08.24
脳標本の多くを有色人種や先住民族から収集、遺族の同意なし。米博物館が謝罪「白人優位の根拠を補強」
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アメリカを代表する博物館を運営するスミソニアン協会が、収蔵する人間の脳の標本をはじめとする膨大な人体パーツについて、ほとんどが本人や家族の同意なしの収集だったと謝罪した。
アメリカのワシントン・ポストに、同協会のロニー・G・バンチ事務局長が8月20日、「スミソニアン博物館が自身の暗黒の遺産をどう評価するかについて」と題した寄稿をした。
これを受け、CNNや歴史あるアート雑誌ARTnewsなどの現地メディアが報じている。
寄稿のきっかけとなったのは、ワシントン・ポストが14日に配信した「スミソニアン博物館による人種的な脳収集を暴く」という特報記事だ。
この記事の中で、スミソニアン国立自然博物館には現在も3万700個超の人間のミイラや頭蓋骨、歯、その他の人体パーツが収蔵されていると指摘している。墓場や遺体安置所、戦場、病院などから遺体や臓器を持ってきており、収集元の国数は80以上に及ぶという。
収蔵されている人体パーツには、255人分の脳の標本も含まれている。同紙によると、脳標本の多くはブラックルーツや先住民族、有色人種の遺体から取り出したものという。
寄稿の中で、バンチ氏は「人類学者のアレス・ハードリチカがスミソニアンで自然人類学部門のトップを務めた1903年から1941年の間にほぼすべてが収集された」としている。
ハードリチカ氏は、白人が他の人種より優れているという考えの持ち主だった。人種によって体のつくりが違うというまったく誤った説を推し進めるため、人体パーツを集めていたという。
バンチ氏は「ほとんどが亡くなった人やその家族の同意なしの収集で、ハードリチカは白人優位性の科学的根拠を補強しようと、先住民や有色人種の遺体に特に強い関心を持っていた」と説明。「忌まわしく、人間性を奪うことであり、スミソニアンの名の下に行われた。過去に行われたこれらの行動を非難し、行われた時代に関係なく、科学を推進するため倫理に反したハードリチカとその他のスミソニアン関係者によって引き起こされた痛みに対して申し訳なく感じています」と謝罪している。
スミソニアンは収蔵している遺骨や遺品の返却を進めてきている。2023年4月には、人体パーツの扱いについての方針を策定するため、特別委員会を立ち上げた。脳標本や頭蓋骨などの持ち主の子孫やその人たちのコミュニティーと真摯に向き合い、スミソニアン協会として人間の遺体を適切に扱うための方針づくりを推し進めていくという。
Source: HuffPost