06.05
Tilly Birds独占インタビュー~オルタナティブの幅広さを再認識!ライブが楽しすぎる魅惑の3ピースバンド
Guitar Mag Awardsなどタイ国内の音楽アワードを獲得するなど、破竹の勢いでタイの音楽シーンをリードするTilly Birds(ティリーバーズ)。また、タイだけに留まらず、アジアでも人気。既に韓国・台湾・香港・インドネシア・オーストラリアなどで公演し、7月にはシンガポールでの公演も決定しています。
日本にもファンが多く、彼らの間では既に「チリバ」の愛称が定着。これまで日本でのライブが開催されていなかったことが不思議なほど、日本公演が待たれていたタイのアーティストのうちの一組です。
Tilly BirdsはThird(サード)さんとBilly(ビリー)さんが高校生の時に出会い、結成。タイ最大のエンターテイメント企業GMMグラミー傘下のGene Labレーベル新人発掘プログラム「Band Lab」に参加し、メジャーの道へと進みました。
彼らが一気に知られることとなったきっかけは2020年にリリースの「คิด(แต่ไม่)ถึง (Same Page?)」の大ヒット。その後もF.Heroとのコラボ「จำเก่ง (Slipped Your Mind) 」、MILLIとコラボ「เพื่อนเล่น ไม่เล่นเพื่อน (Just Being Friendly) 」などヒット曲を連発。
コロナ禍以降、タイ旅行に出かけた人は、特に意識していなくても耳にしたことがあるかもしれません。
そんなTilly Birdsの3人が、2024年5月11日(土)、満を持してタイフェスティバル東京2024のステージに登場!実は2022年のオンライン・タイフェスティバルには登場しているものの、日本でのライブはこの日が初めて!
タイランドハイパーリンクスではタイフェスティバル東京2024のステージを終えたばかりの3人にお話を伺いました。
また、それぞれバックグラウンドの違う音楽に影響を受けてきた3人が、バンドの音楽ジャンルについて答える際、一貫して「オルタナティブ」と答えてきた、その背景にも迫ります。
タイフェスティバル東京は楽しすぎて時間が短く感じた
ーータイフェスティバル東京2024は、初日のトリを飾りましたね。めちゃくちゃ盛り上がりました!感想を聞かせてください。
Third(サード):おおおお(頬を抑え感無量)。
ーー(笑)じゃ、すごく感動しているサードさんから!
Third:ええっ(驚)!
ハイ(笑)。とってもエキサイティングな体験でした。予想以上にお客さんが楽しんでくれて、本当にすごいノリだったんですよ。楽しみすぎて、30分があっと言う間に過ぎてしまいました。
Billy(ビリー): いや、本当に時間が短すぎて(笑)!実は今日、音響があまり良くなかったんですけど、予想以上に観客の皆さんが盛り上がってくれたので、皆さんに助けてもらったんじゃないかっていうくらい、たくさんのパワーをもらえました。
Milo(マイロー):ほんっとに楽しかったです。「日本人と繋がれた」っていう気持ちになりました。実は僕、日本での公演は2回目なんですよ。
ーーTilly Birdsのメンバーではなかった時代、ということですか?
Milo:はい。MEAN Bandというバンドで来日しています。
だから「初めての日本公演」という緊張はなかったけれど、今回はミスをしないか心配、という緊張感がありました(笑)。
でも観客とのコミュニケーションも、スタッフさんたちとのコミュニケーションも全てがうまくいって、最高の気分でしたね。
日本人の皆さんに今日のステージを見てもらえたことも僕らの誇りです。
世界中でライブ活動。海外のファンとの思い出は?
ーーTilly Birdsは、韓国、台湾、香港、インドネシア、オーストラリアで公演していますよね。そして7月にはシンガポールと、海外公演も多いんですけど、意外にも日本は初めてなんですよね?
3人にとって日本でのライブの位置づけは、実はそこまで高くなかったとか(笑)?
Third:いやいや、僕は日本語を勉強していたので、本当は日本に一番最初に来たかったんですよ~(日本語)!
ーーあっ!凄く日本語が上手ですね。ステージでも日本語で少しMCをしていましたね?どこで勉強していたんですか?
Third:高校時代です。でも、たくさん忘れました(笑)。ビリーと僕は同じ高校、Yothinburana Schoolに在籍していました。
Billy:彼は日本語で僕はフランス語を専攻していました。
今回、日本でタイフェスティバルのステージに立って、日本の印象がガラりと変わりました。日本の観客の反応が想像以上で驚きましたよ。日本人って、もっと曲をじっくり集中して聴くイメージだったんです。もちろん聴いてくれながらも、凄く盛り上がってくれたので、嬉しかったですね。
ーー良かった!日本人はアーティストのジャンルによってライブを見るスタイルが変わります。バラードを歌う人はその人の声が聞きたいから、じっくり静かに聴きこむし、ロックは激しくなりますよ(笑)。
日本以外で印象に残った国はどこですか?
Billy:どこの国も印象に残っていますけど、国によってそれぞれ違いますね。
Milo:インドネシアは凄かったね。女の子たちがモッシュして凄い迫力。
Billy:そうそう。ヒジャブを付けたままモッシュしてた!
ーーアクティブ!
Third:そのあと「タイ語勉強してきました!」ってかけ寄って来てくれて、それが凄くかわいく感じましたよ。
Tilly Birdsのライブツアーは凄くタイト!見に行ける機会がいっぱい
ーータイでTilly Birdsのライブを見に行きたくて、スケジュールを見ていたんですけど、5月9日にバンコクでライブがあって、今日が5月11日、5月12日はShibuya WWW Xでライブがあって、5月15日はコーンケンでライブなんですよね?
一応日本と言う海外を挟んでいるのに、間隔が詰まっていて大変そうだなと思ったんですが、Tilly Birdsのライブツアーはいつもこんな感じなんですか?
3人:(笑)…。
Third:うーん、その月によりますかね(笑)。
Billy:時間を有効に使っています(笑)!
Third:月に10か所超えるくらいかな〜?
Billy:15か所!
Third:あっ!15か所でした(笑)。
一同:(爆笑)
ーー今日、タイフェスティバルを見た皆さんも、タイでTilly Birdsのライブを見たいと思うんですよね。その場合、公式サイトをチェックしていれば良いですか?
Billy:はい。Tilly BirdsのWebサイトやInstagramがあるので、両方見てください。パブのライブは時々時間が変更になることがあるんですよ。だからSNSも見たほうが安心かも。
ーー今回も5月12日のライブの3日後にはコーンケンにいることになっていますからね。日本では自由時間がなさそうですよね。
Third:あははは…(爆笑)。
Billy:(爆笑)遊べる時間があるのかどうかわからないけど、遊べる時間があったら、時間がある限り、遊ぶ!
Third:コンサートが一番大切ですからね(日本語)!
Milo:僕はショッピングしますよ!今タイでPOP MARTのフィギュアが流行っていて、売り切れのフィギュアもあるんですよ。新宿か渋谷のショップで買おうと狙っているんですけど。
Third:僕は焼き肉を食べて帰りたい。神戸ビーフ!
Billy:僕は寿司!エンガワが好き。
ーーツウですね…。
Milo:何でも食べて帰りたい。寿司、焼肉、ラーメン。
喧嘩したら解決するまで話し合う
ーー3人が出会ったのはいつですか?
Billy:僕とThirdが高校で…。
Third:Miloとは大学だよね。
ーー10年間一緒にバンドを組んでいるっていうことなんですけど、例えば曲のことについて言いあったり、発展して喧嘩になったりっていうことは…?
Third:あはははは(爆笑)、でも友達だからケンカすることはありますよ。でも、いつもじゃない、いつもじゃない(日本語)!
Billy:そんな時は時間を作って解決するまで話し合います。仕事でもプライベートでも(笑)。
Third:僕らは友達でもあり、同僚でもあるからね。
好きなことを10年間続けられる秘訣とは?
ーー好きなことを10年間「仕事」として続けられることは、羨ましいことですし、逆にすごく難しいことですよね。どんな秘訣があるんでしょうか?
Billy:これはね、簡単に答えられます。僕たち3人が本当に好きな音楽を作っているから続けられるんです。
Third:あとはみんな同じ目標を持っていることが大事です。例えば僕らは影響を受けたアーティストみたいに、世界中の色々な国にライブに行きたい。僕らはまだ若いから、もっとたくさんの国に行けるし、まだまだ上を目指せると思うんです。3人とも、もっと成長していきたいんですよ。
全てを自分たちで手がけるセルフプロデュース
ーー作詞、作曲、アレンジ、プロデュースだけではなくて、ミュージックビデオも自分たちで作っているということなんですけど、Thirdさんが作っていると公式サイトに書いてあったんですが…。
Third:ハイ。
ーーどのミュージックビデオもストーリー性があってまるで映画を見ているようでした。凄くユニークだし、クオリティが高いですよね。歌詞からイメージしてThirdさんが作るのでしょうか?それとも、みんなで考えたり?
Third:コンセプトはみんなで話し合って考えるんですけど、映像は僕が作っています。僕とBillyはチュラロンコン大学で、Miloはタマサート大学だったんですけど、僕はたまたま映画の授業を専攻していたんですね。
だから「Thirdができそうだから、やらせちゃおうぜ」って雰囲気になって、僕が作っているんです(笑)。でも初期の頃のミュージックビデオはBillyが作っていました。
ーー確かBillyさんはYouTubeのチャンネルを持っていたんですよね?
Milo:そう。BillyはYouTuberだったんです(笑)。
ーーホームページにディスコグラフィーがあって色々聴いてみたんですけど、「White Pills」カッコイイですね。
Third:ありがとうございます!
ーータイ語の歌詞の曲もあると思うんですが、なぜ「White Pills」は英語なのですか?
Third:歌詞は最初に英語で作ります。
ーーそうなんですか!
Milo:アルバムを作る時にも全部英語で歌詞を付けてから、タイ語にしたりするんです。最初のシングルも英語でしたね。だから「White Pills」も英語にしています。
ーー「White Pills」でのThirdさんの声が低音で、映像もバイオレンスな感じだったので、もっと恐そうな方たちだと思っていたら全然違いました。
3人:…(爆笑)。
ーーTilly Birdsはジャンルを「オルタナティブバンド」としてハードな曲からバラード、ラップが入っている曲、ポップな曲まで様々なジャンルの曲を作っていますね。どうして「オルタナティブ」と言う表現を使っているのですか?
Milo:Tilly Birds自体は、最初はBillyがリードして作詞や作曲をしていたんですけど、そのうち僕やThirdも作詞作曲に加わるようになって、3人が影響を受けてきた曲のジャンルが色々混ざってきました。
例えば僕は、メタルとジャズを交互に聴いてきました。Thirdはディーヴァ(Diva=女性歌手)とソウル、Billyはパンクロック。
Billyが作詞作曲をすることもあるし、ある時はThirdが歌詞を作って、僕が作曲する場合もある。3人で一緒に曲を作ることになって、バラエティに富んだ曲が沢山できたんです。
みんながそれぞれ好きな曲を作るとしたら「オルタナティブ」という言葉が適切だなって思って、そう定義して表現しています。
Tilly Birdsは日本大好き!
ーー日本のアーティストで「この人凄いな」と思ったアーティストはいますか?
Third:宇多田ヒカルさん、あと、布袋寅泰さん、好き!
Milo:僕はYOSHIKIさん。
ーードラムと言うと、やはり気になる存在ですよね。
Billy:エ~ッと…。
ーーあっ!Billyさんは、日本はノーマークですか(笑)?
Billy:(笑)…今思い出せません。
Third:あーっ!僕は「新しい学校のリーダーズ」も好き!
ーーさすが、Thirdさんは日本の音楽に敏感ですね。Billyさんは日本の音楽よりも他の国の音楽に影響を受けているのだと思いますが、どんな曲を聴いてきましたか?
Billy:色々なジャンルの英語の曲を聴いていました。
ーー今後日本にライブに来る予定や、活動予定はありますか?
Billy:何度もライブに来たいですよ。ただ、日本のマーケットがどれくらい僕らの曲を買ってくれるのか?…と言うのが興味深いです(笑)。
Milo:僕も何回も日本に来て、ライブをしたいですよ。今回はファンの方にたくさんパワーをもらったから、また日本でライブをやって、そしてまたパワーをもらいたい。
Third:音楽や仕事にかかわることでの来日は初めてですけど、僕たち日本にはプライベートでよく旅行に来てるんですよ僕は2回、Billyは…。
Billy:4回。(Miloを指さして、大袈裟なポーズ)
Third:Miloはちょっと違いますよ(笑)。たくさん来ています!
Milo:7回!
ーーそれだけ来ていると、日本にお気に入りの場所があるのではないでしょうか?教えてください。
Third:決められないよぉ(笑)。
でも、フィギュアが売っている場所が好き!「中野ブロードウェイ」と大阪の「でんでんタウン」。自由時間が「でんでんタウン」で2時間しかないのに、フィギュアをいっぱい買いまくって、新しいカバンも買うことになっちゃった(笑)。
Milo:僕は福島県ですね。雪山を見ながら電車に乗りました。すごくきれい。沖縄も大好き。僕にとっては特別な場所ですね。
Billy:日本はきれいな場所が多すぎて、一番好きな場所はなかなか決められないんですけど、最近だと六本木です。まあ、特に何かあるわけではないんですけど(笑)、六本木は朝まで飲めて楽しかった(笑)。
Third:あっ!豊洲市場も好きです。魚市場!
ライブのチケット完売を知らなかったアーティストが、こちらです
ーー明日、Shibuya WWW Xでワンマンライブがある訳なんですが、チケット販売が開始されてから、数日でソールドアウトしましたね!
Third:えええっ?本当?知らない(驚愕)!
Milo:そうなの(驚愕)?
ーーえ(爆笑)?
Billy:ナ、ナ、ナンマイデスカ?(日本語)
ーースタンディングでの収容人数は600のはずですけど、前売り券に関しては販売してから数日でソールドアウトしていましたね。明日当日券があるくらいじゃないですかね(翌日、当日券も完売)?本当に知らなかったんですか?
3人:知りません(笑)!!!嘘でしょう?
日本のファンのみなさんへ
ーー割と大きなライブハウスが完売するくらい日本でも人気があります。もちろん日本に住んでいるタイ人のファンの方もチケットを買っていると思いますが、日本人にもたくさんTilly Birdsのファンがいます。そんな日本のファンの皆さんに、メッセージをお願いします。
Third:タイフェスティバルやライブに来てくれてありがとうございます!僕たちのことを思ってくれて、本当にありがとうございます。タイのライブにも来てください。
その時は、アルバムを聴いて事前準備をする必要はありません。その場でみんなで楽しみましょう。ライブを楽しむことが一番大切です。
Billy:今日のタイフェスティバルも凄く楽しかったんですけど、僕は今日、このインタビューで、明日のワンマンライブがソールドアウトだと知ったことが、一番びっくりしました。
Third:びっくりした!
ーー誰か教えてあげてぇ~!!!(笑)
3人:(爆笑)
Billy:だからこそ、見に来てくれる人のために、最高のステージができるように頑張ります。
Milo:子供のころから日本のアニメやマンガで育ってきました。日本の文化に凄く憧れてきたんです。マンガやアニメの内容が知りたくて、日本語を理解しようと勉強もしました。でも、今回は僕たちのタイ語の曲を日本人が理解しようとしてくれていることが、言葉にならないくらい感動したし、嬉しかったです。当時と逆になってるんだもん!
ーーMiloさん、感極まってますね。なんだか日本人として本当にうれしいです。
Milo:本当にありがとうございます。今回日本に来て、日本語もっと勉強したいなあって思いました。
ーーこちらこそ日本に来てくださって素晴らしいプレイを見せていただいて、ありがとうございました(感涙)!明日の完売しているライブ、頑張ってください。
3人:頑張ります!
取材を終えて
「明日ライブ、見に来れば良いのに!」と、まるで友達を誘うかのようなフレンドリーさで声をかけてくれたTilly Birdsの皆さん。翌日も4組のアーティストの皆さんの取材を控えていた我々は、泣く泣く行けないことを伝えました。
タイで数々のアワードを獲得し、音楽制作にも特別なこだわりを見せている3人。とっつきにくい所もあるのかな?と思っていたら、とんでもなかった!
Thirdさんはとびきり明るく、まるで子どものような元気いっぱいのキャラクターでありながら、しっかりと音楽や映像に向き合うプロフェッショナル。冷静な商業的感覚を持ちつつも、ユーモアを交え話してくれるBillyさん、日本への憧れの気持ちとタイフェスティバル東京での感動を感極まりながら話してくれた情熱家のMiloさん。何て素敵な3人なんでしょう!
曲はもちろん、3人の個性の魅力にも完全にノックアウトされた時間でした。
翌日、Shibuya WWW Xのライブに行った同じプレスの人や、ライブに行った友人たちは「最高だった!」と感動を口にし、Tilly Birdsが帰ってしまった日本の寂しさを「チリバロス」と語り、共に嘆きました。
それくらい3人のいない日本は寂しいです。今もそんなファンの皆さんがたくさんいるはず。そして今回ライブを見ることが叶わなかった皆さんも、ぜひ一度彼らのライブを体験してください。
「音楽」って「音を楽しむ」って書くんだということを、思い出させてくれる世界に連れて行ってくれますよ。
[取材・文:吉田彩緒莉(Saori Yoshida/Interview・text)]
Tilly Birds
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Source: タイランドハイパーリンクス