2021
07.16

金魚を湖に放さないで!巨大金魚繁殖でミネソタ州の市が住民に訴え

国際ニュースまとめ

<米ミネソタ州にあるバーンズビル市が、「飼っている金魚を池や湖に放さないでください!」とツイートし話題に。増殖して生態系を乱した金魚の話は、各地でこれまでに繰り返し報じられている> 湖で30センチ超の金魚28匹を捕獲 米ミネソタ州にあるバーンズビル市は7月9日、「飼っている金魚を池や湖に放さないでください!」と、巨大な金魚の写真と共にツイッターに投稿し、話題になっている。同市当局が、市内にあるケラー湖で調査を行ったところ、巨大金魚が28匹捕獲されたという。最大のもので全長38センチ、重さ2キロ弱と、フットボール大のものもあった。市当局は、金魚は「皆さんが思っているより大きくなるうえ、水質汚染につながります」と訴えている。 Please don't release your pet goldfish into ponds and lakes! They grow bigger than you think and contribute to poor water quality by mucking up the bottom sediments and uprooting plants. Groups of these large goldfish were recently found in Keller Lake. pic.twitter.com/Zmya2Ql1E2— City of Burnsville (@BurnsvilleMN) July 9, 2021 金魚は、フナを原種とする中国原産の観賞用の淡水魚で、もともと米国には生息していない。ところがバーンズビル市当局には、ケラー湖に金魚の群れがいるとの情報が住民から寄せられていたという。ケラー湖は、バーンズビル市の南東に位置しており、湖の東岸は隣接するアップル・バレー市に面している。 そこでバーンズビル市は、アップル・バレー市や、コイの駆除を行うミネソタの企業カープ・ソリューションズと協力し、金魚などケラー湖に生息する魚について、実態調査を行うことにした。 米CNNによると、1回目の調査で10匹、2回目の調査では18匹の金魚を捕獲した。どれも全長30センチ以上ある大きなもので、カープ・ソリューションズのオーナーであるプシェメック・バイエル氏はCNNに対し、この大きさに達するまでに、金魚はここに何年も生息していたはずだと話した。 「金魚汚染」に悩む世界各地の川や湖 ミネソタ州自然資源局によると、同州で金魚は侵入生物種として規制されている。売買や飼育は出来るが、公共の場所に放すのは違法行為となる。しかしペットとして飼っていたであろう金魚が放されて、ケラー湖でこのような事態になったと考えられている。 増殖したり巨大化したりして生態系を乱している金魚の話は、各地でこれまでに繰り返し報じられている。 今回のケラー湖がある同じミネソタ州で、地元ニュースサイト「ブリング・ミー・ザ・ニュース」が昨年11月に報じた話によると、カーバー郡にあるビッグ・ウッズ湖の入り江で昨年10月下旬、3万~5万匹の金魚が駆除された。 ===== また2017年には、米農務省が「巨大な金魚、タホ湖の巨大な問題に」との見出しで、タホ湖に生息する巨大な金魚などの外来種が、生態系を壊している問題を伝えていた。 米国のみならず、オーストラリアやカナダでもこれまで、巨大化したり増えたりした金魚の問題が話題になっており、当局は住民に対して、金魚を川や湖などに放さないよう訴えてきた。 金魚のイメージと実態のギャップが原因 中でも、巨大金魚が川の全域に住み着いてしまったというオーストラリアのバッセ川は、「世界最速の金魚の増殖率」と言われるほどだ。2016年にバッセ川の問題を報じていた米ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、もともとは20年ほど前、不要となったペットの金魚わずか数匹を小川に流した人がいたことが原因とみられている。その金魚が大きくなり、川を下り、増殖し続けたのだ。 同川を調査したマードック大学のスティーブン・ビーティ―博士は当時NYTに対し、金魚被害の原因は、人々が金魚に持つ「小さくてかわいい」というイメージと、実際の生態にギャップがあるからだと説明していた。 金魚被害の問題が取り上げられるたびに、金魚が在来種の卵や魚を食べてしまう点や、水底の堆積物をかき乱して水を汚染させること、金魚のフンが藻の繁殖を促し透明度の高い水を緑にしてしまうこと、菌やウイルスをもたらすことなど、生態系への悪影響が指摘されている。金魚を自然環境に放すと「害魚」になる、と表現する報道も少なくない。しかし状況は一向に改善していないようだ。 今回のケラー湖での調査を受けてバーンズビル市は、飼えなくなった金魚は湖や池に放さずに、友達や近所の人にあげるなどするよう訴えている。また米・魚類野生生物局は、金魚をペットショップや学校などに寄付する方法もあると提案している。 ===== Monster’ Goldfish the Size of Footballs Are Invading Lakes

Source:Newsweek
金魚を湖に放さないで!巨大金魚繁殖でミネソタ州の市が住民に訴え