02.13
魚のえらからハサミ?根拠不明の映像に「福島魚」「福島出身」。差別や偏見を助長、拡散に注意
合わせて読みたい>>処理水とは何?汚染水と言わない理由は?危険じゃないの?福島第一原発
カニのハサミのようなものがえらから出ている魚の映像が1月26日、Xに投稿され、2万件の「いいね」が付くなど広く拡散されている。
「えらにカニの爪を持つナマズ?」「海には見たことのない生物がいる」と話題になっているが、撮影者がカニのハサミのようなものを魚のえらにつけた可能性もある。
さらに、この投稿には、「Fukushima fish(福島魚)」「Fukushima catfish(福島ナマズ)」などと、福島県への差別や偏見を助長するようなコメントが20以上もついていることが判明。
本来は地名の英語表記である「Fukushima」というワードが、ネットミームとしてネット上で使われていることがうかがえる。
投稿の拡散には注意が必要だ。
ハサミ自体の動きがなく不自然
「What is this??(これは何だ)」と投稿したのは、フォロワーが38万人以上いるXアカウント。映像を見ると、カニのハサミのようなものがえらから出ているナマズのような魚が、船の上で時折跳ねている。
しかし、この映像には不自然な点がいくつかある。
まず、ハサミのようなものが不自然なほど動かず、開いたり閉じたりもしない。
画像検索で2022年にも出回った映像であることがわかったが、このような珍しい魚が発見されたというニュースをネット上で確認することができない。
また、この映像以外に同様の魚を撮影した画像や映像が見当たらない。
現状では、撮影者が魚のえらにカニのハサミのようなものをつけたり、刺したりした可能性を否定できず、実際に存在する魚だと言える根拠はない。
福島の差別を助長するようなコメント多数
それ以上に問題なのは、この投稿のリプライ欄に福島県への差別や偏見を助長するようなコメントが多数付いていることだ。
投稿者へのリプライの中で「fukushima」と書かれたものを抽出すると、今回の投稿では22件ヒットした。
内容は、前述した「Fukushima fish」や「Fukushima catfish」のほか、「What happens when fish go too near fukushima(福島に近づきすぎると何が起こるか)」「I’m from Fukushima(私は福島出身です)」「Brought to you by Fukushima(福島からお届けします)」「Fukushima mutation(福島の突然変異)」といったもの。
もちろんどれも科学的根拠はなく、本来は地名の英語表記である「Fukushima」というワードが、「Fukushima fish」「I’m from Fukushima」などとネットミームとして利用されている。
ハフポスト日本版が、差別や偏見に繋がるとして取り上げてきた「Fukushima water」と投稿した人もいた。
東京電力福島第一原発の処理水を巡っては、国際原子力機関(IAEA)が1月30日、海洋放出後初となる報告書を発表。「関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった」と評価している。
調査には海洋放出に反対する中国やロシア出身の専門家も参加しており、処理水に関する装置や設備が「日本の計画や国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した」などとした。
なお、処理水の海洋放出は2023年8月から始まっているが、これまでのモニタリング調査(環境中の放射性物質の状況確認)で異常は確認されていない。
Source: HuffPost