04.12
知ってた?「桜餅」の葉っぱの歴史や採取方法。シェア7割の産地はあの町だった
桜の開花が終わると、葉桜の季節になります。桜の葉は、桜餅を包む材料になることはよく知られています。では、その桜餅の葉っぱの約7割を供給しているのが、静岡県の松崎町であることをご存知でしょうか。
どうして一つの町が、全国で食べられる桜餅の葉の約7割を供給しているのか。その秘密を松崎町役場企画観光課から教えていただきました。
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桜葉漬けの歴史
桜餅はいつから食べられるようになり、どんな歴史を経て今に伝えられてきたのでしょうか。
「桜餅は、江戸時代に始まりました。江戸・長命寺の寺男が隅田川堤の桜の落ち葉を塩漬けにして、餅を包んで売ったのが最初と言われています。
伊豆半島では明治末期、南伊豆の子浦地区で桜葉漬けが始まり、1960~61年頃から自生のオオシマザクラを使った薪炭生産が盛んな松崎が中心地となりました。松崎は、燃料となる薪炭材を量産するため、オオシマザクラの植林に力を入れていました。
戦後燃料の主役が石油になると、薪炭材としてのオオシマザクラの需要はなくなりました。松崎町では、桜葉を収穫するためにオオシマザクラの畑地栽培を始めました。
2001年時点で、200戸ほどの農家がオオシマザクラを栽培していました。松崎町は、全国シェアの約7割の桜葉の生産量を誇るようになったのです」(松崎町役場企画観光課)
なぜ松崎町でオオシマザクラ?
なぜ松崎町にはオオシマザクラが多いのでしょうか。また、なぜオオシマザクラは桜餅を包むのに適しているのでしょうか。
「伊豆半島は年間を通して温暖で、日照時間にも恵まれています。中でも西伊豆の海に面した松崎町は、潮風や強風といった過酷な条件にも耐えるオオシマザクラが多く自生していました。
1960年代の高度経済成長期、和菓子の需要が高まるのに合わせて、松崎町では桜葉を収穫するための桜畑を随所に設けました。それまでの山採りから畑作に切り替えたことで、桜葉漬けの生産量を飛躍的に伸ばすことができたのです。
オオシマザクラは葉形が良く、若葉はきれいな緑色です。また、桜葉特有の芳香成分である『クマリン』の含有量が他の桜より多く含まれています。他の桜には葉の裏面にうぶ毛がありますが、オオシマザクラにはうぶ毛が全くないので、口当たりが良いのが特長です」(松崎町役場企画観光課)
ところで皆さんは桜餅の葉っぱを食べますか? ウェザーニュースでは「桜餅に巻かれている桜の葉を食べますか?」というアンケート調査を実施しました。
10代だけは「いいえ」の割合が多かったものの、全体的には「食べる派」が多い結果となりました。また、年代が上がるほど、桜餅の葉っぱを好んで食べる人が多いようです。
桜葉の採取方法
「桜畑では、葉を取るために花を咲かせません。オオシマザクラの木を畑に植え、毎年1月下旬~2月上旬にかけて根元から20~30cm残して剪定します。そこから伸びた枝の葉を5月上旬~8月下旬まで1枚1枚丁寧に手摘みするのです。
摘み採った葉は大きさを選別し、50枚を1束としてカヤの紐でくくって結びます。この作業は『まるけ』と呼ばれ、桜葉づくりでしか使われない独特の言葉です。
塩漬けされた桜葉は、半年くらい経つと甘い香りを漂わせて、べっこう色に仕上がります。その香りは、環境省の『香り風景百選』にも選ばれているほどです」(松崎町役場企画観光課)
松崎町では「桜餅」ではなく「桜葉餅」
3月のひな祭りに、女の子の成長を願って食べられる桜餅……。それを包む桜葉は、これから始まる葉桜の季節に摘み採られ、8月まで摘まれた葉が塩蔵され、半年かけて桜餅になるのですね。
私たちが食べる桜餅の約7割は、松崎町でつくられる桜葉で包まれていると考えると、桜の長い旅が偲ばれます。
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Source: HuffPost