2023
11.15

マリメッコは気候変動にどう立ち向かうのか?ベンチャー企業と生み出す、フィンランド発のイノベーションとは

国際ニュースまとめ

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フィンランドから生まれた世界的なファッションブランド「マリメッコ」。

流行に左右されず、タイムレスなデザインを追求し続けるマリメッコだが、世界第2位の環境汚染産業であるファッション業界に身をおいているのも事実だ。

布を染める際に水を大量に使う問題や、大量生産・大量廃棄の問題、気候変動にマリメッコはどう向き合っているのか。

イノベーションの拠点になっている、工場が併設されたマリメッコのフィンランド本社を取材した。

マリメッコ社内の様子マリメッコ社内の様子

世界的に最も有望なソリューションがフィンランドから生まれている

マリメッコのイノベーション部門を率いるスヴィ=エリナ・エンクヴィストさんは、水使用量と気候への影響を削減するため、「特に影響の大きい繊維素材に焦点を当て、循環型のソリューションや既存の素材のイノベーションを試験的に行っている」と説明した。

「私たちは、素材の革新こそが気候変動に対する真の解決策を提供できると考えています。そして、世界的に最も有望なソリューションのいくつかは、実はフィンランドから生まれているんです」(エンクヴィストさん)

実際にマリメッコは、フィンランド発のベンチャー企業などと手を組み、挑戦的な試行錯誤を行なっている。「私たちだけで気候変動を解決できるとは思っていません」とエンクヴィストさんは言う。

例えばオリジンバイオーシャン社とは、海藻から合成化合物を抽出し、染料の粘度を上げることで水の汚染を防ぐ取り組みを試行しているという。

またナチュラルインディゴフィンランド社は廃棄された玉ねぎの皮などから天然の染料を生み出している。すでにマリメッコで同社の染料を使った商品を販売しており、今後も継続していくそうだ。

マリメッコのイノベーション部門を率いるスヴィ=エリナ・エンクヴィストさんマリメッコのイノベーション部門を率いるスヴィ=エリナ・エンクヴィストさん

大量生産、大量消費、大量破棄のファッション業界を持続可能にするためには、服をなるべく長く着ることも重要だ。

マリメッコはフィンランド国内限定ではあるものの、公式でヴィンテージを売るプラットフォームを作っている。何年のモデルか、デザイナーは誰かなど商品に関する情報提供を積極的に行うことで、ユーザーは情報を入力する手間を省くことができるという。

「マリメッコにとってもこのプラットフォームによって過去の商品の売れ行きの動向が分かり、次の商品開発に活かすことができています」(エンクヴィストさん)

循環型経済の鍵となる技術

スピンノヴァ社もまた、マリメッコとともにファッション業界の循環型経済の実現を目指すベンチャー企業の一つだ。同社の革新的な技術は、セルロースが含まれているものからならなんでも、繊維として生まれ変わらせることができるという。

同社のヤルッコ・アールストラムさんは「スピンノヴァの技術は、蜘蛛が糸を紡ぐ仕組みをヒントに開発した」と説明した。

スピンノヴァのヤルッコ・アールストラムさんスピンノヴァのヤルッコ・アールストラムさん

例えば、これまで紙のパルプから服を作るための繊維は作れなかったが、スピンノヴァの技術があれば可能になるという。実際に同社の工場では、燃やされるはずだった木材のチップから服になる繊維を生産している。林業が盛んなフィンランドのポテンシャルも活かすことができそうだ。

他にも、通常はリサイクルされた衣服を再び繊維にしようとすると、繊維が短くなりすぎて使えなくるが、同社の技術なら100%リサイクルの服も再び繊維として衣服を作れるそうだ。

「スピンノヴァの技術を使えば、新しい原料を使うのではなく、可能な限りリサイクルして活用することができます。循環型経済において、この技術は重要な鍵を握ると考えています」(アールストラムさん)

スピンノヴァの繊維ができるまでのサンプルたちスピンノヴァの繊維ができるまでのサンプルたち

もう一つ特徴的なのは、素材から繊維を生み出す際に有害な科学物質は一切使わず、廃棄物が出ない点だ。工場から出るのは水蒸気だけだという。

「水蒸気の熱は地域暖房に活用しています。伝統的なコットン繊維の製造に比べて、CO2排出量を74%減らすことができます」(アールストラムさん)

そんなスピンノヴァ 繊維を一部使用した初の市販プリント製品が、マリメッコから2022年に発売された。売れ行きは好調で、顧客からの反応もいいと言う。

「マリメッコはスピンノヴァの技術が商業化する前の2017年から、一緒に挑戦的な商品開発に取り組んでくれました。今後はこの技術を世界で活用したいと考えていて、日本のいくつかの会社とも話を進めています」(アールストラムさん)

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Source: HuffPost