12.25
性的ハラスメントで訴えられた米監督「ポルノ依存症」の過去の発言が注目される
アメリカの俳優ブレイク・ライブリー氏が12月20日、出演作「ふたりで終わらせる / IT ENDS WITH US」の監督で共演者のジャスティン・バルドーニ氏を性的ハラスメントや中傷キャンペーンなどで告発した。
ライブリー氏は、バルドーニ氏が性的な発言を繰り返して制作現場の環境を悪化させた、とカリフォルニア州公民権局に提出した訴状で主張している。
問題とされたバルドーニ氏の発言には、自身の性器について説明や、ライブリー氏の体重に関するコメント、ポルノ依存症への言及などが含まれているという。
バルドーニ氏は、2021年の著書『Man Enough: Undefining My Masculinity(強く勇敢な男:不明瞭なマスキュリニティ)』などでポルノ依存症について語ってきた。
ライブリー氏の告発を受け、バルドーニ氏のポルノ依存症についての過去のコメントが再び注目されている。
ポルノ依存症について語ったこと
バルドーニ氏は2021年、ポッドキャスト「ライフ・オブ・グレイトネス」に出演した際に、ポルノを使ってどのように困難な感情を対処してきたかをつづった著書の内容について司会者から尋ねられ、10歳のときにポルノに初めて接したと明かした。
「私は初めて女性の胸を見た少年のようになりました。興奮しました。それは、私たちの文化が胸を隠そうとするからです。そうすることで胸を性的なものにしているのです」
「アフリカや、他の場所の部族などでは、胸は単に胸ですよね。でも、私たちの文化は性的なものにしてしまった。そうすると魅力的なものとして興味を引かれ、ホルモンが暴れ始めるんです」
バルドーニ氏は幼い頃にポルノに触れたことで混乱し、依存につながったとも述べている。
「私は、孤独や孤立を感じた時、傷いた時に(ポルノに)逃げ場を求めました。そうすることでドーパミンの快感を得られました。幼い頃からドーパミンの刺激で痛みを処理するよう脳を訓練してしまったんです」
バルドーニ氏は「自己嫌悪に陥った時に、裸の女性の画像や動画を見返すことがよくあった」「『こんなことをしたくないし、やっちゃいけない』と自分に言い聞かせても、結局やってしまうと気づいた時、問題だと感じた」とも述べている。
さらにバルドーニ氏は「ポルノを見たいという欲求には気を付ける必要がある」と、ポルノと暴力の関係についての自らの考えも語っている。
「なぜなら多くのポルノが女性に対して非常に暴力的であり、レイプカルチャーとポルノカルチャーには関連性があると思うからです」
「性的同意について教えてくれる人は誰もいないので、ポルノを通じて学ぶことになります。その結果、『嫌だ』『やめて』『痛い』という女性の言葉を、喜んでいると思い込む世代が生まれるのです」
バルドーニ氏はここ数年、有害な男らしさを否定するフェミニストとしてのイメージを築いてきた。
男らしさを捉え直すことについて語った2017年のTEDトークは反響を呼び、『Man Enough』のほか、2022年の著書『Boys Will Be Human(男の子は人間になる)』でも、男性が自分の感情や弱さを表現する必要性を語っている。
2021年公開のポッドキャスト「アートオブパワー」のインタビューでは、「『男性も弱さを見せる必要がある』という自身の呼びかけをパフォーマンスだと批判する人をどう思うか」と尋ねられ、「その人たちを説得できるのは私ではない」と答えた。
「それは、あなた自身にかかっています。なぜそう感じるのかを自分で考えなければいけない。何があなたをそれほど刺激して、私を批判する必要があると感じるのか。自分を強くするためでしょうか?」
「もしそうであれば……それこそが、私たち男性が長い間やってきたことで、今の状況を生み出した理由だと思います」
ライブリー氏の告発は、こうしたバルドーニ氏のイメージを覆すものだ。
ライブリー氏の訴状には、バルドーニ氏の行動が原因で「ふたりで終わらせる / IT ENDS WITH US」の制作現場が敵対的な環境になったため、ライヴリー氏の夫で俳優のライアン・レイノルズも同席した話し合いの場がもたれたと書かれている。
この会議ではバルドーニ氏に、性的発言や、裸の女性の画像の提示、自らの性器の描写、ポルノ依存症に関するコメントや体重についての質問、セックスシーンの追加などをやめるよう求めたという。
ライヴリー氏は、バルドーニ氏がライブリー氏の評判を落とすための「社会的な操作」に関与したとも非難している。
これに対し、バルドーニ氏と制作会社ウェイフェア・スタジオの代理人であるブライアン・フリードマン弁護士は「ライブリー氏の主張は虚偽で恥ずべきこと」と複数のメディアにコメントして、告発の内容を否定。告発は「ライヴリー氏が自分の悪評を『修復』するための試み」だと主張している。
Source: HuffPost