2023
11.10

<維新とカネ>藤田幹事長を刑事告発 「文通費」を選挙に不正使用疑惑 「裏金作りの疑いもある」と専門家 

国際ニュースまとめ

◆政治資金収支報告書に不記載

日本維新の会の藤田文武幹事長が政治団体「藤田文武後援会」(以下、「後援会」)に文書通信交通滞在費(以下、「文通費」)を寄付したにも関わらず、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載していなかった問題で、政治資金規正法違反の疑いで10月に刑事告発されていたことが分かった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

刑事告発をしたのは、上脇博之神戸学院大学教授。

告発状によると、藤田幹事長は2021年3月18日に「文通費」(現在は「調査研究広報滞在費」)60万円を自分の「後援会」に寄付をした。しかし、「後援会」の収支報告書にはその記載がされていなかったのだ。

刑事告発された藤田文武衆院議員。大阪12区(寝屋川市、大東市、四條畷市)選出。本人の公式ツイッターより。

◆「藤田後援会」の代表も会計責任者も藤田議員本人だった

9月14日付の文春オンラインがこの問題を報道した後、藤田幹事長は、3月18日60万円の寄付があり繰越金が60万円増えたと、慌てて訂正した。藤田幹事長は文春オンラインの取材に対して「事務的なミスにより収支報告への記載が漏れ落ちていたことを確認しました」と回答した。

まるで、事務方の職員がミスをしたような言い方だ。しかしそれはありえないだろう。なぜなら、「藤田文武後援会」の代表は藤田幹事長自身が務めており、なんと会計担当者まで藤田幹事長自身だったのだ。つまり、藤田幹事長自身が会計事務を行っているということだ。

告発状でも「後援会」が事務的ミスなどするはずがないと指摘している。代表と会計責任者が別々ならば、事務的ミスが起きる可能性もあるが、寄付をしたのは藤田幹事長自身であり、寄付を受け取ったのも藤田幹事長自身ということであるから、間違いようがないはずだというのだ。

また、藤田幹事長自身が事務を行っている以上、収支報告書を提出する前に藤田幹事長自身が必ず通帳と収支報告書の残高をチェックするはずであり、その時点で60万円ものずれがあれば気づくはずだと、告発状は指摘している。

2021年の「藤田文武後援会」収支報告書。藤田議員本人が代表責任者と会計責任者であることが記されている。「本人が本人に寄付し、会計まで処理」することが常態化している。

◆「『文通費』を政治資金に使うのは違法だ」と専門家

告発した上脇博之神戸学院大学教授は次のように解説した。

「そもそも『文通費』は、国会における公的活動のために議員に交付されてきた公金なので、政治活動への支出が禁止されていました。にもかかわらず、日本維新の会は『文通費』を政治資金に使えると虚偽ともいえる説明をして、所属議員が自己の政党支部や資金管理団体に寄付することを許容しました。私は公金を違法に私物化して身を肥やしてきたと見ています」

上脇教授は、現在、日本の維新の会はいわゆるセルフ領収書は禁止したものの、過去には公的活動以外に使用することを放置していたと指摘。さらに藤田幹事長が訂正した収支報告書にも疑義を呈した。

◆「文通費」を選挙資金に? あるいは裏金に?

「藤田幹事長も、その一人です。文通費30万円を同じ日に2回後援会に違法に寄付していました。金融機関の口座に振り込んだと説明していますが、そうであれば、口座に記録が残るので、不記載のミスをするはずがありません。2021年には衆議院総選挙があったので、そこで使ったから収支報告書に記載しなかったのではないでしょうか。

藤田幹事長の総選挙の時の『選挙運動費用収支報告書第1回分』は、府選管提出後に8万円の『自己資金』収入があったと訂正されていましたので、8万円は60万円の一部であり、52万円は総選挙の裏金として支出したのではないかとの疑念が生じます。そうでなければ、60万円を2022年以降に使うために裏金として隠し持っていたことになり、翌年への繰越額を60万円少なく虚偽記入したことになります」

要するに、「文通費」から政治資金として使ったのではなく、選挙運動資金として使っていたのではないかということだ。

藤田幹事長が所属する日本維新の会は、「文通費」改革を主張している。しかしながら、「文通費」の日割りについては法改正がなされたが、残金を国庫に返金する必要がないことや使途の公開が義務付けられていないなど、抜け道だらけのままだ。

藤田幹事長は日本維新の会の国会議員の中では、馬場信幸代表に次ぐナンバー2だ。説明責任が求められるだけでなく、旧「文通費」に関する諸課題の改革を早期に実現することが求められている。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

Source: アジアプレス・ネットワーク