02.27
私は月に1回、女に生まれたことを恨んでいた。生理中に働くのって、ほんとにしんどくないですか?
【あわせて読みたい】「生理は、ただ血が出るだけじゃない」 競泳元日本代表・伊藤華英さんが女子アスリート指導の検定に込めた思い
生理中の仕事は、つらい。
仕事中はいつものように振る舞うし、生理のタイミングなんて関係なく大変な仕事がめぐってきたりします。
そんな中でも、お腹も頭も痛くなるし、いつもの自分ではありません。
でも気づいたんです。そのつらさについて、誰とも話すことはないなって。
だから今日は、私の「生理と仕事」の話をします。
(初出:BuzzFeed Japan News 2022年11月30日)
前職は新聞記者で、大学を卒業してから2019年まで、警察担当で事件現場に駆けつけたり、会見取材に行ったりと毎日、現場を走り回っていました。
学生時代は生理痛やPMS(月経前症候群)もひどくなかったのですが、社会人になってから、どんどんつらくなっていきました。
PMSとは、生理前にイライラや不安、腹痛・腰痛などの症状が出ることをいいます。
完全に「バッド・タイミング」なだけなのですが、なぜか生理中に限って、ほぼ徹夜状態の取材や、体力勝負の長丁場の取材に当たったり、取材に向かう道で2時間超の渋滞に引っかかったりしていました。
いつも痛み止めを飲みながら仕事をしていましたが、貧血と頭痛でいつも通りには動けないし、取材や長時間の移動で、なかなか生理用品の交換ができない状況に陥ることもありました。
一番焦った経験は、地方出張で海岸での長丁場の取材中、急に予定より早まって生理がきた時。
コンビニや商店からも遠く離れた村の外れにいて、予定よりずいぶん早く生理が来てしまったため、生理用品も持っていませんでした。
トイレで経血を見た時はどうしようと思いましたが、他社の女性記者に「すみません…生理用品持ってたりしませんか?」と聞いて、かしてもらいました。
月に1回、女に生まれたことを恨んでいた
「男だったらこんな思いをしなくてもよかったのにな」「なんで女性に生まれてきたんだろう」
生理が「重い」月と、「軽い」月がありますが、症状が重い月にはいつもそんな風に感じていました。
「いつも通りに仕事がしたいのに」「同僚の男性記者に負けたくないのに…」と、悔しく感じていました。
今、働いている会社では「生理休暇」を使うことができますが、当時働いていた会社では、生理休暇はありませんでした。
当時、導入を会社に掛け合ってみようかと考えたこともありましたが、忙しさの中、実行することもなく転職してしまいました。
調べてみると、日本では2020年度時点で、生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は29.0%のみ。生理休暇の取得率は0.9%に止まっています。
低用量ピルで週末に「生理」。でも“モヤっていた”理由は…
私の「生理中の仕事」の状況が劇的に変わったきっかけは、社会人3年目の2017年12月、低用量ピルを服用し始めたことでした。
「女性に生まれてしまったから仕方ない」と諦めて体調不良をやり過ごしていましたが、私の場合は低用量ピルの服用で、状況が大幅に改善されました。
低用量ピルを服用していると、出血がいつから始まるか把握できるため、自分の仕事や予定もスケジューリングできることが私にとっては1番便利でした。
もちろん個人差がありますが、私の経験としては、経血量も減り、出血日数も短くなったので、体の負担も大幅に減りました。
といっても、私の場合は毎月、1日目や2日目に頭痛があるので、痛み止めは手放せません。
低用量ピルの服用は、医師の診察や指導のもとで服用することが推奨されています。
私の場合も、家の近くの婦人科にかかって、副作用の可能性や注意点についての説明も聞いてから服用を始めました。
ピルの服用をきっかけに、以前は少し「行きにくい場所」だと思っていた婦人科に、足を運べるようにもなりました。
腹痛などの症状がひどい人は、子宮内膜症や子宮筋腫の可能性もあるため、強い痛みの場合は我慢するのでなく、婦人科にかかることが大切だなと感じました。
低用量ピルを服用し始めて、6年が経ちます。
途中からは、仕事への支障をさらに軽減するために、「生理」の1日目が週末に始まるように調整しました。(低用量ピルの休薬中に起こる「生理」は「消退出血」といいます)
低用量ピルの服用で経血量や期間が減り、体への負担は減ったものの、それでも1日目や2日目は「100%の自分」のパフォーマンスでは仕事ができないからです。
「仕事を優先するために、貴重な週末を犠牲にするのか…」と少し「モヤる」気持ちも残った一方で、私にとっては、体のコンディションが原因で自分が思うように仕事ができないことの方が悔しかったのです。
今でもまだこの「モヤる」気持ちは少しはありますが、決まって土曜日の朝に出血が来ることがわかっているので、その週末は家でゆっくり過ごすようにしています。
PMS、約8割が「わからない」。私が自分の生理について書いた理由
ここまで読んだ方の中には、「なんで『生理がしんどいアピール』をするんだろう」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
それは、私自身が生理や働き方に関する取材をしていくうちに、もっと「仕事中の生理がしんどい」ということについて、体験を共有する人が増えてもいいんじゃないかと感じたからです。
仕事中の生理による不調について、女性記者の同僚には「今日、経血量多いわ〜」とか「頭痛いわ〜」とか、世間話の一環として、少しぐちったことはあるかもしれません。
しかし、男性の上司や同僚には、そんな話をしたことが全くなかったからです。
もちろん、性別関係なく心身の不調について同僚や上司に全てを話すわけではありません。
でも、社会全体として、生理について「知らない」よりは「知っている」方が、より良い働き方や柔軟な仕組み作りにつながるかなとも個人的には思います。
ここ数年では、いわゆる女性誌や女性ファッション誌だけでなく、新聞・テレビでも、生理をめぐる特集などを目にするようになりました。
それでも、生理痛やPMSについて、社会全体が熟知している訳ではありません。
2021年にエムティーアイが全国の15〜49歳の男性1000人を対象に行ったオンライン調査によると、52.5%が「生理」とはどういうものか説明できないと回答していました。(実施期間:2021年10月18〜19日)
生理について正しく学ぶ機会についても、半数以上が「学ぶ機会がなかった」としていました。
また、PMSの理解については、回答者の78%が「わからない」(全体の48.1%が「まったくわからない」、29.9%が「あまり理解していない」)と答えていました。
最近では、生理についてしっかり学ぶ授業を取り入れる学校も増えてきているようですが、多くの学校の保健体育の授業では、きちんとPMSの症状などについて学ぶわけではありません。
ましてや、現在社会人として働いている人、特に中堅社員・管理職の年代では、学校できちんと習わなかった人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、一個人の経験ですが、記事に書いてみようかなと考えたのです。
Source: HuffPost