10.16
<北朝鮮内部>「韓国の宣伝放送、ビラの内容喋るな」 前線の兵士に緘口令 韓国歌謡の鼻歌で問題視 外部情報怖れる金正恩政権
北朝鮮当局が、軍事境界線近くで勤務している兵士に対して、韓国による宣伝放送や飛来するビラの内容を、一切口外しないよう厳しく統制していることが分かった。8月に除隊して北部地域の故郷に戻った兵士が、家族に具体的に語った内容を取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン)
◆見聞きした内容流布は反社会主義行為で処罰警告
韓国の民間団体が風船で北朝鮮に向けてビラを飛ばしていることに対抗し、北朝鮮は5月末から汚物をぶら下げた「ゴミ風船」を飛ばし始めた。それに対し韓国は、大型拡声器による宣伝放送を6月からに6年ぶりに再開させた。内容はニュースやKポップの流行歌などだという。
金正恩政権は、韓国情報の流入と拡散を極度に警戒しており、韓国の宣伝放送がよく聞こえる軍事境界線付近に勤務する兵士たちに対し、対北放送や飛来したビラに書かれた内容を、他人に絶対に話さないよう誓約書を書かせているという。
北部地域に住む取材協力者は、8月に前線地域から除隊して戻ってきた知人の息子が話した内容を次のように伝えてきた。
「放送で流れて来る韓国の歌を口ずさんだり、鼻歌を歌ったりして問題視される兵士が多いそうだ。部隊では放送に対する態度について兵士ごとに資料を作り、保衛司令部(軍内の政治警察機構)に報告、問題となった兵士を他の地域の部隊に移動させるケースが多かったそうだ。
また除隊するにあたって、『敵地物』(ビラ)がたくさん飛んでくる地域や、韓国の放送がよく聞こえる地域で勤務した者には、見聞きした内容を誰かに流布すれば反社会主義行為として処罰されると警告されたと言っていた」
◆前線は地雷だらけで怖い…兵士らも恐怖
地雷の恐怖についても、その兵士は家族に語っていた。軍事境界線近くでは、軍の警備詰め所に移動する道の周辺には、すべて地雷が埋設してあり、韓国からビラが飛来して落ちても、地雷が怖くて回収のために接近できないことが多いという。
韓国国防部によると、北朝鮮は今年4月以降、軍事境界線付近で地雷埋設を活発化させており、爆発で兵士が死傷する事故が多発しているという。地雷埋設は兵士を含めた住民が韓国に脱北するのを防ぐのが目的と見られる。
※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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Source: アジアプレス・ネットワーク