04.19
Googleがイスラエルとの契約に抗議した20人以上の従業員を解雇
米Googleが、同社とイスラエルとの契約に抗議した20人以上の従業員を解雇した。
GoogleはAmazonと共同で、イスラエル政府とイスラエル軍にクラウドコンピューティングやAIなどを提供する12億ドルの契約「プロジェクト・ニンバス」を結んでいる。
この契約に反対するGoogleの従業員が4月16日、ニューヨークとカリフォルニアにあるGoogleのオフィスで10時間に及ぶ抗議活動を実施し、そのうち9人が逮捕された。
BREAKING—DOZENS OF @GOOGLE WORKERS LEAD HISTORIC COAST TO COAST-INS AT @GOOGLECLOUD CEO THOMAS KURIAN’S OFFICE IN SUNNYVALE & @GOOGLE’s NYC 10TH FLOOR COMMONS. They refuse to leave until @google stops powering the genocide in Gaza
LIVESTREAM: https://t.co/uUiPbr3oDzpic.twitter.com/vCkInh0769
— No Tech For Apartheid (@NoTechApartheid) April 16, 2024
さらに、同社グローバル・セキュリティ部門ヴァイスプレジデントのクリス・ラコウ氏は17日、内部調査の結果、28人の従業員を解雇したと全社メールで伝えた。
ラコウ氏は「デモ参加者たちはオフィスを占拠し、我々の所有物を傷つけ、他のGoogle社員たちの仕事を物理的に妨害した。行動は容認できず、非常に破壊的で、同僚に脅威を感じさせた」とメールに書いている。
「このような行動は我々の職場にはふさわしくないもので容認できません。ハラスメントや差別、報復、行動基準、職場の問題など、全従業員が遵守すべき我々の方針に明らかに違反しています」
Google fired 28 employees involved in a takeover of office space for "No Tech For Apartheid."
Full statement from Google security VP Chris Rackow, via @nyposthttps://t.co/LUWuN3pW4npic.twitter.com/KZ7STm21BN
— Alex Kantrowitz (@Kantrowitz) April 18, 2024
抗議活動を計画したのは、イスラエルとの契約解除を求めるGoogleとAmazonの従業員グループ「No Tech for Apartheid(NTFA:アパルトヘイトに技術を使うな)」だ。
NTFAは17日に声明を発表して、解雇と逮捕は報復だと主張。
「抗議活動参加者たちが器物を破損し、同僚の仕事を妨害した」というGoogleの主張は誤りで、解雇された労働者の一部は抗議に直接参加していなかったと訴えた。
「Googleは、抗議行動に参加した“大部分”が自社で働いていない人々だと主張していますが、これは事実と異なるだけでなく、侮辱的です。何千人もの同僚が、プロジェクト・ニンバスの中止を求める私たちの呼びかけに参加し、声を上げる勇気ある仲間を支持しています」
「(会社の主張は)プロジェクト・ニンバスに対する懸念や、Googleが引き起こした人種差別やハラスメント、検閲に直面しているパレスチナ、アラブ、イスラム教徒の同僚たちのウェルビーイングのために声を上げ、会社から追い出された我々に対する侮辱です」
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Googleの従業員やNTFAのメンバーは、同社が2021年にイスラエルとプロジェクト・ニンバスの契約を結んで以来、抗議を続けてきた
2021年には、ユダヤ系従業員らが、サンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)に書簡を送り、イスラエル軍など「パレスチナ人の権利侵害を支援する機関」との契約を見直すよう求めた。
2023年10月7日にハマスとイスラエル軍の武力衝突が発生して以降、契約中止を求める従業員の声はますます高まっている。
一方、Googleはプロジェクト・ニンバスは「兵器や諜報機関に関連した、機密性が高い軍事的な作業は対象にしていない」とタイム誌の取材で主張している。
しかし、タイム誌は「10月7日の武力衝突以降、Googleはイスラエル国防省のためのカスタマイズツールを作り、収益を増やしている」と報じている。
NTFAが問題視しているのはプロジェクト・ニンバスだけではない。
同団体は、「イスラエル軍がガザで行っている顔認識にGoogleフォトが利用されている」と主張している。
ニューヨーク・タイムズも、イスラエル軍が顔認識システムのためにGoogleフォトを使用していると報じている。同メディアによると、イスラエル軍は顔認識システムを利用して「攻撃対象者リスト」を作成し、ほとんど証拠がないまま民間人を拘束して拷問しているという。
また、イスラエルとパレスチナのジャーナリストが共同で運営する+972は4月、イスラエル軍は「ラベンダー」と呼ばれるAIプログラムを使い、人間の監視がないままパレスチナ人を攻撃していると報じた。
イスラエルは以前、ハフポストUS版の取材で、「情報システムは、標的を特定するプロセスにおける分析者のためのツールに過ぎない」と述べ、武装勢力のメンバーを特定する目的でAIを使用してはいないと主張した。
イスラエル軍の攻撃で、10月7日以降ガザ地区では3万3000人以上が死亡している。
Googleクラウドのソフトウェアエンジニアだったエディ・ハットフィールド氏は3月、Googleがスポンサーを務めたイスラエル技術会議で抗議し、その後解雇された。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、ハットフィールド氏が「私はグーグル・クラウドのソフトウェア・エンジニアで、大量虐殺、アパルトヘイト、監視を助長するテクノロジーの構築を拒否する!」と叫んで会場から連れ出される様子が映っている。
BREAKING—PRO-PALESTINE @googlecloud ENGINEER DISRUPTS @Google ISRAEL DIRECTOR AT GOOGLE-SPONSORED ISRAELI TECH CONFERENCE IN NYC.
The worker demanded that Google STOP using worker labor to power genocide against Palestinians in Gaza. #NoTechForApartheidpic.twitter.com/t2mqCqFFay
— No Tech For Apartheid (@NoTechApartheid) March 4, 2024
ハットフィールド氏の解雇後には、Googleの信頼&安全チームのヴェダナ・アブデル・カレック氏がプロジェクト・ニンバスに抗議して会社を辞めた。
タイム誌によると、4月には別の2人の従業員がGoogleとイスラエル軍との関係とを理由に辞職した。
NTFAは17日の声明で「サンダー・ピチャイと(グーグル・クラウドCEOの)トーマス・クリアンはジェノサイドで暴利を得ている」と述べている。
「この6カ月間で、自分たちの技術により、殺害されたり、行方不明になったり、負傷したりしたパレスチナ人が10万人を数え、その数が増え続けているのに、その間彼らが夜眠れることが理解できない」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
Source: HuffPost