02.19
「買うべきではないもの」を紹介する新トレンド「デ・インフルエンシング」がなぜ今人気なのか
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目まぐるしく移り変わるTikTokの流行に、また新たなトレンドが誕生した。
インフルエンシング(影響)を否定する、という意味の「デ・インフルエンシング(de-influencing」だ。
インフルエンサーたちはこれまで、ネット上で商品を誇大に宣伝してきた。「デインフルエンシング」はその逆で、お金を無駄にしないために「買うべきではないもの」を伝えることだ。
この言葉は2023年初めに登場し、今や#deinfluencingのタグは1億7000万回以上視聴されている。インフルエンサーたちは今、こぞって「買うべきではない」製品を暴露するために競い合っているのだ。
「健康、美容、ヘア製品に何千ドルも費やすけど、節約も好きな私が買わないようお勧めする商品はこちらです…」とTikTokerのアリッサ・クロメリスさんが紹介するTikTok動画は、これまでにすでに約550万回視聴されている。
@alyssastephanie I love deinfluencing ❤️ #deinfluencing#deinfluencergang#cultproduct
こうしたトレンドのきっかけは、美容インフルエンサーのミケイラ・ノゲイラさんの「マスカラゲート事件」にある。彼女があるマスカラ製品のレビューを投稿した際、つけまつ毛を着用していたと一部から非難を受けたのだ。
この「事件」は、インフルエンサー文化や彼らが投稿する商品レビューの信憑性に光を当てた。
インフルエンサー文化を批判する人々は、ブランドとの契約や無料商品のためなら、コンテンツクリエーターは喜んで嘘でも肯定的な商品レビューを掲載する、と非難する。
アメリカやイギリスだけでなく日本でも生活費が高騰している今、マーケティング業界は「リセッション・コア・インフルエンス(不景気な社会での影響力)」の時代に突入している、と専門家は論じている。
理論的には、これも単なるソーシャルメディアトレンドの1つに過ぎない。しかし消費者はもちろん、インフルエンサーさえもがソーシャルメディアの現状をどう感じているのかを反映している。
インフルエンサー・マーケティングのプラットフォームRoom Unlockedの調査によると、イギリス国民の60%が、生活費危機の中、ソーシャルメディア上で様々な商品を見せびらかすインフルエンサーを不快に感じているという。
また、64%が商業的な利益を追い求め信頼性に欠けるインフルエンサーに失望しているということも明らかになった。
ソーシャルメディアがある限り、インフルエンサーは存在し続けるだろう。しかし今、人々はフォローするインフルエンサーを意図的に選ぶようになってきている。
カナダに住む20歳の学生、ミシェル・スキデルスキーさんは、人々が自分たちの過剰消費に気付き、その削減方法を求めていることを示しているとして、「デインフルエンシング」のトレンドを気に入っている。
「ソーシャルメディア広告全般は、『買い物でより良い生活を手に入れられる』と人々に思い込ませることがあり、それは危険な考え方です」
スキデルスキーさんは、「デインフルエンシング」の最も優れた点は、インフルエンサーの生活がいかに「リアル」からかけ離れているかを人々が認識できることだと言う。モーニングルーティンやお出かけ準備(GRWM)動画は簡単そうで手に届きそうに見えるが、実際はプロダクトプレイスメント(広告商品をコンテンツにさりげなく登場させること)で溢れている。
「インフルエンサーは多くの商品を無料でもらえますが、視聴者は苦労して得たお金を必要もない商品に費やしています。同じ商品を買うことで彼らのようなライフスタイルを得られると思い込んでいるから。でもそれは信じられないほど非現実的なこと。デインフルエンシングの流れがそれを認識し、『どれもリアルじゃない。自分の経済状況の為に、今ある生活を受け入れよう』と伝えていることが嬉しいです」と述べた。
オンラインブランドのリサーチ・レビュー企業Thingtestingでコンテンツ責任者を務める、ニューヨーク出身のナタリー・スポーテリさんは、この流行はインフルエンサー広告に長年接してきた私たちにとって、必然的な反応だと話す。
「これらの商品に価値があるかどうかを判断するには、実際に使用した人たちが正直な感想を述べることが最も有効です。このトレンドは、購入を決定する為に必要な情報を、消費者が集まり感想を交換することで得られる新鮮な機会だと思います」
「今の買い物客は、その商品に買う価値が本当にあるのか、それともマーケティングに乗せられているだけなのかを嗅ぎ分ける能力が長けてきています。このトレンドによって、購入前に一度立ち止まって調べたり、レビューを読んだりするようになることを願っています」
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集・加筆しました。
Source: HuffPost