12.10
腸内細菌が人間の脳を巨大化させた可能性、新たな研究で指摘
腸内細菌が人間の巨大な脳の進化を促した可能性があるとする、新たな研究結果が発表された。
人間の健康や病気に腸内細菌が影響
そもそも長年にわたり、腸内細菌(微生物叢)が代謝を含む、人間の健康や病気にどのように影響するかを実証した研究が、数多くあるという。
また腸内細菌は、人間が食べる食物を分解し、そこからエネルギーを放出する上で、重要な役割を果たしているそうだ。
そして腸内微生物叢(叢とは集合体の意味)の構成、つまりさまざまな微生物の比率の変化も、肥満や関連疾患の発症と関連していると言われている。
人間やサルの腸内細菌をマウスに移植
アメリカ・シカゴにあるノースウェスタン大学などの研究者らは今回、脳が大きい霊長類、つまり人間と、リスザル(サイミリ・ボリビエンシス)、そして脳が小さいマカクザル(マカク)の糞便サンプルから採取した腸内細菌を、マウスに移植したという。
そして研究者は、新しい腸内細菌を移植した後、げっ歯類(マウス)の生理機能が時間の経過と共に、どのように変化するかを計測したそうだ。
その結果、人間とリスザルの腸内細菌を移植したマウスは、マカクザルの腸内細菌を移植したマウスよりも多くの食物を食べたが、成長が遅く、体脂肪の蓄積が少ないことが明らかになった。
しかし人間とリスザルの腸内細菌を移植したマウスは、脳の主なエネルギー源となるブドウ糖の生成量が増加したという。
そもそも脳が大きいほど、ブドウ糖の必要量も増える。このことから研究者は、腸内細菌が何らかの形で宿主に食物を多く摂取させ、その余剰エネルギーを脳に送っている可能性があると考えている。
しかし、この研究はマウスでしか行われておらず、研究者らは、腸内細菌が脳の大きさにどのような影響を与えるかを正確に理解するには、より多くのデータが必要だとも述べている。(了)
出典元:Livescience:Gut microbiome may have fueled the growth of humans’ big brains, study suggests(12/6)
Source: Switch News