07.27
さすがの米保守派もワクチン否定から推奨に転換、その理由は?
<ワクチンの安全性に対する疑惑やバイデン政権への反発などからワクチン接種を拒み続けてきた共和党支持者も、これで態度を変えるか?> このところ、米共和党議員や保守派メディアの司会者がワクチン否定派から転向し、ワクチン接種を呼びかけるケースが目立っている。ジョー・バイデン大統領の首席医療顧問として新型コロナウイルス感染症対策にあたるアンソニー・ファウチ博士はこの傾向を歓迎する。 7月25日にCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」に出演したファウチは、共和党の政治家の一部がワクチン接種の呼びかけるようになったことを喜んでいると語った。具体的には、フロリダ州のロン・デサンティス知事、アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン知事、ルイジアナ州のスティーブ・スカリス下院議員らの名を挙げた。 ファウチは、番組の司会を務めるジェイク・タッパーに対し、ルイジアナ州下院議員でドナルド・トランプ前大統領の盟友である「スティーブ・スカリスのような政治家が、公の場で『われわれはワクチンを接種する必要がある』と発言していると聞き、とても勇気づけられた」と語った。スカリスは何カ月もワクチン接種を引き延ばしていたが、最近第1回目を接種した。同じく保守派のフロリダ州のデサンティス知事も今では同じことを言っている。「接種を受けていない人たちに対して影響力のある人々が、もっと表に出てワクチン接種を促し、コミュニティの信頼できるメッセンジャーとなる必要がある」と、ファウチは言う。 死者の99%はワクチン未接種者 共和党保守派の方針転換の背景は、新型コロナ感染者が最近、全米で急増していることがある。専門家は感染急増の原因として、米国のワクチン接種スピードの停滞、とりわけ保守派のあいだでの接種の遅れと、デルタ株など感染力の強い変異株の出現を指摘している。ファウチも、6月に新型コロナで死亡した人の99%はワクチン未接種者だったと発言していた。 感染者の急増を受けて、ワクチン接種済みの人にもマスク着用を再度義務づけるか否かについて、米疾病予防管理センター(CDC)と活発な議論をおこなっている、とファウチは言った。また、CDCの現行ガイドラインには柔軟性があり、地方自治体が感染者増加に対応して独自にマスク着用を義務づけることができる、とも語った。 「(地方当局には)そうした権限や裁量があることを、CDCは同意している」とファウチは語った。「感染の勢いが著しい場合は、ワクチン接種済みであったとしてもマスクを着用するべきだ。それは各地域で決めることでだ」 一部の州では、医療従事者などにワクチン接種を義務化する動きも出てきている。 ===== 一部の政治家やパーソナリティによる、こうした最近の方針転換に対しては、身内から反発が出ていないわけではない。とりわけ、右派のいくつかのグループからの風当たりは強い。ドナルド・トランプ前大統領の国家安全保障担当補佐官を務めたマイケル・フリンは、デサンティスやFOXニュースの司会者ショーン・ハニティーのワクチン支持について、「ポリティカルコレクトネス(PC、政治的な適切さ)」への降伏と批判した。 フリンはあるテレビ番組に出演した際に、「健康をめぐる選択は、PCに邪魔されてはいけない」と語った。「デサンティスやショーン・ハニティーのような人たちに言いたいのは、自分の頭で考えて決断を下せということだ。彼らの決断が、PCに影響を受けたものであるなら、それは危険なことだ。彼らはこの国で影響力を持つ人たちなのだ」 (翻訳:ガリレオ)
Source:Newsweek
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