02.07
<北朝鮮内部>そこまでやるか 携帯電話への監視統制を強化 修理で情報抜き取り、日常の撮影も監視

北朝鮮当局が、個人の携帯電話使用に対する監視、統制を強力に進めている。街中で写真や動画を撮影しただけで取り調べを受けたり、修理などのために預けた端末の情報が抜き取られて処罰されたりする事例が相次いでいるようだ。住民が携帯端末を使って、当局が管理できない情報交換や、撮影、外国の動画の保存や視聴などをしてないか、監視統制するのが目的だと見られる。(洪麻里/カン・ジウォン)
<北朝鮮内部>携帯電話での撮影を強力に統制 国内外へ「恥部」拡散を憂慮か? 「写真一枚さえ自由に撮れない」
◆勝手に情報が抜き取られて連行

北朝鮮では、平壌ではもちろん全国の地方都市にも「情報技術交流所」という機関がある。地方政府や企業、大学などが傘下に作ったいわば “モバイル関連ショップ”のような場所だ。携帯電話を販売・修理する他、様々なアプリを購入インストールもできる。またコンピュータの販売や修理、国内で製作した動画DVDなども扱っている。
この「情報技術交流所」に携帯電話を預けたことで、問題は起こっていると、1月後半に両江道の取材協力者が、こう伝えてきた。
「町内の人が、携帯電話を『交流所』に預けていたところ、連行されていった。その人は携帯電話で(違法の)中国映画などを見ていたのだが、一人で見ていたのに捕まって行ったので、家族は『交流所』が原因に違いないと考えている」
つまり、「情報技術交流所」で、預かった携帯端末の情報を抜き取って当局に伝えたに違いないというわけだ。こうした例はこれに留まらないという。協力者は続けて言う。
「住民たちは、『交流所』に預けずに、修理が得意な人にお金を払って依頼するようにしている。だが、当局はそういう人たちまでも利用して、預かった携帯電話にどんな情報があるのか調べているようだ」
◆コチェビ撮影は論外、銅像の掃除写真もNG
韓国の統一研究所によると、北朝鮮では2021年時点で推定600万台の携帯電話が使用されているという。端末にはカメラ機能が付いており、撮った写真や動画を送受信することもできる。いわば600万人の映像撮影者が国中にいるようなものである。
事故や紛争の現場で撮影された写真や動画が、瞬く間に拡散していくのが当たり前の時代である。情報流通の管理統制を徹底したい金正恩政権としては、携帯端末の普及は脅威でもあるだろう。
取材協力者は、とりわけ携帯電話を使った撮影に当局が敏感になっている現状について、次のように説明する。
「今や、(街中で)むやみに写真を撮れなくなった。コッチェビ(浮浪者)の写真を撮るなんてもちろんだめだ。(金日成、金正日の)銅像を掃除する写真を撮っただけで取り調べを受けた人もいる。(商店や市場で)価格表の写真を撮っただけでも、申告されるようになった。携帯電話を持って少しでもおかしな行動をしたら、安全局(警察)の機動隊がすぐに来て、携帯電話の中身を確認する。むしろ携帯電話を持ち歩かない方がいいくらいだ。
家宅捜索をする時も、最初に『携帯電話を見せろ』と言われ、写真、動画、通話記録、電話帳に登録された名前まで全部調べる。さらに、これまでに携帯電話を使って問題になるようなことをしたことがあるか正直に申告しろと脅すのだ」
◆外部世界に実像隠すためか
昨年3月、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で公開されたある動画が世界的に注目を浴びた。そこには、道端に倒れ込んでいる人や、薄汚れて擦り切れた上着を着た男性が、消え入りそうな声で物乞いをする様子が映っていた。
これは2023年5月に木船に乗って脱北した男性が北朝鮮国内で撮影したものだった。当局が、携帯電話を使った撮影に神経を尖らせるのは、国内の個人間での情報拡散だけでなく、外部への情報流出を強く警戒しているためとみられる。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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Source: アジアプレス・ネットワーク

