各道、市、郡に設置され地域の新兵の入隊事務を担う。

■息子逃亡で親を厳罰に
卒業予定の生徒たちの中にも、入隊が嫌で居住地から逃げる事例が数多く発生しているという。
「身体検査や面接に現れない生徒が続出しています。私の近隣の〇〇中学では7人も出たと聞きました。親は『軍事動員部』に呼び出されて、『息子を連れて来い』と命じられるだけでなく、職場で批判集会に吊るし上げられたり、出党(労働党からの除名)、職務解除など、強烈な処罰まで科されたりしています。逃亡した生徒を摘発するため、道路での検問が強化され、特別な『宿泊検閲』までしています」
※北朝鮮では当局の許可なく人を家に泊めることができない。無断宿泊者を摘発するために当局が家々を回るのが「宿泊検閲」だ。
■慌てる当局、軍入隊志願の式典も中止に
2月27日付朝鮮中央通信は、平壌市内の高級中学校の卒業予定者300人が、最前線の国境への配置を嘆願したという記事を掲載した。若者が愛国心で自発的に入隊を志願したという形式を取るための催しで、毎年のように開かれる。恵山市でも、2月末に学校別に集団嘆願式を行う予定であった。
「渭淵(ウィヨン)中学では、卒業生全員を集めて集団嘆願式をすると両江道の青年同盟に伝えていたのですが、逃げる子がたくさん出たため中止になりました。政府は『召募』に相当苦戦しているようで、毎年4月と7月に行っていたのを、今年は5月にも追加で行うと聞きました」
韓国政府は、北朝鮮からロシアに派兵された兵士は約1万2000人で、3000人が死傷し、うち300人が戦死したと見ている。今後、死傷者発生情報が拡散すると、さらに徴兵逃れが増える可能性がある。親が息子を心配するのは当然なことだ。
北朝鮮の軍服務期間は、兵種によって違いはあるが、昨年は、男子は義務制で8年、女子は志願制で5年であった。今年は、ウクライナ派兵の影響で長くなるという情報があるが、アジアプレスでは確認できていない。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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Source: アジアプレス・ネットワーク

