07.08
「採用選考が多言語対応」「差別禁止の明記」も。外国人労働者の働きやすさを評価する“指標”が誕生、あなたの会社は当てはまる?
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難民の就職活動などを支援している認定NPO法人Living in Peace(LIP、東京都)は7月までに、企業の職場環境などを外国にルーツを持つ労働者にとっての働きやすさや不利益の有無の観点から確認し、評価するための指標を発表した。
LIPは「さまざまな⾔語、⽂化的背景を持つ⼈々が働きやすく、持てる能⼒を最⼤限に発揮し、多様性を活かした企業や社会にしていくために、現状の課題などを深く考えるきっかけにしてほしい」とコメントしている。
指標は「カルチュアル・ダイバーシティ・インデックス」(文化的多様性の指標)と名付けた。東京大学の研究者などとともに開発した。
外国籍の人材だけでなく、外国出身の人や、その子どもも含めた外国ルーツの労働者が働きやすい環境かどうかを基準とした。
「⾏動宣⾔」「採⽤」「職務環境」「社内醸成・組織⾵⼟」といった7つのカテゴリーからなる。全部で42項目のチェックリストがある。項目ごとに「べーシック」(基礎)か「アドバンス」(発展)にレベル分けされている。
例えば、「行動宣言」のカテゴリーでは、「⾔語や⽂化的背景によらずすべての社員が働きやすい環境を作り出すために、企業が組織としての姿勢や考え⽅を明確に⽰すこと」を重視。
▽文化的多様性(民族、人種、肌の色、文化・慣習、言語等)の行動方針を明文化し、社内外に広く公開している▽社員の行動規範等で、社内外問わず文化的多様性が含められており、あらゆる人々が差別されないことを明記している――といった項目をつくった。
「採用」をめぐっては、応募段階や選考基準などに関わる14項目を設けた。▽外国ルーツの人材採用について採用ポリシーを公開している▽応募書類が多言語に対応している▽選考プロセスが多言語に対応している▽国籍や氏名、宗教等を理由に不採用にすることが禁じられており、明文化している――といった具体的な対策の必要性を明記した。
「職務環境」に関しては、「評価におけるバイアス防⽌策、⾔語や⽂化による不利益を是正する取り組みなどが必要」と指摘。
▽外国ルーツの管理職がいる▽外国ルーツの社員の評価を行う場合、評価会議に外国ルーツのオブザーバーを同席させるなど多様性を担保している▽外国ルーツも含め社員同士が相互に文化・慣習の理解を促進する仕組みがある――といった、育成や評価などに関わる11項目をつくった。
「組織文化・風土醸成」のカテゴリーでは、▽文化的背景や言語にかかわらず、ハラスメントなどを匿名で通報できる相談窓口がある▽全社員に、文化的多様性のアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)についての研修を実施している――といった項目を掲げた。
LIPは「差別やハラスメントを防⽌できるよう、社員全員に対して、多⽂化共⽣などの意識醸成に企業として取り組むことが重要」としている。
今後、指標を踏まえて一定の基準を満たした企業を独自に認証する仕組みを整えていく方針だ。
LIPは日本で暮らす難民の就労などをサポートするための資金を集めるクラウドファンディングを7月30日まで実施している。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉
Source: HuffPost