08.18
海に沈めてやる、土下座しろ…「カスハラ」の実態調査を公表。客から容姿や学歴でけなされることも
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「『お前ら海に沈めてやる』と電話が続いた」「執拗に土下座を強要された」
暴言や不当な要求といった顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関する調査結果が公表されました。
直近1年でカスハラを受けたことがある担当者は6割超に上るということです。
カスハラとは?厚労省も対策マニュアル作成
調査は、企業の危機管理を支援する「エス・ピー・ネットワーク」(東京)が実施。
企業でクレーム対応を行った経験のある会社員1030人(20〜60歳代の男女)が7月14〜16日、インターネット上で実態調査に答えました。
なお、この調査でのカスハラの定義は、「優越的な関係を背景とした顧客の言動で、業務上または社会通念上相当の範囲を超えて行われ、担当者の就業環境や業務推進を阻害したり、担当者の尊厳を傷つけたりする行為」としています。
例えば、「俺は客だ」や「お客様は神様だろう」、「お金を払っているんだからやって当然」といった、優越的地位の濫用などがあたります。
カスハラは近年、社会問題化しており、厚生労働省も「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作成しています。
直近1年でカスハラを受けた人は6割超
実際調査の結果によると、「直近1年でカスハラを受けたことがある」と回答した担当者は64.5%に上りました。
カスハラを受けた回数では、「1〜5回」が53.1%、「6〜10回」が7.1%などで、「16回以上」も3.1%いました。
カスハラを受けた回数の業種別割合では、「11〜15回受けた」という回答の44.4%を「サービス業」が占めました。
また、「16回以上受けた」でも「サービス業」が33.3%と最も多く、「金融業・保険業」も16.7%でした。
業種別の傾向としては、サービス業の現場で相当数のカスハラが行われていることがわかります。
カスハラ対策の方針がない企業は5割超
次は、 直近1年以内にどのような相手から不当要求やカスハラを受けたかについて聞きました。
性別別では、男性が81.1%、女性が18.9%で、年齢別では、50歳代が40.6%、40歳代が22.3%、60歳代が17.2%と、40〜60歳代が8割を占めました。
では、カスハラは従業員や店舗にどのような影響を与えるのでしょうか。
「メンタル・モチベーションの低下」が49.2%、「本来の仕事への圧迫」が28.3%、「従業員の離職」が20.9%などでした。
一方で、カスハラへの対策やマニュアル策定をしていない企業が多くみられました。
「何も策定していない」が28.2%、「クレーム全般の方針はあるが、カスハラ対策の方針はない」が14.5%、「接客対応の基本方針はあるが、クレーム全般の方針はない」が12.6%と、カスハラ対策の方針がない企業は55.3%に上ります。
「海に沈める」「自分のほうが良い大学だ」
それでは、具体的にはどのようなカスハラがあったのでしょうか。直近1年で実際にあったカスハラは次の通りです。
・長時間居座る。自宅に来る。何度も同じ商品について連絡して拘束する
・大声で怒鳴る。威嚇する
・保証期間が過ぎているにもかかわらず、無償で交換や修理をさせる
・毎日、「お前ら海に沈めてやる」などと電話。見知らぬ人から職場の前で見張られていた
・理不尽な言いがかりで店内で騒ぎ、執拗に土下座を要求。料理もサービスも望んだレベルではないのでお金は払わないと主張する
・「あなたみたいな中年で仕事ができない人は許せない」「顔がふざけてる」「真剣に謝っていない」「自分のほうが良い大学に行っている」「大学に行ってもこんな会社に就職したのか」と、3時間以上言われ続けた
・1年間も自宅での謝罪を要求される
カスハラのマニュアルを策定しよう
調査を実施したエス・ピー・ネットワークは、不当要求やカスハラを受けると本来の業務が回らなくなり、金銭的ロスを生み、従業員の精神に不調をもたらすとしています。
このような事態を防ぐためには、「カスハラの実態を的確に把握し、カスハラ対応を従業員という個人に押し付けるのではなく、会社としてカスハラ対策の方針を決めることが重要だ」と呼びかけました。
Source: HuffPost