06.06
<内部インタビュー>北朝鮮の「国家密輸」の実態とは? 税関員、警官も立ち会う厳格管理密輸について聞く
鴨緑江上流での朝中間の密貿易が5月下旬になってさらに活発になっているが、北朝鮮側は、国が統制管理する「国家密輸」式で実行されている。5月末、北部地域に住む取材協力者が、「国家密輸」の実務を担当する人物と接触して調査した内容を伝えてきた。 (チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)
アジアプレスでは5月中旬に、朝中国境事情に詳しい中国吉林省の貿易業者にインタビューし、鴨緑江上流で密輸が再開されている事実を記事化した。中国人貿易業者は、密貿易は中国側が民間の業者、北朝鮮側は当局が管理する「国家密輸」方式で行われていると証言。主に自動車や機械設備などが北朝鮮に渡り、鉄鉱石や水産物などの北朝鮮の一次産品が中国に送られると述べた。
一方の北朝鮮側の「国家密輸」はどのような仕組みでおこなわれているのか? 両江道(リャンガンド)に住む協力者が調べた内容を一問一答形式で整理した。
◆密輸現場は封鎖して監視 税関員も品物持ち込めない
Q 北朝鮮側は国が密輸をしているとというが、本当か?
A 北朝鮮の密輸は国家主導で、道貿易局の許可を得て行われている。かつてのように個人の密輸屋が、中国のパートナーと組んでやっていたやり方はなくなった。
Q 密輸現場はどう管理されているのか?
A 密輸は、現場を事実上封鎖して行われる。保衛局(秘密警察)、安全局(警察)、税関、通行検査所(軍人)、道貿易局員が立ち会う。他に貿易会社の運転手、荷の積み降ろしの作業員など、ごく少数の人だけが接近でき、部外者は近づくことができない。監視と統制が非常に厳しく、税関の人間であって勝手に物を持ち込むことは難しいそうだ。税関員に対する管理が非常に厳しくなり、今では中国の貿易業者からタバコ一箱を受け取ることも難しくなったそうだ。
Q どのような物品が北朝鮮に密輸入されているのか?
A 最近主な品物は、車両と車両の付属品、機械、それに工場で生産するための原材料や布、などだ。また、中国製の肥料や農薬も入ってきている。最近、除草剤が入ったと聞いた。
◆密輸品は厳格管理し市場には流れない
Q 国家密輸で北朝鮮に入って来た物品はどう処理されのだろうか?
A 中国から密輸された品は、税関で3日以上かけて検査され、そのまま社会に出してはいけない物はすべて取り除かれる。その後で、物資は列車で「前地帯」(南部の地域)に送られる。密輸品には個人が使う生活必需品はほとんどないと聞いた。布はすぐに被服工場に送られる。
Q 市場で中国の密輸品は全く見られなくなったのか?
A コロナ以前は密輸品が市場に出回っていたが、今は国が(密輸された品を)厳しく管理しているため、市場には流れて来ない。中国から入ってきた農薬や肥料、布なども見当たらない。もし出回ったら、すべて取り締まられる。出所を追及されて法的に処罰されるので、お金があっても個人が買えるものがない。
アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮搬入し連絡を取り合っている。
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Source: アジアプレス・ネットワーク