12.12
K-POPとペンライト、なぜ韓国の大統領退陣要求デモの象徴に? 少女時代からBTS、aespa、「アパトゥ」まで【解説】
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韓国のユン・ソンニョル大統領の退陣を求める市民デモで、象徴的な存在になっているのが、アイドルの曲や、コンサートで使うペンライト(韓国では「応援棒」と呼ばれる)だ。
2016年〜2017年、当時のパク・クネ大統領の弾劾デモではろうそくが使われ「ろうそく革命」とも呼ばれたが、与党「国民の力」の議員はデモの様子を見て「ろうそくはろうそく。風が吹けば消える」と発言した。この発言への抗議として、LEDろうそくなどが使われるようになり、今回は長く光り続け、冬の風にも耐え得るとして、ペンライトに注目が集まっている。
中古品取引サイトなどでは「応援棒」の検索が急増し、SNSでは、より強く光るアイドルのペンライト情報や、子どものペンライトを借りて親がデモに参加したなどのエピソードが拡散されている。
韓国のデモで歌われてきたK-POP
12月3日夜に非常戒厳令を宣布するものの、反発が相次ぎわずか6時間で解除に至ったユン大統領の退陣を求めるデモが、国会議事堂のあるソウル・汝矣島(ヨイド)で連日続いている。
8日午後に駅前で開かれたデモでは、K-POPの曲が鳴り響いた。少女時代「Into The New World」、2NE1「I AM THE BEST」、BTS「불타오르네(FIRE)」、SHINee「Ring Ding Dong」などのほか、最近のヒット曲であるaespaの「Whiplash」、BLACKPINKのロゼとブルーノ・マーズの「APT.(アパトゥ)」などに合わせて、参加者は「ユン・ソンニョルを弾劾せよ」と声を上げた。
こうしたデモは10日にも行われた。多くの参加者は片手にペンライト、もう片方の手には弾劾を求める言葉や、「民主主義を守る」といったメッセージが書かれた旗を掲げていた。
8日のデモでも流れた少女時代の2007年のデビュー曲「Into The New World」(日本での曲名は「また巡り逢えた世界」)は、韓国のデモや集会で頻繁に使われてきた楽曲だ。
きっかけは、2016年7月にソウルの梨花女子大学で行われた、学部新設への反対を訴えた学生デモで、警察官らに囲まれた学生たちが腕を組みながら「Into The New World」を歌い、ニュースでも大きく報道された。その後パク・クネ元大統領の退陣を要求するろうそくデモや、国内外の女性や性的マイノリティの権利に関するデモなどでも歌われるようになった。
少女時代のメンバーは、梨花女子大学のデモで自分たちの楽曲が使われたことを好意的に受け止めている。2017年のインタビューでは、「(デモの)映像を何度も見て、胸が熱くなり涙が流れた。歌手として大きな誇りを感じた瞬間だった」(ユリ)、「今は、女性が他の女性に力を与えられるメッセージが重要な時期のようです。私たちの歌がそのような役割を果たせて嬉しい」(ティファニー)と話している。
現地メディアは「世代を統合するデモ文化」と評価
アイドルのペンライトを使う人が続出している今回のデモでの現象について、ハンギョレ新聞は、音楽評論家のソ・ジョンミンガプ氏の「アイドルファンは以前から、事務所の不合理な慣行などに対抗して多様な方法で闘い、機敏に対処してきた。現実の政治であれ何であれ、不義と考えることと闘ってきた経験が、今回の集会の爆発力として現れたようだ」との見解を伝えている。
参加者には若年層が多いとされているが、デモで使われているのは、若者に人気の曲だけではない。70〜80年代頃から活躍する歌手キム・ヨンジャの「アモール・ファティ」や、音楽グループ・無限軌道の「君に」なども流れたという。ペンライトを持つ中高年や、往年の楽曲を歌う若者がいたことから、ハンギョレ新聞は「互いへの配慮が、世代を統合するデモ文化を定着させたようだ」と報じている。
Source: HuffPost