2023
11.06
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勤務間インターバル、自治体初の女性再就職応援宣言…東京・東大和市が「本気」で始める働き方改革とは
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東京都東大和市は11月6日、終業から次の勤務まで一定時間の休息をとる「勤務間インターバル制度」を導入すると発表した。
また、育児や介護などを理由に離職した女性の再就職を支援する「女性の再就職応援宣言」の表明も同時に行った。
女性の再就職応援宣言は全国の自治体で初めて。
東大和市は「自治体として働き方改革に本気で臨んでいるという姿を発信し、市内の事業者にも広めていきたい」としている。
勤務間インターバル制度とは?
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間の休息を設けることで、従業員の睡眠や生活時間を確保しようとするもの。
労働力人口が減少する中で人材の確保や定着を促し、離職者の減少にも繋がると考えられている。また、働き手の生産性の向上のほか、健康維持も期待され、日本では2019年4月から導入が事業主の努力義務となっている。
一方、厚生労働省の「就労条件総合調査の概況(2023年)」によると、勤務間インターバル制度を導入している企業は6.0%で、25年までに導入率15%以上という目標には程遠い。
導入予定はなく、検討もしていないと回答した企業は8割超に上るが、EU(欧州連合)には「全ての労働者に対し、24時間ごとに最低でも11時間のインターバル時間を確保するために必要な措置を設けること」という労働指令がある。
東大和市では今回、EUの労働指令と同様に、勤務と終業と始業の間に11時間以上の休息を確保するという。
記者会見した和地仁美・東大和市長 (オンライン画面をスクリーンショット)
女性の再就職応援宣言
次は、女性の再就職応援宣言についてだ。
同宣言は、コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」が賛同を募っているもので、女性の再就職支援に繋がっていくことが期待されている。
日本では、結婚や出産、介護、パートナーの長時間労働・転勤、待機児童などの理由で、本人にやる気があっても就業継続を諦める女性は多い。
実際、厚労省の「雇用動向調査」で22年中の離職率を理由別に見たところ、結婚や出産、育児など「個人的理由」で離職した女性は13.4%で、男性(8.9%)と4.5ポイントの差があった。
世界経済フォーラムが公表している「ジェンダーギャップ指数」でも、日本は146カ国中125位となっている。
東大和市では、育児や介護などで就業していない期間があったとしても、社会に貢献したいと考えている意欲の高い女性を採用していく考えで、これまで30歳程度としていた正規職員の採用を40歳程度まで引き上げるという。
東大和市がモデルケースに
11月6日に行われた記者会見で、東大和市の和地仁美市長は「未来に繋げる市政を実現するためには人材が大切。勤務間インターバル制度で、市職員の健康維持や生産性・クリエイティビティの向上に繋げていきたい」と語った。
また、「結婚や出産、子育て、介護で仕事を辞めるのは女性が多い現状を踏まえ、まずは女性の再就職を応援していく。採用年齢を引き上げ、新たな考えや価値観を取り込み、組織を活性化していきたい」と述べた。
ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長も会見に出席し、「長時間労働の仕組みを変えないまま『女性の活躍』を推進してきたことで、家庭や職場など様々なところで問題が発生してきた」と指摘。
その上で、「勤務間インターバルといった働き方改革と女性の活躍をセットで実現することで、従来から続けてきた方法をもう一度考え直すきっかけにもなる。良い事例として東大和市が注目されることを期待したい」と話した。
東大和市は当面、試験的に勤務間インターバル制度などを運用し、来年度の本格導入を目指していく。
Source: HuffPost