06.10
Boy Sompob独占インタビュー~神様が救った天使の歌声
2024年5月11日(土)・5月12日(日)に東京・代々木公園で行われた、日本屈指の国際イベント「タイフェスティバル東京2024」。タイのトップミュージシャン、日本でも人気のタイのBLドラマの主演俳優、勢いのあるボーイズグループ、ガールズグループ、アイドルなど、最旬のタイのエンターテイメントがぎゅっと詰まったステージが、大きな話題となりました。
ここ数年、動画配信サービスを通じ、タイのBLドラマがアジアを中心に世界中に広まり、主演俳優たちはファンミーティングで世界中を飛び回るほど人気に。さらに、ドラマのストーリーをより一層盛り上げてくれる、ドラマの主題歌やエンディング、挿入歌を歌っているアーティストにも注目が集まりました。
「タイフェスティバル東京2024」のステージで、飛びぬけて美しいハイトーンのクリスタルボイスを披露していたBoy Sompobさんもそのひとり。
彼の凄い所は、美しすぎる声だけにあらず。BLドラマ主題歌を歌ったパイオニア的存在であること。
タイで初めてのメジャーなBLドラマ(タイではシリーズYと呼ばれている)作品とされる「Lovesick」の主題歌「Shake」を大ヒットさせて以降、次々とドラマの主題歌のオファーが入り、いずれのドラマでも、その歌声に心惹かれるファンが続出。
「タイフェスティバル東京2024」のステージと、タイ王国大使館でのパーティー、2回のライブ(六本木CLUB EDGE・東急歌舞伎町タワー FIRST STAGE)と4回のパフォーマンスを見せてくれたBoyさん。普通に見えていたその光景ですが、その1回、1回のステージが、彼にとっては、奇跡のステージだったのです。
タイランドハイパーリンクスは、今回の来日のラストステージとなった歌舞伎町タワーでのライブの直前に、特別にお話を伺う機会をいただきました。
ちなみに筆者は、インタビューで号泣したことは、初めてです。
日本でライブができるなんて夢のよう
ーーいよいよ今日が、今回の来日で行う4回のパフォーマンスの最後のステージになりますね。日本でのライブの感想を聞かせてください。
Boy Sompob:本当に夢のようです。僕の中で、日本の音楽業界のイメージは、外国人の音楽をそこまで歓迎していないように感じていたんですよ。
ーーあら、日本はそういうイメージなんですか?
Boy Sompob:僕個人のイメージです(笑)。だから日本でライブをすることは難しいことだとずっと思っていたんですよ。だからこんな機会をいただけるなんて、本当にありがたいです。もう3回のステージを終えているのに、まだ夢を見ているようです。
ーー特にタイフェスティバルは、タイ王国大使館が大切に育ててきた唯一の国際イベントです。そういった場所に立てるのは特別な歌手だと言うことですからね。
Boy Sompob:本当に光栄。ただ光栄な気持ち半分、プレッシャーも半分ありましたね。素晴らしい機会をいただいたから、本当に良いステージでお返ししたい。その欲もありました。何よりせっかく歌うなら、日本のファンの皆さんに感動してもらいたいじゃないですか!
日本のファンは曲を集中して聴いてくれる
ーー日本のファンの前で初めて歌を披露したわけですが、ファンの皆さんの反応を見た感想は?
Boy Sompob:うーん、やっぱり静かです。でも僕は日本の皆さんが、曲に集中して耳を傾けてくれるスタイルも大好きなんですよ。
ーージャンルによっては日本人もノリまくるんですけど、Boyさんの場合は、まず皆さん声が聞きたいので、静かにならざるを得ないと思いますよ。
Boy Sompob:僕の曲でも、海外に行くと皆さん感情表現が凄いので、「いえーい!!!」ってノリまくるんですよ。「キャー!Boyさん!」って叫んでくれたり。日本はそういうことはしなくて、真剣にライブを見てくれている感じ。これが僕の日本のファンの方の特徴なんだと思います。
ーータイでアーティストのライブに行くと、本人の声が聴こえなくて少々戸惑うことがあります(笑)。
Boy Sompob:なるほどねー。でも、タイはそういうスタイルなんですよね(笑)。
脅威のクリスタルボイスを守る秘訣は?
ーー私がBoyさんの声を初めて聴いたのは、タイ王国大使館でのタイフェスティバル前日のパーティーだったんですけど、まぁ、びっくりしましたね。「タイにはこんな天使みたいな声の人がいるんだ?」って、本気で思いましたよ。
Boy Sompob:わぁ!アリガトウゴザイマスー(日本語)!
ーーなにか特別なケアはしているんですか?
Boy Sompob:まずは睡眠を取ること!これが一番大事です。そして二番目に大事なことは、自分の限界を知ること。僕は1日2時間以上歌うことは難しいと感じています。だから仕事を受ける時に、限界を超えてたくさん受けないように気を付けています。バランスが大事ですね。
実はメイクをしていない方が若く見えるBoyさん
ーー今日はライブ前のメイク前の状態なので、残念ながらインタビュー時の撮影はNGなのですが(笑)、あの…メイクをしていない方が、遥かに若く見えませんか?失礼ですが、おいくつですか?
Boy Sompob:よく聞かれる質問なんですよ。36歳になりました。
ーーあの~、気を悪くしないで聞いてくださいね。メイクをしない方が、少年っぽいというか、まだ大学生くらいに見えて、かっこいいのではないかと思いました。
Boy Sompob:わーい!嬉しいです!多分、ナチュラルメイクが一番若く見えると思うけどね(照)。
デビューのきっかけはYouTube
ーーちょっとびっくりしたんですけど、Boyさんはどこの音楽事務所やレーベルにも属していないフリーランスの歌手って本当なんですか?
Boy Sompob:はい。どこにも所属したことがないです。
ーーデビューした時からですか?後から独立したりする人はよくいますけど、デビューから今まで完全にフリーランスって凄いですよね。デビューのきっかけは、何だったんでしょうか?
Boy Sompob:僕はYouTubeに自分で作った曲を歌ってアップしていたんですよ。そこに「Lovesick」の監督が「ドラマの曲を作ってほしい」というオファーをしてくれたんです。
ーーいきなり監督さんからオファーがあること自体、凄いですね(笑)。
Boy Sompob:「Shake」という主題歌を作ったんですけど、当時は主演している俳優さんが主題歌を歌うことが多かったので、デモテープのガイドとしてボーカル入れをしました。だから俳優さんが歌っている曲と、僕の歌っている曲が2つあるんですけど、両方使ってくれました(笑)。
ーーYouTubeから、ドラマの主題歌が決まるなんて、やっぱりかなりラッキーな方ですよね?
Boy Sompob:そうですね。ラッキーだったと思います。YouTubeってコンテンツがたくさんあるじゃないですか。YouTubeで歌っている人だってたくさんいる。その中から僕のチャンネルを見つけてくれるなんて、本当に運命としか言えないですよね。
クリスタルハイトーンボイスがBLドラマ主題歌のプリンス誕生のきっかけ
ーー「Lovesick」はシリーズYで最初に作られたドラマだから、当時大変な注目を浴びたんですよね?
Boy Sompob:はい。ドラマが人気となって僕のデビュー曲「Shake」は大ヒットしました。
ーーその後、シリーズYの主題歌がどんどん決まっていくわけじゃないですか。それは、オファーがあったんですか?それとも自分で売り込んだり?
Boy Sompob:全部オファーですね。
ーーええ!すごい。理由は何だと分析していますか?
Boy Sompob:僕の声ってハイトーンじゃないですか。だからユニセックスな存在としてシリーズYの主題歌に合いやすかったんですよね。
ーーしかも、作詞作曲も全部自分で手掛けているということですが…。
Boy Sompob:アレンジも全て全部自分ですよ。
ーーしかも歌声まで天性。ちょっとすごすぎませんか?
Boy Sompob:(笑)アリガトウゴザイマス!
ドラマのシナリオを読み込んで作詞作曲に入る徹底ぶり
ーードラマの主題歌のオファーがあった時は、シナリオを読んで作詞・作曲に入るんですか?それとも自分で作っていた曲からドラマに合うものをチョイスするんですか?
Boy Sompob:僕はドラマのオファーをもらったら、毎回必ず台本を終わりまで読みます。そうしないと、ドラマの内容が曲に反映されるとは思えないんですよね。ドラマの世界観がわからないと、作れないし歌えない。
ーーYシリーズって、やっぱり恋愛のドラマじゃないですか。恋の歌だから、実体験での切ない思いなんかも歌詞に入っているのかな?なんて思っていました。
Boy Sompob:だいたいはドラマの内容を反映していますけど、そうですね。一部は自分が恋愛で思ったことや、実体験も歌詞に出てくることはありますよ(笑)。
逆質問!日本にドラマ専門の歌手はいる?アニソン歌手はずっと同じ人?
ーーBoyさんの場合、ドラマがきっかけで、多くの人がBoyさんの声に魅せられて、Boyさんファンになっていったわけじゃないですか。そういう現象をどうとらえていますか?
Boy Sompob:実は当時、こういった売り方はまだ誰もやっていなかったんですよ。モデルにすべき人もいなかった。それが良いのか悪いのかもわからないから、一つひとつの作品を、全力で作ってきたら、タイ以外の国にもこうして認知してもらえるようになったんですよね。
ーーそうでした。Boyさんは「Lovesick」と共に育った、パイオニア的存在でしたね。
Boy Sompob:逆に聞いても良いですか?
ーーえっ?なっ、何でしょう!
Boy Sompob:日本にはドラマの主題歌だけを専門に歌う歌手はいますか?
ーー日本はドラマの影響力が強いので、むしろ歌手やミュージシャンを売るために、各プロダクションが売り込みをして、ドラマの主題歌を利用する場合が多いです。そんなこともあって、毎回変わることが多いですね。
もちろん、Boyさんみたいに「このドラマのために作りました」という場合はあるし、ドラマや映画のディレクターが「このドラマのイメージに合うから、絶対このミュージシャン」とオファーをすることは多いです。
ただ、ずっと同じミュージシャンが、同じタイプの映画やドラマの主題歌を担当することは、あまりないんですよね。
Boy Sompob:へぇー(驚)!!!!そうだったんですね!ちなみに、アニメソングはどうですか?ずっと同じようなタイプのアニメの曲を歌い続けますか?
ーーアニメソングや、戦隊モノの歌手は、昔は「もう、絶対この人!」という人がいたんですよ。でも一つのアニメシリーズをずっと同じ歌手が歌うことは、今はもう珍しいかもしれません。アニメによっては、やはり監督の気に入ったミュージシャンや、アニメに合いそうなロックバンドの楽曲が選ばれることもあって、それが話題になります。
例えばタイでも有名なLiSAさんは「鬼滅の刃」シリーズで数曲歌っていますが、担当しているミュージシャンは、彼女だけではないです。
しかもアニメが爆発的に売れると、主題歌やエンディングを自分の所属メーカーや所属事務所のアーティストに歌わせようと、各社で争奪戦になる場合が多いですよ。
Boy Sompob:なるほどー(驚愕)!じゃあ、僕はタイのオリジナルスタイルなのかもしれないですね。
ーーそう考えるとタイの方が、ドラマや映画を、楽曲からすごく丁寧に選んでいるんだなあって驚きました。もちろんタイでも同じメーカーのミュージシャンの曲をドラマ内で使って売る戦略もあるみたいですけどね。
これは個人的な感想なんですけど、Boyさんはちょっと、セリーヌディオンさんみたいだなーって、思ったりします。
Boy Sompob:本当!?いや、レベルが違いすぎますけど(爆笑)。
ーーあの方のあの大ヒット曲は「タイタニック」に合わせて作られて、「タイタニック」と共に世界中に知られたっていう所が共通しているというか、すみません、これは私だけのイメージです(恥ずかしい)。
Boy Sompob:アリガトウガトウゴザイマス!嬉しいです!
僕にとって日本の音楽業界は世界第2位!
ーー2024年は日本語の歌詞にもたくさんチャレンジしていますけど、過去には「Dear Doctor」というドラマの歌詞が日本語でしたよね。なぜ日本語の歌詞を作ろうと思ったんですか?
Boy Sompob:うーん。僕にとって日本の音楽業界は、世界で2位なんですよ。
ーーそ、そうなんですか!?ありがとうございます!
Boy Sompob:僕の中では1位はアメリカで、2位は日本なんです。
やっぱり自分の曲はタイだけではなく、できれば世界中の人に聴いてもらいたくて。だからタイ語だけではなく、英語と日本語の歌詞も、少しずつ作っていたんですよ。
丁度「Dear Doctor」が日本でオンエアされるタイミングで、僕のファンクラブも日本にできたんです。丁度良いタイミングなので、じゃあ日本語の歌詞を作ろうと思いました。タイ語、英語、日本語ですね。
ーーそのおかげで日本でオンエアされたときには、まるで日本のためのドラマみたいになりましたよね。
Boy Sompob:そうそう(笑)!日本のファンの方のために作りました!
ーー日本語の歌詞があると、日本のファンの方も、日本での活動を期待してしまいますよね?
Boy Sompob:そうですね、これからも日本中で活動していきたいとは思っているんですが…そのためには日本のファンの方のサポートが必要不可欠です。どうぞよろしくお願いいたします。
天からの合図?「Dear Doctor」の主題歌リリース翌日に癌を知る
ーー今はとても元気なBoyさんですが、実は大きな病気…癌を克服されたと伺いました。いつ頃発見されたんですか?
Boy Sompob:「Dear Doctor」の主題歌をリリースした翌日です。
ーーえ!?ちょっと待て(混乱)!ドラマのタイトルがそのままズバリというか、まるで運命のような?お医者さんと仲良くなるような…。
Boy Sompob:そうそう(笑)。それ、僕の母と同じ事言ってます!
ーー(失笑)…母です。「あなた医者に会いに行きなさい」って言われているみたいなタイミングじゃないですか?
Boy Sompob:ドラマのタイトルは英語では「Dear Doctor」で、ソフトで広い意味に使えるじゃないですか。それですら運命的に感じるんですけど、実はタイ語のタイトルは「お医者さん、お迎えにきましたよ」っていう、そのものズバリ(笑)。
今でこそ笑えるけど、正に僕にとってはブラックジョークみたいなドラマのタイトルだったんですよ。
ーー恐い!
Boy Sompob:「お医者さんの患者を迎えにくる死神」の話なんです。ファンタジーですね。そこから医者と死神のラブストーリーにつながっていく訳なんですが。
ーータイのドラマは設定が本当にユニークですね。そう思うとBoyさんはお医者さんが、死神から守ってくれたことになりますね。
Boy Sompob:あははは(爆笑)。
ーーどのタイミングで病院に行ったんですか?既に病状が出ていたんですか?
Boy Sompob:ごく普通の胃痛です。「ちょっとおかしいな?」とも感じないくらいのものでした。そしたら病院で「精密検査をしましょう」と。それで癌が発見されて、即入院です。
ーーまさか僕が、ですよね。
Boy Sompob:いや本当に驚きました。ステージ3の中でも、ほぼステージ4に近かったんです。僕は「死んでしまうんだ」と思ったんですよね。
人生で一番辛い孤独な戦いの中で知った、自分は表に立つ人間だという事実
ーーあまりにもはつらつとしているので、病気だった姿が想像できないのですが、どんな治療をして、今があるのでしょうか?
Boy Sompob:ステージに立つまでに2年かかりました。まずは手術をしてから、抗がん剤治療。抗がん剤治療は6か月かかったんですけど、人生で一番辛い時期でしたね。
ーー抗がん剤治療は誰とも会えないし、体力が落ちて、かなりきついらしいですね。
Boy Sompob:丁度コロナ禍だったっていうのもあって、家族や友達と会えなくて、本当に独りぼっちでした。ガン治療は体力よりも、精神力が一番大事だなあって実感したことがあるんです。
ーー何でしょう?
Boy Sompob:僕は自分のことを裏方の人間だと思っていました。
ーードラマの主題歌を歌っている方がなぜ裏方意識を…
Boy Sompob:んー、僕の場合、曲を作る、レコーディングをする、そしてドラマで曲が流る…という仕事で、表に出る機会がほぼなかったんですよ。ドラマは俳優さんたちがメインだし、音楽のスタッフの一人のような気がしていたんですよね。
ーーでも表に立つことはあったんですよね?
Boy Sompob:ドラマのイベントがあれば歌うこともありましたけど、うーん、何と言うんでしょうかね。僕は表と裏の中間の立ち位置のような気がしていました。でも入院したら、テレビのニュースで僕が癌になったことが報道されて、びっくりしました。そして、たくさんの応援メッセージが届いたんですよ。
僕はその時、初めて自分にたくさんのファンがいることを知ったんです。
ーー人生で一番辛い時期でもあり、人生で一番力をもらえた時期でもあったんですね。
転移の危機から救ってくれたタイの有名な神様とは?
Boy Sompob:今も6か月に1回は検査に行っているんです。実は以前、肺と肝臓に転移の疑いがあったんですよ。
ーーえ?
Boy Sompob:それで祈ったんです。
「自分は価値のある人間です。生き残りたいです。生き残れたら、全力で曲を作ります、そして歌います」って。
そしたら、転移したと思われていた癌が、なくなっていたんです。本当に信じられない奇跡です。
ーータイと言えば、そういう神様の存在が重要ですよね。どこの神様ですか?
Boy Sompob:ゲイソンヴィレッジのプラ・メー・ラクシュミーです。
ーーあっ!あのピンク色の装束を着た、女性の神様ですよね?めちゃくちゃ有名な。
Boy Sompob:えっ?知ってる?そうそう、そうです!
ーースゴイ!本当に凄い神様なんですね。まだ行っていなかったので、私、次バンコクに行った時には絶対に行きます!えーっと、ゲイソン…ゲイソン…(メモる)
Boy Sompob:あははは(爆笑)。だから僕は神様を信じていますよ。
ーー私も死にかけた時、凄く不思議な体験をしたので、神様を信じてますよ。タイはパワーのある神様がたくさんいますよね。きっとプラ・メー・ラクシュミーも、Boyさんの声を「この世に残すべき美しい声」だと判断したんでしょうね。
「特別な手」に力をもらえる。同じ病気で絶望している人を励ましたい
ーー人間って一度死にかけると、何にでもチャレンジしたくなりませんか?
Boy Sompob:本当にそう思いましたよ。癌になる前は自分に自信がなかったし、中途半端な感じだったんですけど、癌の治療期間に考えていたことは「僕はずっと歌手であり続けたい」っていうことでした。
ーー癌になる前と後で、作品の内容が変わったりしますか?
Boy Sompob:そうですね。実は治療中にたくさんの曲を作りました。次に出る新しいアルバムは、ドラマに全く関係ないものです。それ自体がチャレンジですね。
でもね。このアルバムの曲を歌おうとすると、その時の治療の辛さを思い出したりして、生パフォーマンスできる自信がないんです。
例えば「ムー・ピセーッ(特別な手)」っていう曲の歌詞の内容なんですが…
「その手に触れるだけで力をもらえる…手を触れていなくても、力をもらえる」…という…(泣)
一同:(号泣)
ーー失礼しました(泣)。でもその曲は同じ病気で苦しんでいる人に、大変な励ましとなるし、アルバム自体が「独別な手」として、患者さんを救うのではないでしょうか(泣)。
Boy Sompob:(泣)…。そうなると思います。
生きているからこそ、世界中に歌を届けたい
ーーもう色々な国や地域を巡っているんですよね?
Boy Sompob:この前はフィリピンに行ってきました。今回は日本。そして次は香港と台湾ですね。
ーーすごいですね!神様との約束ですもんね。世界中に歌いに行きたいですか?
Boy Sompob:はい!可能な限り。
プライベートで1年に2回は日本旅行!お気に入りの場所は?
ーーでは話をがらりと変えて、今回の来日は約1週間でしたね。日本は楽しめましたか?
Boy Sompob:今回は6日間で4回歌う機会があったので、地方に遊びに行く時間はなかったけど、日本の美しい景色を見て、美味しい和食を食べただけで大満足。僕は和食がと~っても好きなんですよ。
ーー何を食べましたか?
Boy Sompob:寿司でしょ、あと「世界の山ちゃん」アロイマーク(とっても美味しい)!
ーーえっ?「世界の山ちゃん」って手羽先ですか?タイの手羽先のガイヤーン(鳥の炭火焼き)とか、ガイトーッ(鳥のフライ)も美味しいじゃないですか!
Boy Sompob:全然違いますよ〜(笑)。でも和食で一番好きなのは刺身かな?大好きです。
ーーショッピングはできました?
Boy Sompob:日本の古着をたくさん買いましたね。僕は古着が好きなんです。今回の滞在は仕事メインでしたけど、実はプライベートで1年に2回は日本に旅行に来ているんです。
ーーええっ?かなりマメに日本旅行しているんですね。日本でお気に入りのスポットや県があったら教えてください。
Boy Sompob:河口湖が好きかな。富士山が近いし、静かな雰囲気が好きですね。
まあ、正直に言いますと、日本はどこでも好きなんです(笑)。
ただ、日本旅行の時は友達についていくだけなので、あまり詳しくないんですよね。
タイでおすすめの場所は?
ーータイのエンターテイメントが少しずつ日本で広がる中で、タイに行ってみたいな、という人も増えていると思います。Boyさんがよく行くお気に入りの場所を教えてほしいです!ゲイソン・ビレッジ以外で。
Boy Sompob:あはははは(爆笑)
ーーあっ、ごめんなさい。そういう意味ではなくて、祈る場所と、遊びに行く場所は違うじゃないですか(汗)。
Boy Sompob:解ってます、解ってます(笑)。タイの海は本当に美しいですよ。アンダマン海の国立公園は、すばらしいです。ぜひ美しいタイの海を巡ってください。
あと、僕はカフェ巡りが大好きで、バンコクのBTSアーリー駅周辺のお洒落なカフェが好きです。観光で疲れたらアーリーに行ってみてください。
日本のファンの皆さんへ
ーーそれでは、日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。
Boy Sompob:まずはいつも僕を支えてくれて、応援してくれて本当にありがとうございます。もし心身共に疲れたら僕の曲を聴いて元気を出してほしい。
皆さんの支えがあって、日本でコンサートを開くという、僕の夢が叶いました。同じ道を一緒に歩いてくれて、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!
取材を終えて
誰しも好きなタイプの曲、好きなタイプの声があると思います。
例えば、何をきっかけに、曲やミュージシャンに興味を持つのかも、誰しも違う理由があると思います。
Boy Sompobさんの声は、それらを超越した、世界的にも珍しいクリスタルボイス。
何の予告もなくその歌声を聴いたら、誰もが驚いて聴き入ってしまうような魅力のある声の持ち主です。
神様は、そんな宝物のような声とクリエイティブな才能を彼に与え、この世に誕生させました。しかし、突然Boyさんを襲った大病は何だったのでしょうか。それも医者と死神がテーマのドラマの曲をリリースしたタイミングで、癌がわかるなんて、まるで神様からの「気を付けなさい」というメッセージのように感じませんか?
そして曲を作り続け、歌い続けると誓った神様(プラ・メー・ラクシュミー)は、この声を残したいと感じ、彼の誓いを受け入れたに違いありません。
人生には数多くのターニングポイントがあります。ドラマの曲ではない、闘病中に作った曲を日本語でリリースするという、これまでとは異なる大きなチャレンジに打って出たBoy Sompobさん。その未来が、不思議な力に導かれているような気がしてなりません。
ますますタイが好きになる、素晴らしいお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
[取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)]
写真について:今回のインタビューはライブ前のメイクをしていない状態での時間となり、Boy Sompobさん側からの強い意向で画像提供を受けて制作しています。
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Boy Sompob
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Source: タイランドハイパーリンクス