01.11
グウェン・ステファニーが「私は日本人」と主張。原宿を巡る文化盗用を否定する
歌手でバンド「ノー・ダウト」のボーカルであるグウェン・ステファニーが、雑誌「Allure(アルーア)」とのインタビューで「私は日本人だ」と発言し、波紋が広がっている。
この発言は、自身に対する文化の盗用批判を否定する中で飛び出した主張だったが、インタビューしたアジア系のエディターは、問題があると指摘している。
原宿大好き…しかし文化の盗用の指摘も
ステファニーは日本文化、特に原宿が大好きなことで知られ、その愛を様々な形で表現してきた。
2004年に発売された初のソロアルバム『ラヴ・エンジェル・ミュージック・ベイビー』では、日本人や日系アメリカ人の4人組『原宿ガールズ』をバックダンサーに起用。
原宿ガールズはステージ以外でもステファニーに同行したが、 TIMEによると公の場では日本語のみを話すよう契約で義務付けられたほか、4人はアルバムのタイトルにあわせて「ラブ」「エンジェル」「ミュージック」「ベイビー」と名前を変えられた。
さらにステファニーは2008年、原宿のカルチャーから着想を得た香水「原宿ラバーズ」を発売。5種類ある香水は、ステファニーと原宿ガールズをイメージしたアニメキャラクターのボトルで売り出された。
原宿愛の深いステファニーだが、近年はこういった行為が「文化の盗用」にあたるとも指摘されている。
Allureのインタビューでこの問題について聞かれたステファニーは、18年間ヤマハで働き、カリフォルニアと日本を頻繁に行き来していた父親から、日本の話を聞いたと振り返った。
「それが私の日本の影響でした。豊かな伝統がありながら、アートやディテール、規律にこだわる未来的な文化に、私は魅了されました」
大人になって実際に日本を旅して、さらに原宿に夢中になったという。
「『信じられない!私は日本人で、それを知らなかっただけだ』と思いました」「そうです、私は日本人なんです」
さらに、ステファニーは自分を日本文化の「スーパーファン」と表現し、「私が美しいもの好きで、それを共有することを人々が批判するなら、間違っていると思います」と述べた。
「クリエイティビティが輝く美しい時代だったと思います……原宿文化とアメリカ文化の間で、ピンポンをしている時代でした」
「他の文化に刺激を受けるのは問題ないはずです。それが許されていなければ、人々を分断することになりますよね?」
インタビューしたAllureシニアエディターでフィリピン系アメリカ人のジェサ・マリー・カラオールは、ステファニーの発言に戸惑い、疑問を抱かざるを得なかったという。
「ステファニーはインタビューで、自分が日本人であると2度主張しました。そのうち1度は『オレンジ郡の女の子が少しで、日本の女の子が少し、イギリスの女の子が少しだ』と説明しました」とつづっている。
こういった発言について、インタビュー翌日にステファニーの担当者からカラオールに連絡があったという。「ステファニーが伝えようとしたことを私が誤解していたと指摘されました。 Allureは、記事のコメントや発言の明確な意味の説明をステファニーのチームに求めましたが、声明やフォローアップインタビューは拒否されました」と説明している。
ステファニーは、日本文化だけでなく、自身が育ったカリフォルニア州アナハイムのヒスパニックやラテンアメリカの文化にも帰属意識を感じていると述べている。
「音楽や、女の子たちのメイクの仕方や服が、私のアイデンティティでした」「たとえ私がイタリア系アメリカ人、もしくはアイルランド人やその他であったとしても、それが私なんです。なぜって彼らが私の仲間だったからです」
アジア系として違和感を訴える
カラオールは、ステファニーの「私は日本人」という発言や文化の盗用否定について、「悪意はなかったと思う」と述べつつ、問題があるという見解を示している。
記事では「白人は日本やメキシコ、エルサルバドルの人たちが直面しているような人種差別や偏見に直面しなくていい」「(白人は)文化のほんの少しをコスチュームのように身にまとうことができる」という専門家の指摘を紹介。支配階級にあるグループと取り残されたグループの間にある不平等な力関係の中で、文化の盗用は生じると述べている。
アメリカでは新型コロナ感染症が拡大した後に、アジア系の人々に対する差別やヘイトクライムが急増した。
カラオールは、ステファニーが日本文化への深い愛を語りながらも、日本人を含むアジア系に向けられたヘイトに対し、怒りや抗議のコメントはしなかった、とも指摘している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。
Source: HuffPost