05.23
「あまりに無責任、無反省な荻生田議員は起訴すべき」 上脇教授が検察審に申し立て
一連の裏金疑惑で刑事告発されていた萩生田光一元自民党政調会長に対し、東京地検は5月2日に不起訴との結論を出したが、それを不当だとして、告発人の上脇博之神戸学院大学教授が22日、東京検察審査会に審議を申し立てた。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
萩生田氏が代表を務める政党支部「自由民主党東京都第24選挙区支部」(以下、「第24支部」)は、安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティの収入の中から、2018年以降に2728万円もの大金を還流されていたが、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載していなかった。上脇教授は、これが政治資金規正法の不記載罪や虚偽記入罪などに当たるとして、荻生田氏ら5人を刑事告発していた。
◆訂正後翌日に地検が不起訴の決定
上脇教授が荻生田氏らを刑事告発したのは3月22日だった。荻生田氏の「第24支部」は、それを受けたような形で収支報告書を3月29日に訂正している。上脇教授が今回の申立書には、3月22日の刑事告発後の3月29日と5月1日に「第24支部」が訂正したことも追記された。どういうことだろうか?
3月22日の訂正後、萩生田元政調会長は自身のブログで「当事務所で精査が終わった」と書いた。しかし、5月1日に三度目の訂正を行い、翌2日に東京地検は萩生田元政調会長らを不起訴とした。
◆「引き出しに現金保管」と説明しながら海外の会食で支出のデタラメ
萩生田氏は、日本テレビや朝日新聞などの取材に対して「キックバックされたカネは事務所の担当者が現金で受け取り、自分の机の鍵付きの引き出しに保管していた」と弁明していた。しかし、5月1日訂正された「第24支部」の収支報告書の明細には、米国をはじめ海外のホテルやレストランでの会食などがずらりと並ぶ。
キックバックされた金を事務所の引き出しに保管していたなら海外で支出はできないはずだ。上脇教授は、今回提出した申立書で、「明細の訂正が真実であったとすれば、事務所の引き出しで保管していたとの弁明が虚偽だった」と断罪している。
◆有罪にできるだけの証拠はそろっているはず
上脇教授の申立書によると、東京地検が示した不起訴の理由は、萩生田氏ら4人は「嫌疑不十分」で、ひとりが「起訴猶予」だった。起訴猶予とは被疑者が罪を犯したことが証拠上明白であるのに検察が訴追を必要としないということである。しかし上脇教授は「有罪にできる証拠があるにもかかわらず、東京地検が不起訴処分したのは明らかに不当」と厳しく指摘している。
そして、萩生田元政調会長を次のように厳しく批判した。
◆自民役職停止も都連会長続投の大甘
「荻生田議員は、私が刑事告発した1週間後に収支報告書を訂正し、自身のブログでも訂正、再訂正について弁明していました。しかし検察が不起訴にする前日に三度目の訂正した時には、ブログで報告・弁明していません。いい加減な訂正をしておいて、それについての説明もしないのですから、あまりにも無責任。東京検察審査会が、無反省な議員は起訴すべきであると議決してくださるものと期待しています」
萩生田元政調会長は安倍派「5人衆」の一人であり、立件された議員を除いた場合キックバックを受けた額は二階俊博元幹事長、三ツ林裕巳衆院議員に次いで多い。それにも関わらず、党の処分では一年間の役職停止に留まっていた。
さらには自民党の東京都連会長の職は続投している。裏金問題で中心的な立場にいたとされる政治家が、このような甘い処分で済まされていることに納得できない有権者は多いだろう。
■ 鈴木祐太(すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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Source: アジアプレス・ネットワーク