01.14
<北朝鮮内部>金正恩氏の誕生祝いはなし 「今もって何歳なのか誰も知らない」「若すぎるからでは」 新作プロパガンダ映画を上映
1月8日は金正恩氏の誕生日だとされる。この数年、金正恩氏の権威付けのための偶像化が急ピッチで進められている。金正恩氏の革命思想を公式化するなど偉大性宣伝に余念がなく、金正恩氏の肖像バッジも登場した。先代の金日成、金正日氏の場合は、誕生日を民族最大の祝日と位置づけ、偶像化装置の一つとして活用してきた。1984年生まれで41歳になったとされる金正恩氏の生誕日は、北朝鮮国内でどのように扱われたのか。北部地域に住む3人の取材協力者の報告を紹介する。(カン・ジウォン/石丸次郎)
◆咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡
「1月8日が金正恩の誕生日であることは皆知っているが、公式に生誕〇周年だとか、誕生記念行事だとかは全くなかった。8日には大きな集会が行われた。忠誠を誓い、最高人民会議での(金正恩氏の)お言葉を貫徹しようという内容だった。
集会は機関、企業別に行った。茂山鉱山では、午前の勤務者を除いて全員が参加した。金正恩の誕生日については何も言及がなかった。理由は分からない。そもそも、金正恩が今何歳なのか、今もって誰も知らないのだ。ただ、集会では金正恩の業績をたくさん宣伝した。国家のために献身しよう、皆が国の主人となり、住みやすい国家を作ろうという内容だった」
※いつ開催された最高人民会議での発言のことなのかは不明。
◆両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市
「8日に女性同盟の定例の水曜学習会があり、午後2時から記念講演会として(金正恩)元帥様の業績を宣伝する講演会を30分行い、新しく作った記録映画を視聴させられた。今、 電気がほとんど来ていないのだが、この日は電気を供給して映画を上映した。
金正恩の誕生日だとか、何歳になったのかとか、一切話はなかった。幹部らもまったく触れなかった。 まだ若すぎるので公表できないのではないか。ただ、この日が金正恩の誕生日であることは誰もが知っている。
8日の朝は、学生を動員して革命史跡、(金一族の)モザイク壁画、革命研究室の掃除をさせた。それ以外は、特別なことは何もなかった。なぜやらないのかと疑問を言う人もいない。とても寒いので特別が行事ないのはいいことだ」
◆咸鏡北道の会寧(フェリョン)
「今年も1月8日の金正恩の誕生日の公式行事はなかった。1月10日に工場、企業所ごとに金正恩が労働党総書記に推戴された日を記念して記念講演会と記録映画鑑賞を行った。8日は休日にもならず、特別配給もなかった」
※金正恩氏は2021年1月に開催された朝鮮労働党第8回大会で総書記に推戴された。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
Source: アジアプレス・ネットワーク