05.28
更年期「自分にも関係のある問題」フェムテックに関する福利厚生制度の意識調査で明らかに
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「フェムテック(※)」という言葉を知っていますか?
10〜70代3349人に聞いたところ、「知っている」と答えた人は全体の約3割、「聞いたことがある」と答えた人を合わせると約6割が「フェムテック」を認知していることがわかりました。
さらに、生理休暇やナプキン無料配布といった福利厚生を導入する企業が増えつつあることから、「フェムテックに関する福利厚生制度」についても調査。「更年期障害に関する福利厚生制度を充実させてほしい」と考える人は約7割で、とくに治療費補助には大きな期待が寄せられています。
※フェムテック…「Female(女性)」と「Technology(技術)」を組み合わせた言葉で、女性が抱える様々な悩みをテクノロジーによって解決する商品やサービスのこと。
更年期「自分にも関係のある問題」
宝島社のフェムテック・フェムケア啓発プロジェクト「もっと話そう! Hello Femtech(ハローフェムテック)」が「フェムテックに関する意識調査」を実施し、結果を公表しました。
10~70代の3349人(女性3054人、男性289人、その他6人)を対象とした今回の調査では、「あなたが企業または団体で働く場合、フェムテックに関する福利厚生制度を充実させてほしいと思いますか?」という質問に対して、93.2%が「はい」と回答。
一方で「フェムテックに関する福利厚生制度はあなたの働く企業または団体で導入されていますか?」という質問に「はい」と答えた人は、18.2%にとどまりました。
「フェムテックに関する福利厚生で充実してほしいジャンル」は、「更年期障害(67.8%)」が最も多く、「月経関連(64.1%)」「メンタルヘルス(60.5%)」を上回る結果となりました。働く女性に、今まさに更年期を迎えている人が多いことや、当事者以外も「自分にも関係のある問題」と捉えていることがうかがえます。
ポイントは「治療費補助」と「相談」
「フェムテックに関する福利厚生について具体的に望む制度」としては、「更年期障害治療費補助」が55.7%でトップに。更年期障害の治療は継続して行うことも多いため、治療費が負担になったり、治療を受けたくても、経済的な理由から受けられない人がいたりすることが背景にあるようです。
また、「更年期障害相談(49.1%)」を希望する人の多さも目立ちます。日本では更年期について学ぶ機会がほとんどないため、よく知らない、どう対処したらいいかわからないという人は少なくありません。いざ自分が更年期特有の症状に直面しても、さまざまな理由から受診をためらったり、気軽に通える病院を見つけられなかったりするようです。
症状によって仕事に影響が出ていても、体についての話題を上司や同僚と共有することへの躊躇などから、不調を打ち明けられない人もいます。そうした人々にとって、更年期の悩みについて相談できる制度は心強い存在になりそうです。
周知・環境整備・有給休暇化で浸透を
「フェムテックに関する福利厚生を充実させるメリット」への回答として最も多かったのは、「欠勤・休業・離職のリスクの軽減(70.1%)」です。また「体力や健康の増進により活力が高まる(53.6%)」「労働への意欲が高まり生産性が向上する(53.0%)」など、従業員のパフォーマンスの向上につながるという回答も多い結果となりました。
女性の欠勤・休業・離職やパフォーマンスの低下を招く要因は様々ですが、働く女性およそ3000万人のうち約4分の1は45~54歳(「厚生労働省 令和3年の働く女性の状況 修正」より)のため、更年期の悩みを抱える層が非常に多いことが推測されます。
「更年期と仕事に関する調査2021」によると、40代50代女性の約9.4%が更年期症状・更年期障害を理由に退職していることがわかっています。更年期世代に向けた福利厚生制度を充実させれば、企業にとってもメリットは少なくないはずです。
しかし一方で、今回の調査では「フェムテックに関する福利厚生を利用したことがない」人が多いことも明らかになりました。理由の一部を抜粋します。
・制度があるのかどうかがわからない、知らない
・自分から調べないと、利用できる福利厚生がわからない
・まわりの目が気になる、上司の理解がない
・できるだけ迷惑をかけたくない、困っていることを知られたくない
・男性社員が多く使いにくい、相談しにくい
・取りづらいイメージがある。取っている人を見たことがなく、報告する上司も男性なので言いづらい
・無給なので、体調が悪いなら有給休暇を使う
主に「制度の存在が周知されていない」「取得しやすい環境が整備されていない」「休暇が無給休暇である」の3点がハードルになっていることがわかります。
企業や団体はフェムテックに関する福利厚生制度を充実させたうえで、組織内に浸透させるための取り組みに積極的になる必要があるでしょう。
Source: HuffPost