04.21
<北朝鮮内部>「農作業に国家総動員せよ」 異例の早期スタート 農村動員の実態を内部の人に聞いてみた
◆労働者を「農村突撃隊」に組織
4月17日から、北朝鮮で都市労働者の「農村動員」が本格的に始まった。当局は働ける者を総動員せよと要求しているという。咸鏡北道(ハムギョンプクド)の取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン)
農村動員は現地で「農村支援戦闘」と呼ばれ、春と秋の年2回行われる。都市から朝に農場に出向いて夕方に帰宅する「通い型」と、農村で寝泊まりして作業する「合宿型」があるが、今春は例年と違い、企業や工場で「農村突撃隊」を選抜・組織して、指定された農場で通年作業させる方針だという。家庭の主婦や学生などの本格動員は、間もなく始まる模様だ。以下は取材協力者のA氏との一問一答。
――都市労働者の農村動員が本格化したそうですね。
A 今日(4月17日)から、企業別の農村動員が始まりました。まず企業の(従業員の)3分の1程度が「農村突撃隊」として近隣の農場に出向くのですが、今すぐやるべき仕事はさほどなく、畑の石拾い、すき起こし、腐食土撒き、溝堀りなどの準備作業をしています。堆肥入れの前にすべての段取りを済ませよとのことです。
――今年は動員が早い。その理由は?
A 例年は、田植えの季節に本格動員が始まりますが、今年は何があっても食糧を増産しなければならないとして、全民総動員が叫ばれています。軍部隊からも農村に常駐させて農作業だけをさせる人員を送るということです。
◆農場では動員者の盗みを警戒
――「新しい農地探し」が厳しく命じられているそうですね。
A どの程度かというと、以前は畑で拾い集めた石は畑の脇に積んでおきましたが、その空間にトウモロコシの1株でも植えろというのが原則です。石を別の場所に運ばせています。
――派遣される労働者はどんな働き方をしていますか?
A 職場から送られる「農村突撃隊」の責任者たちに対して、秋(の収穫)まで責任を負うようにさせています。週ごとに農村動員計画表を該当農場と協議して策定します。作業課題(ノルマ)を設定し、その結果を報告する体系まで作りました。動員される労働者たちは、まるで農場員のように働かされます。
――受け入れる農場はどうですか?
A 動員されて来る人員に漏れがないよう、農場で人員管理を徹底しています。また農場から種子や農作物が盗まれたり、農場員たちに被害が出たりしないよう管理せよと指示されています。今のところ、農場員たちは、動員されて来る労働者を監督する仕事ばかりしていますね。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
Source: アジアプレス・ネットワーク