02.19
<北朝鮮内部>今年の「堆肥戦闘」=人糞争奪戦は熾烈 ノルマ超過に異例の褒賞 金品、観光参加まで 「便所の下でシャベル持って待つ人もいる」

北朝鮮で年明け恒例の「堆肥戦闘」。毎年、人糞集めに全住民が動員され大きな負担になっているが、今年は様相が少し異なるという。ノルマ達成度に応じて、金品の支給や観光参加などの褒賞を出しているのだ。人糞争奪戦は一層苛烈になっているようだ。(洪麻里/カン・ジウォン)
◆「便所の下でシャベル持って待つ人も」
慢性的に肥料が不足する北朝鮮では、春の耕作期に備えて、年明け早々から人糞を集めて堆肥を作る「堆肥戦闘」が展開される。労働者一人につき1トンなど課題(ノルマ)が課せられ、所属先の企業や組織、機関の管理のもと、労働党や行政の幹部まで全国民が駆り出される。
両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市に住む取材協力者は、「堆肥戦闘」の第一次総話(総括)が2月15日にあったとして、次のような内容を伝えてきた。
「課題達成に応じて、労働者にお金や『労働補助物資』を与えると通知があり大騒ぎだった。共同便所(汲み取り式)では、穴の下でシャベルを持って待っている人がいると言われるほどだ。便所トイレを見かけたらすぐに掬いに行くから、人民班が自分の地区の人糞がとられないように、見張りまで立てている」
※労働補助物資:炭鉱労働などの肉体的に過酷な労働に従事する人に支給するタバコや酒、食用油などの物資。
ノルマの多さから、人糞は例年争奪戦だが、褒賞欲しさに拍車がかかっているようだ。

◆二重ノルマの解消
今年の「堆肥戦闘」には、もうひとつ変化があるという。これまでは、所属する企業や組織、人民班からそれぞれノルマが課され、二重負担に苦しむ家庭が少なくなかった。例えば、夫は職場で1トンのノルマがあるのに、妻も地区の人民班で動員されて500キロの人糞を集めなければならないという具合にだ。しかし今年から、運用が体系的になり、二重のノルマが課されることが解消されているという。
さらには、ここにもインセンティブが与えられるという。協力者は「企業や女盟など所属先のノルマ達成度に応じて、見学(観光)や給養所に連れて行ってもらえるそうだ」と話す。
※女盟:正式名称は「朝鮮社会主義女性同盟」。主に職場に籍を持たない主婦で構成される。
ただし、他地域でも同様の変化があったのか、アジアプレスでは確認できていない。
◆不満解消と統制強化のためか?
「堆肥戦闘」は、職場や学校に通いながら一人当たり500キロ、1トンなどとノルマが課され、極寒の中、屋外での作業を強いられるため負担は甚大だった。一方で、金持ちは堆肥を金で買って納めたり、賄賂で動員を抜けたりするなど不公平感も大きかった。今回の動きは、こうした負担や不平等を軽減する目的があるとみることができる。
もう一方で、ただ駆り立てるだけの従来のやり方だけでなく、インセンティブを示すことで成果を上げようという試みだとも言えそうだ。ここ数年、金正恩氏は「不正腐敗との闘い」として、社会や労働党内の規律維持のため処罰を厳格化している。こうした統制強化だけでは、成果を上げることに限界があると考えたのかもしれない。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
Related Images:
[ギャラリーを表示: www.02.asiapress.org]
Source: アジアプレス・ネットワーク

